6月21日から6日間の日程で開催された2023年春夏パリ・メンズ・ファッションウィーク。今期はコロナが収束する中、リアルなショーとプレゼンテーションが大幅に復帰し、公式カレンダーの84ブランドのうち、デジタル発表にとどまったのは6ブランドのみ。特に日本勢の活躍が目覚ましく、パリがファッションの国際都市として活気を取り戻したシーズンになった。
COMME DES GARÇONS HOMME PLUS
待ちに待ったコム デ ギャルソン・オム プリュスのショー
パリコレにリアルショーが戻ってくる中で、最も待ち望まれていたブランドの一つがコム デ ギャルソンだ。メンズでは2年半ぶりのパリでのショーとなり、薄暗い会場で見せたのはゾクゾクとさせるパンク精神のコレクションだった。
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BGMに流れたのはホラー映画の曲。モデルの顔を覆う奇妙なお面がミステリアスな雰囲気で、オカルトチックと思いきや根底にあったのは中世の宮廷道化師である。その時代の道化師たちは王に癒しを与えるだけでなく、別の世界の斬新な考え方をアドバイスする存在でもあったのだそうだ。デザイナーの川久保玲はそのことに興味を持ち「おそらく中世の道化師はパンク精神の持ち主であったのでは」と想像したとのこと。
確かにカラフルなチェックやストライプはピエロを思わせ、シャツやジャケットのギザギザのヘムは中世の衣装に共通するもの。クリノリン風ディテールや二重袖の遊びもあり、シルエットは細長かったり膨らんでいたり。時代を超越した圧巻のクリエイションに観客から大きな拍手が送られた。
Text : B.P.B. Paris