9月29日から9日間の日程で、2026年春夏パリ・ファッションウィークが開催され、110を超えるブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの注目コレクションや話題のトピックスをご紹介します。

アンリアレイジ(ANREALAGE)は「生命の可視化」に挑戦。障害に対する認識を変え、新たな文化を創造することを使命とする日本の企業「ヘラルボニー」とのコラボレーションによって生まれました。
主となるテキスタイルの絵は、同企業が支援するアーティストによるもの。
「僕にはものを作るうえで、コンセプトや誰に届けたいなど、いろいろな思いがありますが、彼らは真逆です」とデザイナーの森永邦彦さん。

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「ですが、彼らの絵には、すばらしい色彩や見たこともない線があるんですよね。自分の名前を延々と書いているだけのかたもいて、その人にとっては当たり前の行為が、こんな作品になっていくんだっていうのが衝撃でした。自分が思っていた世界とまったく違っていたので、ファッションではこの境界がどこにあるのか、超えられるのか、超えられないのか、といった議論があまりない中で、その存在自体をファッションにできないかと考えました」

「でも実は何も境界なんてないのかもしれません。むしろ彼らが見ている世界のほうが、僕には見えていないすばらしいものかもしれない。その価値観の逆転みたいなものが自分の中で起こりました。僕のもの作りの根幹には、“日常の常識は本当に当たり前なのか”という問いがあるので、今回の出会いは、自分の知覚や世界の見方を変えてくれるのではという期待がありました」

彼らの絵から感じられるのは、生きることから発せられる純粋な生命の力。有機的なシルエットを融合させた服はディテールが動き出す仕掛けもあり、まさに命を宿したかのようなコレクションでした。

モデルが抱いたぬいぐるみは、まるで生きているようにしっぽが自動で動く。






























Courtesy of ANREALAGE
photographs : ©︎Koji Hirano
text : SO-EN