ペールトーンと刺繍に彩られた新しい魅力

ライブは後半戦に突入すると、メンバーそれぞれにデザインの異なる、個性を前面に押し出したデザインの衣装にチェンジ。ゴールドのジャケットと光ペイズリー柄のパンツでゴージャスにキメた岩本照。ストリートモードを感じさせるブラックスタイルにシックな魅力を映した深澤辰哉。赤と白の総スパンコールで描かれた千鳥格子のノーカラージャケットとグラフィカル柄のワイドパンツで目を引いたラウール。ミッドナイトブルーのドレスジャケットのセットアップを美しく着た渡辺翔太。一見カジュアルなアイテムだがスパンコールで描くグラフィカルモチーフを載せてドレスアップした向井康二。黒をベースにシルバーやパープルで縦に切り替えたスーツに、レザーのグローブを合わせたクールな阿部亮平。煌びやかなブラックジャケットにダイヤ柄にバンダナを配したパンツという独創的なスタイルもものにしている目黒蓮。煌めくレッドブラックのタキシードで華々しくまとった宮館涼太。スパンコールや羽で飾ったフーディにブルゾンを羽織って超ワイドパンツをおしゃれに着て見せた佐久間大介。このステージのための衣装には違いないが、個を最大限に生かしながらモードを感じさせるそれぞれの装いを見ていると、ファッションショーを見ている気持ちにもなる。ラウールがファッションの世界で受けた刺激や吸収したものが大いに反映されているよう。

さらに「タペストリー」からムードを一変させたのは、極めて淡くてペールトーンのセットアップ。ラベンダーカラー、ミントグリーン、ライトブルーがあまりに清々しくてやさしくて、これまでの魅力ともまた違う、新しいSnow Manに触れたような感覚になる。それぞれの体格にあわせてジャケットの丈感や身ごろ幅、じっくり見れば素材も異なっていて、繊細なハーモニーがそこにある。さらに、レースとパールとビジューやスパンコールで施された立体的な刺繍もあまりに美しく、背中のそれは、天使の羽のようにも見えてくる。楽曲やパフォーマンスでの幅の広さはもちろんのこと、9人のキャラクターや能力や才能、感性においても驚くほど多面的な魅力を持っているSnow Manだが、さらに新しい扉を開いて見せてくれたような一着だった。

赤と黒に託された
Snow Manが放つエネルギーと感情のすべて

ライブもいよいよ終盤。クライマックスでまとった最後の衣装は、強烈なインパクトの赤と黒。黒をベースに、ディテールのパーツや装飾のベルトやスリングなどが艶やかな赤で彩られている。その赤と黒で強く激しさを映す衣装が持つエモーションを体現するかのように、目いっぱい歌い、力強く踊り、軽快に飛び跳ねる彼ら。「Cry out」で放たれた、4000発の炎と火薬85発の勢いに観客のボルテージもマックスに。同様にステージ上の9人の内側から込み上げる熱量と感情のすべてがエネルギーとなって解き放たれ、その瞬間をともにする全ての人たちがそのパワーに包まれて、共鳴し、分かち合っていた。

ライブのすべての瞬間が、アーティストからのギフトのようなものだけど、アンコールの最後の最後に天井から放たれた20,000個の白い風船は、ライブを締めくくるSnow Manから、その日を共にした観客へのささやかな贈り物に見えて感動を覚えた。

このライブの演出に、パフォーマンスに、衣装に、ステージを構成するすべての物事がSnow Manの見る人を思いやる心から生まれているのだと伝わってくるようなステージ。ライブは3時間に及び披露した楽曲は全35曲。ボリュームたっぷりなのだが、そこには一秒たりとも目が離せないほど、すべての瞬間に胸の高まりやワクワク、驚きや発見、そして感動がつまっていた。

photographs: Norifumi Fukuda(B.P.B.)