ダークファンタジーを物語る妖艶かつクールな黒衣装

「MONTAGE」で、衣装は白から黒へと一変。光沢感のあるジャケットには全面にビーズ刺繍があしらわれ、肩章や袖口などのディテールにあしらわれたシルバーのビジューとビーズ刺繍やパールの装飾が輝く。背中に浮かぶ大きな「N」のモチーフはターンの度に光を放っている。肩についた幾重のフェザーで象られた黒い花が、シックかつ妖艶にその存在を主張する。
楽曲ごとにその世界を描き出す表現力にも驚かされる。マイクスタンドを使った華麗なるパフォーマンスを披露したかと思えば、「Mission」では、ジャケット脱ぎ捨てて男らしさを醸すTシャツ姿に。曲の終盤に会場がぐっと熱を帯びるとTシャツを自ら破って、美しく鍛えられた体をあらわに。だがそれは、決して安易な肌見せではなく、そこからはライトを少し落とし、存在を感じさせつつもあけすけではない塩梅で、ステージ上で着替えたりヘアメイクを直したり、という普段は見られない貴重な姿をあえて見せるという心憎い演出へと繋がっていくのだ。衣装のトップを一枚ずつ脱ぐたびにイメージもムードもがらりと変えていく様は流石。アイドルとしての見せ方とアーティストとしての在り方が、絶妙のバランスで展開される演出に、中島の手腕が光る。
そんな中、アカペラで歌い出した「迷夢」では美しいハイトーンで会場を震わせた。その歌声と共に、スクリーンの向こうに中島のシルエットが宙に浮かび、幻想的にふわふわと漂う。時に高く浮かびあがったり、遠ざかったり、どこか切なくも美しい、情緒的な世界に包まれていった。 続いて、MCでの“東京ドームへ”の決意表明に、U:nityの心も一つに。そして誠心誠意を込めた「ピカレスク」の歌唱のために着たのが、ソロライブでも存在感を放っていた赤のファージャケット。たっぷりのボリュームで迫力さえも感じさせる一着。そこに中島の熱い情熱と覚悟を感じずにはいられない。
フィナーレを飾る“青”の重なり

いよいよライブも終盤。ラストスパートにまとったのは、デニムジャケットに黒のレザーパンツ。デニムのジャケットは2着を重ねているかのようにデザインされている一枚の上着で、Gジャンとジーンズのディテールを組み合わせてパッチワークで再構築されている。その異なる青の重なりの中に、キラキラと夜空のように光る生地やタフな黒のレザーも配されている。眩しいほどのきらめき、傷ついたり揺らいだりしながらも前を向く強さ、これまでに積み重ねてきた様々な経験と思い。中島健人が内包するものがこの一着に現れているのかもしれない。
『装苑』に初めてご登場いただいたのは、2016年4月号のこと。その時のインタビューで、「エンターテイメントの世界はどんなにがんばってもいい世界だからうれしい」「歌詞という言葉で自分の思いを伝えられる」というような意のお話をしていたことが印象に深く残っている。今こうして、中島健人として創り、立つステージに、ふとその言葉が思い出され、重なる。そして気づけば、観る人の心をぎゅっと掴むステージ掌握力に圧倒されていた。努力を惜しまず、創造し表現することに邁進する中島健人が生み出す世界は、これからも豊かなエンターテイメントに溢れるはずだ。
Set List
M1 CANDY~Can U be my BABY(New Vocal Mix 2024)
M2 SHE IS. . .LOVE
M3 Hey!! Summer Honey
M4ヒトゴト
M5 Raise Your Light
M6 MONTAGE
M7 Bye Bye Me
M8 Mission
M9 Jasmine tea
M10 Heartbeats
M11 迷夢
M12 碧暦
M13 ピカレスク
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EN1 jealous
EN2 Unite
EN3 JUST KENTY☆
EN4 夏のハイドレンジア
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中島健人
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