


街はイルミネーションできらめき、ホリデーギフトがショーウィンドウを彩る、胸躍るような季節がやってきました。
クリスマスは、もうすぐそこ。
この連載では、クリスマスまでの日々を小さなワクワクで満たす記事を、ひとつずつお届けします。
アドベントカレンダーの扉をそっと開くようにのぞけば、
知らなかった物語や、遠い国の文化、とっておきのスポットに出会えるはず。
初回は、「アドベントカレンダー」のお話です。

クリスマスが近づくと、あちこちで目にするアドベントカレンダー。12月1日から、毎日ひとつずつ窓を開けたり、小さなギフトを取り出したりしながら、クリスマスまでの時間を楽しむ定番のアイテムですが、実は深い歴史と文化が息づいているんです。
そもそも「アドベント」とは、「到来」を意味するラテン語の“adventus”が由来。キリスト教では、イエス・キリストの誕生を祝うクリスマスまでの約4週間を指します。
ADのあとに記事が続きます
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アドベントカレンダーの起源は、19世紀のドイツにあります。
当時のプロテスタントの家庭では、12月1日から24日までの期間を、壁にチョークで日付を書いたり、ろうそくを1本ずつ灯したりして、クリスマスまでの日数を数えていました。
この習慣が発展し、1903年、ドイツで牧師の息子として生まれたゲルハルト・ラングが、世界で初めて印刷されたアドベントカレンダーを商品化しました。きっかけとなったのは、彼が幼い頃に、母親が手作りしてくれた、絵を貼るための台紙や、24個の小さなメレンゲ菓子を厚紙に縫い付け、毎日1つずつ食べられるようにした工夫だったという逸話も。

宗教詩の上に対応するイラストを張り付けるアドベントカレンダー ゲルハルト・ラング社 1903年
その後、1920年代には、扉を開けるとイラストが現れるスタイルが登場。中には星や天使、動物などクリスマスを象徴する絵が隠されていて、毎日少しずつ楽しめるこの仕掛けが子どもたちを魅了しました。
第二次世界大戦中は紙の制限などで生産が止まったものの、戦後にはチョコレート入りのカレンダーが登場。これが大人気となり、世界各地でクリスマスの定番へと成長していきました。
現代のアドベントカレンダーは、チョコやお菓子はもちろん、紅茶、コスメ、文具に絵本など種類もさまざま。大人も楽しめるラインナップが増え、クリスマスまでをゆっくり味わうという文化が、形を変えながらも受け継がれています。

表参道にあるカード専門店「トゥールモンド(Tout le monde)」のアドベントカード
¥528(左)¥660(右)

『ピーターラビットのクリスマス 25の物語のアドベント』
文化出版局 ¥2,750

12月1日から毎日1章ずつ、心あたたまるお話やクリスマスを楽しむアイディアが詰まった絵本
アドベントカレンダーの魅力は、毎日ひとつずつ楽しむという行為そのもの。忙しく過ぎていく毎日の中で、小さな扉を開く瞬間は、ちょっとしたご褒美のような時間が訪れます。
装苑ONLINEでは、クリスマスまでの日々をちょっと豊かにする記事をお届けします。
平日公開のアドベントストーリーをお楽しみに。






