photograph : Jun Tsuchiya(B.P.B.)
元ANGERME(アンジュルム)の勝田里奈さんがディレクターを務めるブランド「PoFF(ポーフ)」が2024年3月27日(水)から4月2日(火)の期間、伊勢丹新宿本館2階=イーストパークにて、この場所で2度目となるポップアップストアを開催する。ブランド設立から3年を迎える勝田里奈さんへPoFFのデザインやビジュアル作り、自身のクリエイティビティの原点に迫るインタビューを行いました。
勝田里奈
1998年生まれ。東京都出身。文化学園大学 短期大学部 ファッション学科卒業。2019年9月までANGERMEのメンバーとしてアイドル、ファッションモデルとして活動。’21年4月より自身がディレクターを務めるオリジナルファッションブランド「PoFF(ポーフ)」を設立。同年8月、’21秋冬コレクションよりデビュー。
アイドルからブランドのディレクターへ。
好きなものを見つめ直した青春期
——自身のブランドを持ちたいと思ったきっかけや出来事は?
勝田里奈:アイドルという仕事は、一生続けるには難しい職業。年を重ねるにつれて、自分の将来像や好きなことをより明確にしていく必要がありました。過去を振り返ると、幼少期から着るものには強いこだわりがあって、好き嫌いもはっきりしていた。一番好きで興味があるのは「ファッション」だと気づいたんです。今後、仕事にするのであれば本気で向き合いたい、専門的に勉強したいという思いから、文化学園大学 短期大学部 ファッション学科に進学しました。
ファッションを学びながら、実際にブランドのディレクションをしている人に会ったり、展示会を訪れて色々なものを見ました。中途半端になるなら趣味にするべきという考えもあり、自分が覚悟を持ってできることなのか模索していましたが、卒業する頃には「自分のブランドを持ちたい」「ファッション業界で活躍したい」という気持ちになっていました。
「品」のよさがキーワード
——デザインのインスピレーション源や素材やシルエットへのこだわりを教えてください。
勝田里奈:PoFFの洋服のデザインは、私の日常から作られています。美術館に行って見たものや、四季の植物、空の色からも影響を受けます。私が春夏を過ごした中で感じた気分を、次の春夏シーズンのムードに落とし込むこともあります。
素材やシルエット、ものづくりにおいて大切にしているのは「品」。素材は上品に見えるかを基準にセレクトしています。先日、初めて岡山の倉敷市児島のデニムの生産工場を訪れたのですが、熟練の職人さんがひとつひとつの工程に愛情を持って生産されている姿に感動しました。服は当たり前に日常に存在しているものですが、作られる過程を知って、それを伝えていきたいという気持ちや、素材へのリスペクトをもつことも「品」のよさと捉えられるな、と。その部分は、これからより大切にしていきたいと思っています。
お客さんとのコミュニケーションから得るアイディア
勝田里奈:ディテールや機能面のアイディアは、お客さんとのコミュニケーションの中で生まれることもあります。ポップアップでは、直接接客をさせていただくのですが、その時に聞いた洋服選びの際の悩みや心配事にできる限り寄り添って、解決できる要素を取り入れています。
23AWシーズン
例えば、身長が足りず、ロング丈のドレスの選び方が難しいという声を反映したのは、’23年秋冬シーズンのニットドレス。裾にドローストリングを施すことで丈を調整できるので、さまざまな身長の方に着ていただけるのはもちろん、レイヤードでスタイリングの幅も広がるようになっています。
24SSシーズン
今日、私が着用している今シーズンのサテンのスカートは、ウエストが全部ゴムになっていて、ハイウエスト、ローウエスト、ジャスト、どの位置でも着ることができます。PoFFはスラックスも、後ろだけがゴム仕様になっているので着心地も最高ですよ!
毎回違うPoFFを見せていきたい
——アイドルとして長く活動されてきた勝田さんは、表現をすることや自身を魅せるということにおいてプロであると思います。PoFFで完成した洋服をビジュアルとして表現するときの、勝田さんなりのディレクション方法について教えてください。
勝田里奈:ルックをはじめビジュアルに関わるディレクションは全て自分で行います。毎シーズン、新たなPoFFをお見せしたいと思っているので、カメラ、ヘアメイク、モデルさんのスタッフィングは、インスタグラムをチェックして、イメージと合う方に直接依頼をさせていただいています。
毎回違った雰囲気を作りつつも、インテリアが好きなこともあってスタジオのセットや背景の世界観は一貫しているので、そういった部分がブランドらしさのひとつになっているのかもしれません。
スタイリングは自分で担当しています。異素材のアイテムを使ってワンカラーのコーディネートを組んだり、普段着だと少し派手なカラーの組み合わせも、ルックではトライしています。シーズンを重ねるごとにコツを掴めてきているようで、毎回勉強をしながら楽しんで組んでいます。
アンジュルム時代、メンバーのスタイリングをしていたことや、自身の卒業コンサートでメンバーの衣装と自分のドレスのデザインを担当したことも、個性に合わせたスタイルを作り出す経験として今に生きているように思います。
——SDGsの視点で気にかけていることはありますか?
勝田里奈:PoFFのポップアップでは最新シーズンのアイテムに加え、在庫がある限りは過去シーズンの商品も展開しています。まだ大掛かりなことはできていないですが、なるべく廃棄を抑えることに取り組んでいます。
——今後の目標はありますか?
勝田里奈:音楽、インテリアなど空間全体でブランドの世界を表現することができるオリジナルポップアップを今まで通り続けていきたいのはもちろん、今回、「伊勢丹 新宿店」で開催させていただくように、百貨店での期間限定ショップ等、多くの人にブランドを知ってもらえる機会も大切にしていきたいです。そして、今回ジュエリーラインが誕生するように、別のラインも展開できるくらい成長させたいですね。
今の一つの目標は、ショールーム兼オフィスを作ること。チームでものづくりをする環境を整えながら、解放時にはお客さんに商品を見てもらうことができる空間が欲しい。
どんな時も、ものづくりを楽しむということは常に大切にしていきたいと思っています。
勝田里奈さんにAsk!動画でお答えいただきました!
1.PoFFのブランドコンセプトは「強さを纏う女性」。勝田さんにとって「強さ」とは?
私にとっての「強さ」とは「ありのままの自分を貫き通せる人」です。一番美しいありのままの姿を大切にできることが、強さだと思っています。
2.24SSではどのような「強さ」を表現していますか?
今回のシーズンは「女性の優しさ」を強さと捉えました。春夏のシーズンなので、柔らかいトーンのカラーリングで構成した爽やかなコレクションになっています!
3.PoFF 24SSのおすすめアイテムは?
一つ目は、23年秋冬コレクションで大人気だったカーディガン。今回は春夏仕様のカラーと通気性のよい素材で展開します!袖についたPoFFのネームもポイントです。
二つ目は上品な光沢感をもったサテンスカート。ウエストがゴムになっているので、とても着心地が良いアイテムです。カーディガン、シャツ、Tシャツなどなんでも合わせやすいので、お手持ちのトップに自由に合わせてください!