映画『陰陽師0』山﨑賢人(主演)×佐藤嗣麻子(監督)対談  
令和に蘇りし呪術師、安倍晴明はどのように作られた?
芝居、アクション、衣装などから二人が解説。

2024.04.19

山﨑:新しい安倍晴明を作るために、本当に監督とはいろいろなことをお話しました。よく覚えているのはワークショップの時間。僕と、博雅を演じた染谷(将太)くんの役を入れ替えて二人がセリフを言うというワークショップを、嗣麻子さん(佐藤監督)が提案してくださって。

佐藤:セリフは同じままシチュエーションを変える、というのも、今回のワークショップでやりましたよね。例えば、「コーヒーを飲んで、おはようと言い合う」という同じ場面の、シチュエーションだけを「この二人は今、ケンカして別れる前の状態です」とか、はたまた「全然見知らぬ二人です」とか、「今日戦争に行くので、明日、命があるかもわからない身です」などと変えるんです。二人がどんなふうに演技をして反応し合うのかを知りたかったので、最初にこうしたワークショップをさせていただきました。

山﨑:染谷くんとのお芝居は最高でした。14年前のデビュー作(ドラマ「熱海の捜査官」)で共演した時から、年齢は2つしか変わらないのに染谷くんは落ち着いていましたし、演技が本当にうまくて。

佐藤:ワークショップで、染谷くんのいいところを盗んでやろうと思っていたんでしょう?

山﨑:そうですね(笑)。ワークショップでは、いろんなパターンの芝居に瞬時に切り替わる染谷くんを間近にして、「うわ〜!すげえな、 なるほど」と思っていました。 わざとらしくやりすぎないんだなって、その時にすごく感じたんですよね。先日、対談した時、染谷くんが「自分は地に足をつけるポイントを見つけるのが早い」と言っていて納得しました。

佐藤:でも今回の晴明は、どこかに魂が飛んでいきそうな、地に足がつかない感じがかえって良かったんです。そんな晴明を、染谷くん演じる博雅という人がアンカーとなって地上にとどめてくれるという関係性がベースにあったから。

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