
文化服装学院が主催する「第4回 高校生ファッションデザイン画コンテスト2025」の審査会が9月19日に開催されました。
「高校生ファッションデザイン画コンテスト」は、日本国内に在住の高等学校、高等専門学校、高等専修学校に在籍している人に応募資格がある夢のあふれるファッションデザイン画のコンテスト。“憧れのあの人にこんな服を着せてみたい”というテーマに沿って、服作りの最初の一歩であるデザイン画で競います。
今年で第4回目を迎えた今回、全国から寄せられたデザイン画の応募総数は、昨年を上回る878名、計1011作品。審査をしたのは須田渉美さん(繊研新聞社記者)、木村晶彦さん(ロキト デザイナー)、加藤翔平さん(HEIHEI デザイナー)、相原幸子文化服装学院学院長、玉利亜紀子(『装苑』編集長)。厳正なる審査の結果、各賞の受賞者が決定しました。

審査員 左から加藤翔平、相原幸子、木村晶彦、須田渉美、玉利亜紀子
今回見事デザイン画大賞に選ばれたのは、中村 寧さん(京都市立美術工芸高等学校2年)の作品。優秀賞は一瀬喜久乃さん(香椎高等学校2年)と小林沙莉亜さん(川村高等学校3年)、加えて審査員賞(4作品)、佳作(20作品)が選出されました。
また、学校単位で応募が可能な優秀団体賞は、59作品を応募した岐阜県立大垣桜高等学校が受賞しました。




尚、受賞作品は、11月2日(日)~4日(火)に開催される文化服装学院の文化祭にて展示されます。展示会場では、来場者の投票によって「来場者賞」を選出。全国の高校生によるファッションデザイン画の数々をご覧いただくことができ、また同時に審査員としても参加できるので是非!
文化服装学院 文化祭イベントページ
https://www.bunka-fc.ac.jp/event/culture-festival/

中村 寧さん
京都市立美術工芸高等学校2年
憧れの人 「父」
作品説明 「私の父は住職です。好きなものは、酒と麻雀とコム デ ギャルソン。少し変わっていて、陽気な父と住職の父、あべこべなところがある父ですが、母と共に家族を支えてくれています。今回は、そんな父の要素を1つにしてみました。父はよく青い靴下に、ハット、パッチワークがたくさんの洋服を着ています」
選評
全作品の中でいちばんインパクトのあった作品でした。憧れの人に住職であるお父さんを選んでいるのもとても印象が強く、描き方も素晴らしかったです。モードな装いの住職からはパンクな要素も感じられ、とても想像力がユニーク。コンセプトの強さも含めて、他に類を見ない作品でした。細かい部分の表現もリアルに表現され、とてもビビットで目を引きますが、それが不自然になっていないところを評価しました。

一瀬喜久乃さん
福岡県立香椎高等学校2年
憧れの人 「親戚のお姉さん」
作品説明 「落ち着いた雰囲気をシックなデザインで表現し、大胆なシルエットと鳥の羽を入れ込むことで、自由さと独立した女性を表しました。配色も親戚のお姉さんが身に着けていた色を取り入れて“着てもらった時に喜んでくれるかな”と考えながら書きました」
選評
シルエットにメリハリがあって、大胆にあしらった羽根のアクセントにセンスの良さを感じます。そうやって描かれた服からはパワーも伝わってきます。ただ単にイラストにとどまらず、布の落ち感や動きを上手く表現していてとても完成度の高い作品。服というものをきちんと理解して全体のフォルムをバランスよく描いています。

小林沙莉亜さん
東京都・川村高等学校3年
憧れの人 「椎名林檎」
作品説明 「私の好きな色気と煌びやかさを軸に、和洋折衷で中和させたキャバレーファッションをイメージしました。林檎さんの持つ、妖艶さと再生、不老不死の象徴を盛り込み、永遠に衰えぬ美を表現しました」
選評
普段からこのような服に触れているのだろうなというのが伝わってくる作品。布の透け感やガーターの素材感、ピンヒールなど細かいディテールがとても丁寧に描き込まれていて素晴らしいです。独創性がありつつおしゃれ。フェティッシュさもありながら、エレガントさも感じられ、現代的なファッションを象徴するような色使いも魅力的です。
須田渉美
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山本むつみさん
東京都・川村高等学校3年
憧れの人 「冨永愛」
作品説明 「構成は複雑にレースを描き、おとなしめの赤と青で色付けをして、細かく見れば柄が見えるようにしました。冨永愛さんにこのような複雑な服を着て欲しいという気持ちから、デザインが生まれました」
須田渉美選評
布のドレープや落ち感、重なりがきちんと美しく描かれています。服全体の動きがとてもエレガントに表現できていて、それが冨永愛さんのイメージと見事に重なり、服と人とのイメージの一貫性を感じる作品ですね。ファッションが大好きで、服を描くことに情熱を持った方ということがこのデザイン画から十分に伝わってきます。
木村晶彦
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五嶋里路さん
東京都・トキワ松学園高等学校1年
憧れの人 「友人」
作品説明 「いつも堂々としていて明るい友人に着て欲しい服をデザインしました。友人は和服が好きなので、着物の要素も取り入れつつ、いつも自由でいる友人のイメージから蝶をモチーフにしました」
木村晶彦選評
自分自身クラシックな服が好きなのですが、このデザイン画からはそのクラシックなテイストがバッスルのシルエットから感じられました。色のトーンも含めて、エレガントさがありながら、今の東京のファッションシーンも伝わってきます。過去と現代モードのバランスがとても良く表現できていたところがポイントになりました。
加藤翔平
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山下 優さん
星槎国際高等学校3年
憧れの人 「秋元梢」
作品説明 「普段から黒のお洋服でモードな印象の彼女が『もし私がデザインした服を着てくれるなら』と、私が大好きなカラフルとパンクな雰囲気に、モードな黒のイメージを合わせてデザインしてみました。ネクタイをリポン結びにして、スカートの装飾にしたところがお気に入りです」
加藤翔平選評
黒い服を着ている印象の秋元梢さんに、あえてカラフルな装いをと表現したのがとても興味深かったです。色鉛筆の色使いもきれいで、全体のまとまりもあります。髪の毛のトーンや服のAラインのシルエットなどは、ファッションが好きだからこそ生まれるアイディアですね。色使いの楽しさとカルチャーをきちんと分かった上で描かれた作品だと思います。
玉利亜紀子
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大塚慎介さん
埼玉県立新座総合技術高等学校3年
憧れの人 「サルバドール・ダリ」
作品説明 「自分が強く影響を受けた1人であり、今もリスペクトしている方です。この作品は、彼をイメージしたのではなく、あくまで彼に魅せられた1人として、彼の作品のイメージを自分自身に落とし込み、そこからさらにファッションへ変えました。彼が生きていた時代に、自分がデザインした服を着て欲しかったという思いも込めています」
玉利亜紀子選評
サルバドール・ダリに憧れているというコンセプトに惹かれ、画の表現力にもセンスを感じます。シンプルな印象のデザイン画ですが、このバルーン状の袖やパンツ、シルエットのメリハリが服になったらどのように反映されるのか気になりますし、また、ダリに着せたかったくらいだから、きっと、色や素材にもさりげなくユーモアが含まれるのではないか?という期待が膨らみます。

石川稟乃さん
神奈川県・橘学苑高等学校1年

飯泉花恋さん
角川ドワンゴ学園N高等学校2年

山田亜未さん
東京都立西高等学校3年

南 愛乃さん
兵庫県立龍野北高等学校1年

原崎 瞳さん
埼玉県立越谷総合技術高等学校3年

原 優嘉さん
山梨県立韮崎高等学校3年

原 愛莉夢さん
星槎国際高等学校3年

濵砂海音さん
宮崎県・宮崎日本大学高等学校3年

永草月莉さん
千葉県・流通経済大学付属柏高等学校3年

徳元美鈴さん
神奈川県・白鵬女子高等学校1年

寺山 陽さん
石川県立工業高等学校3年

田村夏乃愛さん
埼玉県立新座総合技術高等学校2年

滝山瑠斗さん
大阪府立工芸高等学校2年

染川姫彩さん
埼玉県立新座総合技術高等学校3年

瀬戸詩織さん
角川ドワンゴ学園R高等学校1年

鈴木流雲さん
北海道江別高等学校2年

白井友理奈さん
山口県立下関中等教育学校高等部3年

塩田 綾さん
山形県・惺山高等学校2年
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佐藤羽乃さん
神奈川県・横浜隼人高等学校3年

大﨑穂花さん
神奈川県川崎市立高津高等学校1年
※佳作受賞作品の「憧れの人・作品説明」は、こちらからご覧ください。
→https://www.bunka-fc.ac.jp/ct-contest/48928/








岐阜県立大垣桜高等学校のみなさん
※優秀団体賞・全作品はこちらからご覧ください。
選評
高校生ならではの自由な発想と、それを伸び伸びと描いているのがとても伝わってくる作品群です。デザイン画もバラエティ豊かで、本当にファッションが好きな人が多いというのがわかります。全体的にクオリティが高く、実際に作れる服のデザインに仕上がっていますがファンタジーさも強く感じられ、そのバランスがとても絶妙でした。きっと力のある人たちが揃っているのだと思います。
photographs:Josui Yasuda(B.P.B.)
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