2025年春夏オートクチュールウィークが1月27日から4日間の日程で開催。
今シーズンの必見のショーや気になるトピックスをご紹介します。

ユイマナカザト(YUIMA NAKAZATO)の今シーズンのタイトルは「FADE」。これは、何かが徐々に消えていく様子を表す言葉で、記憶や物質の風化が題材になりました。
以前から、気候変動による地球と衣服の未来に関心を寄せてきたデザイナーの中里唯馬さん。今回のコレクションはサハラ砂漠の東部、遥か昔は海の底だったという白砂漠を旅した体験からインスパイアされたのだそうです。旅の途中で遭難するというアクシデントに見舞われた中里さんは、真夜中の砂漠を車で何時間も走り続けるなか、大地の下に巨大なナマズが棲むという日本の神話が頭に浮かんだといいます。
「空想と現実が入り混じり、ここは未来の東京なのかもしれないと想像しました」と中里さん。


Photos : B.P.B. Paris
ショーでは波の音をバックに、会場のフロアに作られた砂丘の周りをモデルが歩く演出。まとっているのは、近未来的な雰囲気のドレスやスーツで、チェーンを繋げたニットアイテムが豊富に提案されました。ショーの終盤には、砂の中に埋められていたドレスをデザイナー自身が掘り出すシーンも。


Photos : B.P.B. Paris
「最後のドレスは、実はセラミックで作られています。地球が砂漠化したときに、最後の一着になるかもしれない」。
壮大なイマジネーションの世界が広がる幻想的なショーでした。

砂の中に埋められていたセラミックドレスは、2,000枚以上の陶器のユニットを繋げて作られている。造形、彩色、縫合と、すべての工程が手作業。1,000時間以上が費やされた。Photo : B.P.B. Paris


























Photos : Guillaume Roujas / Courtesy of Yuima Nakazato
Text:B.P.B. Paris