ドラマ「美しい彼」の俳優・萩原利久が明かす、
留まることのない表現の思考回路

2021.11.12

第17回本屋大賞に輝いた『流浪の月』が松坂桃李・広瀬すず・横浜流星共演で映画化されるなど、注目度が日増しに高まっている小説家・凪良ゆう。彼女の人気小説シリーズ『美しい彼』が、このたび実写ドラマ化される。

ダブル主演を務めるのは、萩原利久と八木勇征(FANTASTICS from EXILE TRIBE)。吃音症をもち、周囲になじめない高校3年生の平良(萩原)が、学園のトップに君臨する清居(八木)と急接近。性格も、学内でのポジションも正反対なふたりの切なくも瑞々しい恋の行方が、繊細に描かれていく。

今回は、撮影中のタイミングで、萩原にインタビューを実施。視野を広く持ち、のめり込むのではなく冷静に立ち回る彼のロジックは、実に精緻で論理的。これまでの歩みと共に、萩原の思考し続けるスタイルを紐解いてゆく。

photographs : Jun Tsuchiya(B.P.B.) / hair & make up : Emiy / styling : Shinya Tokita / interview & text : SYO

MBSドラマ特区「美しい彼」
主人公は、吃音症を持ち、幼い頃から周囲に馴染めず“ぼっち”を極める高校3年生・平良一成(ひら・かずなり)と、学校のカースト頂点に君臨する圧倒的カリスマ・清居奏(きよい・そう)。高校3年の春、クラス替えの自己紹介で緊張のあまり吃音が出た平良は、クラスでは透明人間のように扱われ、清居らのグループからはパシリにされるようになる。しかし、平良はそのことを気に病むどころか、清居に忠誠を尽くし続けていく。この思いは、憧れなのか、何なのかーー? 自分の気持ちが整理できずにいたが、クラス内で力関係が変わるある出来事をきっかけに、二人の関係は急展開する。BLアワード2015で第1位を獲得した、凪良ゆうの大ヒット小説『美しい彼』が待望の実写化。ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」や「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記」などを手がけた酒井麻衣監督がメイン監督を務める。

萩原利久、八木勇征(FANTASTICS from EXILE TRIBE)主演。
WEB:https://www.mbs.jp/utsukushiikare/ 
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(c)「美しい彼」製作委員会・MBS

平良はボキャブラリーも面白いし、心のうちには悩みがあるぶん、色々な表情に変えられるんです。

――「美しい彼」は、萩原さん演じる平良(ひら)のモノローグが非常に多い。となると、ざっくり分けてモノローグの録りと撮影現場の計2回演じることになりますよね。「表情と本音が食い違う」という部分も大事かと思いますが、どういった形で作っていったのでしょう。

 現場入りする前に、モノローグを1回全て録りました。その音声を現場で実際に流しながら撮っているんです。

――なるほど! そういう撮り方だったのですね。

 はい。初めての経験だったので、新鮮でした。モノローグを先に録ったおかげで入りやすかったですし、すごくありがたい現場でしたね。

 結果的に2回演じることにはなるんですが、モノローグがあるぶん助けになることも大きかったです。モノローグ、つまり心の中だと、平良は結構毒も吐いている。けれど酒井麻衣監督から「ちょっとコミカルにしたい」と提案いただいたこともあり、モノローグと表情のギャップといいますか、二面性を出そうとしています。平良はボキャブラリーも面白いし、心のうちには悩みがあるぶん、色々な表情に変えられるんです。人間って外見と中身はやっぱり違いますし、そこをちゃんと映像で見せられるのはすごく良いな、と思います。

――モノローグが先に定まっているからこそ、安心してズラしていくことも可能になるわけですね。

 そうですね。観ていただく方にも、そこが面白さや見どころになるんじゃないかと思って取り組んでいました。

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