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金子大地インタビュー
「現代のロマンポルノ」を演じて見えたもの

女性はかっこいいから男性に惹かれるわけではないのではないかなとも思うんです

――その金子さん演じる森君ですけど、さわこと同じ会社で働いていて、かなり果敢にさわこにアタックしていきます。おじさん好きのさわこが意に反して彼のアプローチに応えていくんですけど、森君、つねに相手の気持ちを確かめたうえで一歩、一歩、近づいて行って、ベッドの中でも常にさわこがどうしたいか意思を確認してくれるじゃないですか。
 私、ロマンポルノは好きな作品が多いんですけど、どうしても過去作は男性の嗜好性に応えるために、女性側がいやよ、いやよと流されるように、或いは無理やりにセックスに持ち込まれる展開が嫌で。ロマンポルノを全作品見ているわけではないので断定はできませんが、日活ロマンポルノ史上、ヒロインに心地よいセックスを提供する男ランキングのかなり上位に来ると個人的には思います。すごく、そこがいいですよね。

「本当ですか!?取材でここまで森君をほめて頂いたのは初めてです。嬉しい(笑)。本当にだめだめな人物なので『もう嫌です』というようなことを今日、ほかの媒体さんの取材でもずっと言われ続けてきて、”やっぱりそうなんだ・・・“と思っていたので、今の言葉はすごく嬉しかったです」

――あら、そうですか? 性別、年齢関係なく?

「はい! ただ、『なんかいそうな男ですよね』とか、『誰しも女性は、一度は出会ったことのある男の感じはする』と言われたのは、嬉しかったです」

映画『手』より

――確かに、金子さんの作った森君は、こんな男いないよっていうんじゃないですもんね。むしろ、鑑賞しながら「いるいるいるいる」って頷き続けてしまった。

「僕自身は、森君をほんとにだめな男だと感じているのに、周りには、森君役がしっくりくるって言われるんです(笑)。そもそも森君に限らずだめな男の役が多いので、なんでだろうとも思います(笑)。

 今回の森君に関して心に決めていたのは、お芝居の中で、絶対にロマンチックな部分を入れないこと。キメるところをキメないというか。例えばオフィスで残業中、さわこを思いきって飲みに誘ってみて、いいよと言われたあとに去る場面で、そのままカッコよく出ていくのではなく、彼女のほうを振り返ったせいで机に身体がぶつかってしまう、というような。他の場面でも、絶対にカッコ悪い仕草を一度は入れているんです。森君は最初からずっとカッコ悪いんですけどね(笑)。そういう仕草が入ってくることが、リアルだと思いました。
 あと、女性はかっこいいから男性に惹かれるわけではないのではないかなとも思うんです。ものすごくクズでどうしようもないけど憎めない、とか、どこか愛嬌があって可愛い、とかそういうところなんじゃないかなと」

――その森君は、仕草には嘘がないんだけど、一番大切なところで嘘をついているんですよね。

「本当にすみません(笑)。森君とさわこのラストシーンは、その嘘と森君のリアクションについていろいろ考えました。どうなったかは、皆さんに見て頂けたら」

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