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あの『鯨の骨』インタビュー。
バーチャル世界への距離感と”明日香”へのシンパシー

ありのままの自分なんて誰も愛してくれないと思ってるじゃないですか。

――“明日香”はアプリの中の存在ですが、あのさんが演じられることで、伝わってくる生の感情がありました。あのさんご自身は“明日香”をどう捉えていましたか?

あの“明日香”がリアルに浮き出ていたのだとしたら、ボクと共通点が多かったからかもしれないです。脚本を読んだ時、ボクが“明日香”をやることで「ミミ」の世界観や、“明日香”の心情を詳しく説明しなくてもいいんだろうな、と思いました。そこにボクがやる意味があるなって。今まで俳優を本業でやってなくて、アイコンとして見られることが多いボクがやるからこそ、“明日香”の気持ちがわかりやすく見えていたのかもしれません。“明日香”の気持ちの捉え方は見る人によっていろいろあってほしいのですが、単純に共感するところが多かったです。

――具体的にどこに共感されたのでしょうか?

あの“明日香”は「ミミ」の中の存在なので、フィルターを1枚、2枚貼ってるような感じを演技で出せるように頑張ったのですが、実際、ボクも人との関係をフィルター1枚、2枚、3枚も貼ってスタートすることが多いです。ある意味、ボクは消費されないようにフィルターを貼ってる部分があるけど、“明日香”も「ミミ」の中だからこそ発言できる言葉っていっぱいあったんだろうなって。

本当の自分を見つけてもらえないのに、信者に支持されてる部分にも共感しました。本当の部分はもっと、奥深くのところにあると思うけど、その差ですよね。現実と妄想、「ミミ」の中の世界の差が、わかるなって。ボクだけじゃないはずですけど、みんな大体、ありのままの自分なんて誰も愛してくれないと思ってるじゃないですか。そういうのが“明日香”にもあって、カリスマとして存在することの方が辛かったのかなって感じます。

――この映画では、カリスマとしてある存在を崇拝しながら同時に消費する人たちのエグさも描かれていました。崇拝したり憧れるのは、愛でありつつすごく危ういとも感じて。人が人に憧れたり忘れたりする、そういうサイクルを、あのさんはどんなふうに感じますか。

あの人間って一面だけじゃなくて、いくつもいろんな面も持ち合わせてるはずなのに、その中の意外な一面が見えただけで「裏切り」みたいに言われることは、ボクも経験があります。アイコン的な存在や、その先にあるキャラクターに対して、見る人の思い込みや想像、理想が入り込むことはよくあることだけど、それに沿うことを全うするのは、ボクは違うなって思う。プロのアイドルだったら完璧に合わせるかもしれないけど、ボクはそうじゃないから。人からキャラクターとして見られやすい割にそういうつもりではやってないから、理想や想像と合わないことがあると裏切ったと思われることが多いんです。
そこは確かに、『鯨の骨』で「ミミ」の世界を崇拝している人たちの感情を「見たことあるわ、これ」って思っていましたね。ほんとに勝手だよなというか、都合がいいなというか。より一層、“明日香”に感情移入しました。

映画『鯨の骨』より

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