
時代を超えて愛されてきたブロードウェイミュージカル「ウィキッド」の映像化作品として、2025年3月に全2部作の第1作として公開された『ウィキッド ふたりの魔女』。第97回アカデミー賞では作品賞や衣装デザイン賞をはじめとした10部門にノミネートされた本作の、完結編となる『ウィキッド 永遠の約束』が3月6日(金)に公開される。
衣装デザインを担当したのは、前作に続き、アメリカ出身の衣装デザイナー、ポール・タゼウェル。エルファバとグリンダの学生時代の出会いと成長、変化を瑞々しく描いた1作目に対し、2作目では、かつての言動による因果や、アイデンティティーによる重圧といった要素が複雑に絡み合う、緊迫感ある人間ドラマが描かれる。
個々のキャラクターの変化や成長を衣装で表現するにあたり、スケールもシルエットもより大胆にする必要があったとタゼウェルさんは語る。今回は、キャラクターの個性はもちろんのこと、その世界の背景までもを表現する『ウィキッド 永遠の約束』の衣装を紐解く。
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エルファバとグリンダの
感情の変化や成長に合わせた衣装



『ウィキッド』の魔法に彩られたファンタジックかつ華やかな世界観を形作る衣装を支えるのは、卓越した職人技。仕立て、刺繍、染め、ニッティング、特注の生地の制作にいたるまで、数百人もの職人が携わり、この映画にふさわしい特別な衣装をこしらえたという。エルファバとグリンダをはじめとしたすべての衣装が、クラフツマンシップによって繊細に作りこまれた。
エルファバ
より個性的に、スーパーヒーローのように成長していく
アイコニックなシルエット


「2作目のエルファバにおいて重要だと感じることは、力を掌握する大人の女性として、成長と変化を続けていること。彼女の気持ちや立場が視覚的にわかるよう、衣装も一つ一つに意味を込めました」とタゼウェルは語る。
今作で初めて登場するエルファバのパンツルックでは、学生時代に彼女がまとっていた鋭角の肩の制服に象徴される、警戒心や集団に馴染まない堅さを感じさせるシルエットが柔らかく緩やかなものに変化する。そのことにより、彼女が手に入れた自信や個性が際立つのだ。

前作でも登場したとんがり帽子やマントにも変化が。タゼウェルによれば、
「特にこだわったのは、コートと帽子のシルエットが調和すること」だという。
「ロング丈のマントとほうきがそこに加わったとき、シルエットに変化が出るようスタイリングを構築しました。
また、エルファバとグリンダの2人の衣装が釣り合うことも考え、グリンダが着用するバブルドレスとボリュームを合わせていることもポイントです。
前作でグリンダから贈られたエルファバの帽子は、今作でエルファバ自身がスーパーヒーローのように成長していくことから、つばを大きく、全体的に高さを出すことによって、より印象的な形にしています。
そうしたアイコニックなシルエットを一層際立たせるために、マントもさらにボリュームを出しました」


前作から登場するコートは、自然界からインスピレーションを受け、キノコなどの菌類が持つ様々な質感や模様からヒントを得てデザインされた。本作では、シャープなテーラーリングに仕立て直されたほか、時間の流れを感じさせるダメージ加工やパッチワークが新たに施された。



新たに登場する、青から黒へと変化するぼかし染めが印象的な「キアモ・コ城」のマント。肩や胸、背中、腰などの切り替え部分には錦糸の刺繍が、裾などの縁取りには民族調の唐草模様が施されている。
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