装苑賞に挑み、現在も第一線で活躍するデザイナーたちをピックアップ。夢を持ち続け何度も装苑賞にチャレンジした軌跡と今を紹介する。
『装苑』2014年12月号掲載
Vol.3
コシノジュンコ
コシノジュンコさんが初めて装苑賞候補に選ばれたのは、文化服装学院デザイン科在学中の19歳の時。その最初の作品と3作目が、第6回で現在の佳作に当たるリズムミシン賞を獲得する。当時のコシノさんが学んだデザイン科は花の9期生と呼ばれ、後に有名デザイナーを数多く輩出した。
森英恵先生に「アバンギャルドな作品。若い人の生意気なよさがよく表現されている」と評されたコートドレス。コクーンシルエットとベルスリーブが特徴的。右は『装苑』1960年7月号に掲載された受賞当時の様子。
第6回リズムミシン賞受賞。 右 胸もとのブザムがキュートなワンピースはコシノさん初の候補作品。左 プリーツをメインにしたワンピースにショートジャケットを合わせたアンサンブル。
『装苑』1961年1月号「新しいアンサンブル」。ワンピースにジャケットではなく、袖なしのフードつきボレロを合わせることでまったく新しいアンサンブルに仕立てた。
候補作品発表のページには、同級生である髙田賢三や松田光弘の名前が並び、同時期のライバルとして三宅一生の名も見られた。仲間やライバルたちと切磋琢磨していく中で、4作目となる候補作品がみごとに装苑賞を受賞。史上最年少受賞の快挙となった。
『装苑』1967年2月号。毎回ユニークなテーマでファッションを見せる連載「ファッション・スピリット」でナンセンスをテーマに。草森紳一さんのナンセンス論とともに掲載された。
その後はフレッシュな感性と個性的なデザインで、『装苑』でのデザイン活動、小松ストアー(現:ギンザコマツ)を経て、1967年に東京・青山にブティック「コレット」をオープン。 ’72年にブティック・ジュンコをスタートさせ、東京コレクションやパリ・コレクションへと精力的に参加。ファッションのみにとどまらず、インテリアデザインも手がけるなどライフスタイルを提案している。
コシノさんが舞台衣装を手がけた和太鼓パフォーマンスグループのTAO。2014年「DRUM ROCK THE 33 SAMURAI」ではコレクションにも登場したシルバーのアイテムをアレンジ。
コシノジュンコ
大阪生まれ。文化服装学院デザイン科卒業。在学中に装苑賞を受賞し、デザイン活動を開始。1978年から22年間パリ・コレクションに参加。以降、NYメトロポリタン美術館、中国、キューバ、ロシア、ポーランド、ミャンマー、スペインなどでショーを開催し、ファッションを通じた国際的な文化交流に力を入れる。世界各国でデザイン展も開催し、オペラやブロードウェイミュージカルなどの舞台衣装、ユニフォームやインテリアデザインも手がける。さらに、花火のデザインや、観世流『能』とコラボで、能舞台でファッションショーを開催。国内被災地への復興支援活動も積極的に行っている。大阪万博シニアアドバイザー、文化庁「日本博」企画委員就任。イタリア文化功労勲章・カヴァリエーレ章、モンブラン国際文化賞、キューバ共和国友好勲章受章、2017年に文化功労者顕彰、2021年にはフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を受章する。2019年8月に日本経済新聞「私の履歴書」掲載。2015年4月から6年間、毎週日曜17時から、TBSラジオ『コシノジュンコMASACA』というラジオ番組を放送中。
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