レオナルドの当時の暮らしぶりと驚異の才能を発見
芸術を保護した王として知られるフランソワ1世は、居城であったアンボワーズ城近くのクロ・リュセ城にダ・ヴィンチを住まわせ、年金や制作費を与えるなど、熱烈にサポートしました。画家のみにとどまらず、エンジニア、建築家、演出家としても卓越した才能を持っていた彼は、恵まれた環境の中で創作活動に励んだそうです。
クロ・リュセ城ではそうした偉業を紹介する様々な展示が行われ、レオナルドの暮らしぶりを再現した館と庭園が公開されています。
レオナルドの寝室。彼はこの部屋で息を引き取った。
ダイニングルームと台所。右手には大きな暖炉がある。
アトリエと書斎。レオナルドはこれらの部屋で、王のリクエストに応えるべく数々の建造物や発明品を考案した。
写真上:“ゴースト・テクノロジー”映像を使ってレオナルドの姿(右)を再現。ちなみに彼はかなりの長身だったそう。下:レオナルドを敬愛した王は、この城とアンボワーズ城を繋ぐ秘密の地下道を通って彼に会っていたという。
また、見どころのひとつである庭園は、巨匠の創造世界を体感できるユニークな野外博物館です。園内にはレオナルドの発明品が実物大で点在し、散策しながら彼のマルチな才能を発見することができます。
レオナルドが設計した移動可能な橋。
写真左:ヘリコプターの模型。科学分野でも才能を発揮したレオナルドはスクリュー型のプロペラをもつ機体を考案。実際に飛ぶことはできなかったが、回転するプロペラによって上昇するヘリコプターの原型になったといわれている。これを図案化したものが全日空の社章に採用されていた。右:彼の代表作の解説があちらこちらに。
円形戦車。
家族連れや子供達で賑わう庭園。
園内のレストランでは、レオナルドの時代のレシピをもとに作られた料理が味わえる。サービス係も当時の衣装で。
また、昨年には没入型アートギャラリー「ギャラリー レオナルド・ダ・ヴィンチ(Les Galeries Léonard de Vinci)」がオープン。巨匠画家が描いた17点の名作のデジタル投影をはじめ、建築模型、映像、ゲームを通して、画家であり建築家でもあったレオナルドの驚異の業績が語られています。
「ギャラリー レオナルド・ダ・ヴィンチ」。
レオナルドがここで過ごしたのは3年弱。最後まで飽くなき探究心を持ち続けたルネサンスの巨匠は、1519年5月2日、自室で永遠の眠りにつきます。そして遺言どおりに、アンボワーズ城の教会に埋葬されるのでした。
後半ではレオナルドゆかりのアンボワーズ城をご紹介します。お楽しみに!
Le Château du Clos Lucé – Parc Leonardo da Vinci
クロ・リュセ城 – レオナルド・ダ・ヴィンチ庭園
住所:2 rue du Clos Lucé 37400 Amboise Val de Loire, France
Tel:+33 (0) 2 47 57 00 73
開館時間:1月は10時から18時、2月から6月は9時から19時、7月と8月は9時から20時、9月と10月は9時から19時、11月と12月は9時から18時
定休日:1月1日、12月25日
一般料金:18ユーロ
公式サイト:https://vinci-closluce.com/en
Photographs:濱 千恵子 Chieko Hama
Text:B.P.B. Paris