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奥平大兼のジャケットマスターへの道!
vol.2 裁断&縫製編

2023.12.30

縫製

いよいよミシンでの縫製作業に入ります!

ダーツの縫製

まずは、体にジャケットを沿わせるためのダーツから縫います。目立つ箇所の縫製からで、ドキドキ。正面のダーツと脇のダーツを縫製。

慎重に針を進めていく。

どんどんダーツが見えてきます。

できた・・・!ダーツを縫うと、一枚の布が洋服に変身したみたいです。

ダーツが縫えたら、アイロンで「くせとり」を。くせとりは、スチームとアイロンを用いて、布を体に沿う立体的な形にする作業。パターンの切り替えやダーツではシルエットを表現できないところに行うもので、今回は、ダーツと身頃の脇線のウエストカーブにくせとりをします。この工程を細かく行なっていくことが、ジャケットはもちろん服づくりには大切。

立体的になりました。

さらにアイロンでダーツを片側に倒します。

ダーツが完成!今日の感動ポイントです。

ポケットを作り、つける 

小さな胸のパッチポケットと、腰にフラップポケット2つがあるジャケット。まずは胸ポケットから作ります。

表裏のポケットを中表にして縫い合わせます。

直線縫いのダーツとは異なり、カーブが多いポケットの縫製は難易度が格段にアップ!

ポケットの表地と裏地を縫い合わせたら、表布が裏側にひかえるようにアイロンをかけます(アイロンをかけているところが、ポケットの出来上がり線となる)。

アイロンをかけたら、ひっくり返して表にかえす。

表に返して現れた口の部分(裏地の山部分)をまつり縫いします。まつり終えたら、端から2cmのところでミシンステッチをかけて、胸ポケットは完成。

2つのフラップポケットのポケット部分も縫製します。

身頃にポケットをつける

しつけ縫いで身頃にポケットを止めたら、ミシンで縫製。まずは胸ポケットから!

布地の方向を変えながら、カーブを縫います。これがとても難しい!縫い終わったあと、奥平さんの「もう一回!」で、やり直すことになりました。

ポケットの両端を三角形に返し縫いするときの、生地を動かす方向をシミュレーションする奥平さん。

再トライ!

真剣に縫製中……

縫えました!

ようやくポケットが完成!つい、出来立てほやほやのポケットの中をのぞきたくなってしまいます。

さあ、次はフラップポケットのフラップ部分を作ります。

腰ポケットを身頃につけた後、フラップも縫い止めて。

フラップポケットがつきました!

フラップには、さらに表からステッチをかけることにしました。この時には、もうミシンの縫製技術がかなり上達していた奥平さん。

縫い目がまっすぐで、きれいです!

フラップポケットができました!フラップの縫い止まりには、しっかりかんぬき止めを。今回、奥平さんは直線ミシンで返し縫いをすることでかんぬき止めをしましたが、かんぬき止め専用のミシンでこれを行う方法もあります。

縫い止まりのかんぬき止め。

vol.2の縫製は、ポケットまでつけておしまいです!制作スタートからここまで、気づけば8時間が経過していました。

裁断・縫製編  INTERVIEW 

制作が終わった後、奥平さんに5つの質問を投げかけました。今日の工程を終えた心境や、制作してみた感想は?

Q1.長い時間の制作、本当にお疲れ様でした!大変ではなかったですか?

奥平さん:初め、スケジュールをいただいた時は「結構、長時間やるんだなぁ」と思っていたのですが、パターンを習った時と同じで、本当にあっという間でした。こんなにも過ごした時間と体感時間が比例しないのは久しぶりです。それくらい楽しかったです!

Q2.それならよかったです!「縫製編」と言いながらも縫製するまでの準備にかなり時間を費やしましたが、その中で印象に残っている工程はありますか?

奥平さん:「切りじつけ」が、楽しかったです。やっぱり、針と糸を使う工程が好きなのかな。あとは「裁断」も、一枚の布がだんだん服になっていく感じがして喜びが大きかったです。パターンを引いたところから、こんなふうに形ができていくんだって。ジャケットを作っている実感が湧いたのが「裁断」でした。

Q3.ポケットつけは一度やり直しましたが、そこからの立て直しが早くて素晴らしかったです。

奥平さん:1回目、胸ポケットが手作り感満載の仕上がりになってしまって(笑)。やり直して、フラップポケットを縫う頃には少し上達してることがわかったので、それも本当に楽しかったです。
今日は、自分の目に見える形でジャケットの片鱗が出てきて、とてもテンションが上がっています。まだ全体の一割くらいしかできていないかもしれないけど、今日だけでだいぶ嬉しい。ここまで自分で作れたなんて、すごくいい思い出です。

Q4.ミシンはおばあさまから教わったそうですね。

奥平さん:はい。だから戸惑わずに今日も縫うことができて、おばあちゃんに感謝しなきゃ。お洋服をつくったり音楽を聴いたりするための部屋が欲しいと思って、今、自分の趣味の部屋みたいなものを借りているんです。その部屋には、ずっと使っていた家のミシンを持ち込みました。ミシンも裁縫道具も、全部持ってっていいよって言ってもらったんです。

Q5.ミシンをかける姿を見ていて「服づくりが本当にお好きなんだなぁ」と感じました

奥平さん:一人で縫う時は基本的に手縫いなのですが、さすがに(手縫いが)大変な場合は、ミシンも使います。家では、音楽を聴きながら縫うことが多くて。今日は何も聴いていませんでしたが、無心でできました。

縫っていると落ち着いて、平和な気持ちになるんです。何も余計なことを考えずに、ただ目の前にあるこのジャケットのことだけを考えようっていうのが、自分の中ですごく平和なのかも。ちなみに、今日は縫い始めてからの時間の飛び方がすごかったです(笑)。1時間も経ってないんじゃないかな?くらいの(※本当は3時間ほど経っていました)、時間がとけちゃう作業でした。

一つの作品の撮影が終わったあと、リメイクして手を動かすのが自分のリフレッシュ方法の一つになっています。仕事のことを考えなくていい時間としてやっていることが服づくりなので、そういう穏やかなスイッチが入って、縫う時にリラックスするのかもしれないですね。お洋服は100%自己満足でつくるものなので、お芝居をするのとは全然違うベクトルの表現で、やっぱり面白いです。

この企画では全く知らない世界の、全くやったことがないことをさせていただいているので、今日もすべてが新鮮でした。そして服飾学生の皆さんや、服づくりを仕事にされている方々はやっぱりすごいなとも思いました。「何もないところからものをつくる」という楽しさを、今、身にしみて感じているところです。

NEXT
vol.3は縫製の第2パートです!次からの工程で、ジャケットづくりの真髄ともいえる、難しい縫製箇所がどんどんやってきます。奥平さんがどんなふうにそれを乗り越えるか、次回もお楽しみに!

vol.1 パターン編を振り返る

Daiken Okudaira
2003年生まれ、東京都出身。演技未経験ながら初めて臨んだオーディションでメインキャストに抜擢され、映画『MOTHER マザー』(’20年)で俳優デビュー。同作で第44回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか数々の新人賞を受賞。映画出演作に『マイスモールランド』『ヴィレッジ』『君は放課後インソムニア』など。’23年9月まで放送されていたテレビドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」での星崎透役も大きな話題となった。今年、第15回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞。Disney+の完全オリジナル大作「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」(12月20日配信開始)でW主演、映画『PLAY! 〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜』(’24年3月8日公開)でW主演を務めるなど、今、最も活躍が期待されている俳優。
Instagram:@okudairadaiken_official

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