俳優の奥平大兼さんが、初めてのテーラードジャケット作りを行う過程に完全密着した連載の2回目。今回は、前回完成させたパターンを用いて布を裁断し、縫製作業に入ります。
この撮影前に、奥平さんが布地とボタンを生地店でセレクト。表地はアイシーブルーのラムウール、身頃の裏地は表地にあわせた淡いブルーのキュプラで、袖の裏地は身頃と柄を変えてストライプのものに。型紙のカットも終えて、いよいよ制作スタートです!
photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.) / hair & makeup : Akihito Hayami / cooperation : BUNKA Fashion College
裁断前のアイロン
生地を裁断する前に、アイロンで布地を整えます。写真は、身頃裏地のアイロンがけ。バキューム機能のある仕上げ台つきの、工業用アイロンを使用しました。
袖の裏地にも、アイロンをかけます。
きれいにアイロンができました!奥平さん、「工業用アイロン欲しいなあ」とぽつり。
生地の方向に注意しながら表地のラムウールにパターンをのせて、まち針で止めていきます。布を裁断する時は、縦半分に折った布の折り目である「わ」に近いところに、中心に近いパーツのパターンを配置します。そして、ほかのパーツも布が無駄にならないように配置してからまち針で止めます。また、パターンと生地の布目を合わせることもこの時の大事なポイント。
今回は、縦半分に折った布の折り目である「わ」のほうから順に後ろ身頃、見返し、外袖のパターンを配置。そしてもう片側には、前身頃、フラップポケット、内袖のパターンをおきました。内袖は「布目を合わせる」ため、縦の線がまっすぐになるようにおきます。
パターンが配置できました!
表地裁断
ポケットと裏の上衿を残して、粗裁ちします。
次に上衿の粗裁ち。バイアスにとった布を「わ」にして裏上衿のパターンをまち針で止めます。
パターンを止めたら、粗裁ち。「切るのはちょっと緊張しますね!」
計3つのポケットは、出来上がり線に沿ってロータリーカッターでカット。
粗裁ちした布を、さらに細かく裁断していきます。袖とフラップポケットはパターンに沿ってギリギリの位置で裁断。
裁断時の裁ちバサミ使いのポイントは、このように、机にハサミを沿わせるようにしながらカットすること。そうするとハサミが安定するのできれいに切ることができます。
表地の裁断も佳境です!
前後身頃・裏地の裁断
表地の裁断を終えたら、裏地の裁断準備。まずは表地の時と同じように布を縦半分に折り、端同士を合わせます。裏地は生地が柔らかくズレやすいので、表地の時よりも細かくまち針を止めていくのがおすすめ。
全てのパターンをまち針で止めたら、ロータリーカッターでカットします。「力を入れなくていいぶん切りやすいけど、生地がゆらゆら動くから、そこが難しいです」と奥平さん。裏地のカットは「表地に比べて段違いで大変!」と言いながらも、丁寧に作業を進めます。
「ちゃんと切れてるかな?」
袖・裏地の裁断
身頃の裏地をカットし終えたら、次は袖の裏地。奥平さんのオリジナルジャケットは、袖だけストライプ柄。もともと器用で、飲み込みの早い奥平さん。ここまでくると、まち針で止める作業も、カットする作業もかなりスムーズに。
最後の線をカット。
全パーツ、裁断できました!
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