表地に接着芯を貼る
パターンのもとになっているScye(サイ)のジャケットは毛芯仕立てでしたが、それはテーラーの高度な仕立ての技術を要するため、今回は接着芯のジャケットにアレンジしました。再び工業用アイロンの出番で、アイロンの熱を用いて表地に、カット済みの接着芯を貼っていきます。
薄紙を敷いたアイロン台の上に、接着芯+布地、さらにその上にまた薄紙を置き、端からアイロンでぎゅっ、ぎゅっとプレスするようにして、接着芯を貼ります。
接着芯の樹脂でアイロンを汚さないためにかけた、上の薄紙をはがして接着芯がついていることを確認。
粗裁ちだけしていた表裏の上衿と身頃は、接着芯を貼ったこのタイミングでパターンを置いて、カットします。奥平さんいわく、芯を貼った後の方が、布をカットしやすいそうです。
COLUMN
奥平さんの洋裁遍歴
小学生の頃から祖母と過ごすことが多かったという奥平さんは、その時間の中で、手縫いやミシンの使い方などの洋裁を教わってきた。家庭科は、最も好きな授業だったといいます。
切りじつけ
「切りじつけ」は、へらやチョーク印のきかない素材(ウール、絹、化合繊)などに手縫いで行う、糸での印つけのこと。まずは2枚の布がずれないように注意しながら、型紙の輪郭に沿って0.2〜0.3cmの細かい針目ですくいます。
周囲が縫えたら、中央にも糸を通します。
そして大きい針目の中央部分の糸をカット。その次に布の間の糸も切ります。「布も切っちゃいそうで怖い!」
表面に長く残った糸端を短く切り、糸が抜けないようアイロンで押さえて平らにつぶし、なじませたら完成です。
表布、裏側上衿の切りじつけの完成。手縫いの細かな作業工程も、奥平さんは「楽しかった!」と笑顔。
NEXT いよいよ縫製へ!