とんだ林蘭×ロゼトーゴ。文化服装学院にて開催した特別講義レポートと、とんだ林蘭インタビュー。

2023.12.26

とんだ林蘭 特別講義後インタビュー

今までも、お洋服や小物のデザインを手がけてきたとんだ林さん。初となる家具の生地デザインで難しかった点や新たに気づいたことはありましたか?

とんだ林蘭:ソファはすぐに買い替えるものでもないので、空間にあってもずっと飽きがこないものを考えるという点で、今までとは脳の違う部分を使った感じでした。

ラフの時点で、こんなものがあればかわいいだろうなというものを4案出したのですが、その中のひとつに、ペンで落書きをしたようなデザインがありました。元のラフ案のままでは少し寂しいなと思っていた時に、文房具屋の試し書きを思い出したんです。以前から「試し書き」って面白いなというストックが頭の中にあったので、それをロゼトーゴにデザインできたら絶対にかわいいものになる!と確信しました。

とんだ林さんがアートディレクターとして大切にしていることを教えてください。頭の中に浮かんだイメージに妥協することなく、意見を貫く力はどのような想いから湧いてくるものなのでしょうか。

とんだ林蘭:自分がいいと思っていることは、主張をしていかないとお互いにとってよくないと思っています。作りたくないものが進んでしまって自分のテンションが下がることも嫌ですし、いいお仕事ができる時って、決まって全員のモチベーションが上がっている時だと思っているので。みんなを引っ張っていく立場のアートディレクターである自分の主張が欠けてしまったら本末転倒です。

プレゼンをし続けるという意味では、絶対にこっちの方がかわいいと思う!という感覚を伝えるために説明し続けます。私の頭の中のイメージを完璧に伝えきることは簡単ではないので、実現させるためには頑張ってプレゼンするしかなくて。明確な理由があって実現が難しいことはありますが、やりたいことからブレてしまうなら私がやらなくてもいい。だからこそ、イメージを伝えるための話し合いは制作の過程で最も大切にしています。

とんだ林さんの表現をかたちづくる原点はどんなところにあるのでしょうか。小中高時代はどのような子でしたか?

とんだ林蘭:小中学生の頃は、表現をすることが得意な子ではなかったです。すごく真面目で、心配性で、ルールをよく守る子。それが高校の時にギャルになってすごく真逆になっちゃったんです。ルールって守らなくても死ぬ訳じゃないんだと気づいたというか。自分の好きなものを追い求めるようになりました。肌を黒く焼いてみたりとか。今もやりたいことに対しては突っ走るけれど、やはり根っこは嫌になるくらい真面目。やりたいことを仕事にできているのはそのおかげかなとも思いますね。

私は、仕事でもらったお題や決まったものに対して答えを考えるのが全く苦ではないんです。むしろどう返していくか、大喜利するように楽しんでいます。

今回特別講義をしていただいたスタイリストコースの学生たちは、自主的に作品撮りを行うなど、自分の好きな世界観や軸を持っていている子が多いです。プロとしてやっていくために、必要なことはなんだと思いますか?

とんだ林蘭:続けることが一番大事だと思います。ですが、好きなことであれば自然と続けてしまうと思うんです。今はSNSがあるので、継続していればどこかで誰かが注目してくれる瞬間が確実にありますし、作れば作るほど、自分の世界観も洗練されます。最初は誰もが誰かの真似から始めるかもしれませんが、自分の作風を確立させるために必要なのは、数をこなすこと。根気強く、長く続けることが大事です。それはプロとしてお金を貰うようになっても変わらないことですし、続けることが出来ることが、いちばんの成功なのでは?と思います。

インスタグラムに作品投稿をし続けていたと伺いましたが、はじめた時、自分の世界観を見せることに抵抗はなかったですか?

とんだ林蘭:ありました。名前を「とんだ林蘭」に変えて一般人が急に表現を始めたので、周りから見たら何かおかしなことになったという雰囲気はあったかもしれません。はじめは照れもありましたが、その当時出会っていた、好きなことを仕事にしている大人たちが恥ずかしがらない方がいいよ、作ったものを堂々と出した方がいいよと教えてくれたので、励みになりましたね。もし、否定ばかりされている環境だったら、その一歩は踏み出せなかったかもしれないです。

文化服装学院に通ってよかったことはありますか?

とんだ林蘭文化はファッションのジャンルだけをとってもいろんな子がいて、それぞれ志を持っている子が多いんです。ファッション好きの田舎のギャルだった自分が、ファッションの有名校に通って、友達にならなくてもさまざまな人と知り合えたことで自分の世界が広がったと思います。学校行事も参加していて、文化祭のメイキングムービーを作るのが楽しくて、毎年担当していました。

ファッションを学んだことが、アートディレクションの仕事に役立ったことはありましたか?

とんだ林蘭:ファッション系のお仕事をやらせていただくことも多いのですが、基本的な仕組みを理解していたのはよかったと思います。スタイリストコースでは服づくりだけではなく、ヘアメイクの授業があったり、毎日色々なことを教えてもらっていたのが楽しかったし、性に合っていたのではと思います。

作品のインスピレーションは、普段の生活の中から得ていることが多いとのことですが、職業病はありますか?

とんだ林蘭:何だろう、、。でも、生活している中でかわいいものを見つけると無性に何か作りたくなってしまうかもしれません!あとは、コラージュのフリー素材って探すのが大変なので、海外に行くと大量に素材を撮ってしまいフォルダが大変なことになってしまいます!(笑)

キャリアとしての次の目標などはありますか?

とんだ林蘭:今まで、計画的にキャリアを築いてきたというよりは来た依頼を受けて流れに身を任せてきた部分があります。なので、これからのキャリアについても明確にこうしたいというものがあるわけではないですが、まさかこの仕事ができるなんて!というお仕事ばかりになったら嬉しいですね。あとは、創作意欲が続くことが一番だと思っているので、意欲が減らなければいいなと思っています。

NEXT:とんだ林蘭さんが選ぶ、人生に影響を与えた漫画3選。

RELATED POST

今欲しいトレンドアイテムを 装苑オンラインがセレクト!   ー エンドレス試着室 ー
2024年ゴールデンウィークに訪れたい、最先端の注目ショップ&おでかけスポット情報...
レイヤードしたい透け感アイテム2024春夏トレンド 「エンドレス試着室」#82
文化服装学院を卒業し、アートやカルチャーの世界で活躍すること
偏愛映画館 VOL.52『関心領域』
偏愛映画館 VOL.54『マッドマックス:フュリオサ』
偏愛映画館 VOL.51『システム・クラッシャー』
偏愛映画館 VOL.53『バティモン 5 望まれざる者』