【special interview】
SUMIREが熱演、
映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」公開

2021.11.02

映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」でSUMIREが演じるのはバーテンダー、スーの役。時には女優やモデルもしているという。かおりに失恋した佐藤があるパーティーで出会い、そして恋に落ちていく。ほんの一時楽しい時間を共有した二人。佐藤のスーへの思いは?そして、スーが佐藤の前から去っていった理由は?言葉では表現しなかったお互いの心の内をSUMIREが語る。

――SUMIREちゃんは普段からスーちゃんと呼ばれていますが、今回の映画の役柄もスーちゃんですね。

小説も読ませていただいたのですが、原作でもスーなのでビックリしました。偶然ですね。

――映画の中のスーちゃんとSUMIREちゃんは違う?

結構内面的に自分とリンクするところはあったんです。なのでスーの役にはとても自然にはいり込めました。同世代ということもあるのでしょうね。

――共感が持てる部分があったということですが、スーとの共通点と相違点を具体的に教えてください。

映画の中のスーは、仕事をしているときは仕事の顔があって、佐藤や友達とあっているときはとても人間味があふれています。オン、オフのはっきりあるところが私との共通点かな。それがあることで役のスーと近づきやすかったのかも。スーと私は、もちろん経験してきたことや過去の思い出はそれぞれ違って、スーは心にどうしようもない寂しさや悲しさがあって、それが違いますね。そこの部分でどう彼女の気持ちに寄り添うかが、今回の映画での自分への挑戦でした。

――いままでいろんなタイプの映画に出演していますが、この映画の台本を読んでどう取り組んでいこうと?

スーの心の闇というのはとても深く、私の今までの寂しかったことや悲しかった経験と照らし合わせて、彼女の気持ちを理解しようとしました。台本を何度も読んでいくうちに、よりその気持ちがわかるようになったんです。

――監督からの要望は何かありましたか?

「このシーンはどう表現しようか?ここはどんな心情なんだろうね?」と、監督は常に一緒に考えてくれました。「私はこう思うんです」と言うと、その意見も汲み取ってくれて。気持ちを作る作業を手伝ってくださいました。

――今回の映画は2020年から1995年にさかのぼるストーリーですが、1995年というとちょうどSUMIREちゃんが生まれた時代ですね。

はい。学生の時から原宿、渋谷の町は知っていたので、なんとなくこんな感じだったんだろうなと想像はできました。ちょっと懐かしいと思えます。音楽やファッションはその当時の時代のものが好きなので、違和感はなかったです。

――2000年ぐらいはちょうど東京もストリートファッションが全盛でした。ベイプやアンダーカバーが全盛だった頃。その頃のファッションはどう思いますか?

私は古着が大好きで、その時代のアメカジとかをお手本にしてコーディネートしたりします。ジーパンにコンバースを合わせるのも私好みのスタイル。今の若い人は古着の着こなしをとても楽しんでいて決して古臭くない。今のモノをミックスしたりして、とても洗練されたファッションに仕上げていますね。

――映画の中での印象的だったセリフを教えてください?

主人公の佐藤と一緒にいるときに、“こんな人生も嫌いじゃないんだよね”とスーがつぶやくんです。これはとても自分の心に突き刺さりました。いいことも、悪いこともあるけど、それも人生だよなって。私もそう思うことがあるので、この一言で役のスーと、自分がつながったと思います。とても前向きな言葉だし、これからの日々に対する助言でもあると思うんです。いいことばかりじゃないですからね。悪いことも肯定したうえで前に進むという意味で。

――“時間”ということがキーポイントになっているようですね

絶対にできないけど、簡単にタイムリープしているように見えるところが興味深い映画です。映画じゃないとできない物語の流れ。時をさかのぼって世の中を俯瞰で見られるのは不思議な体験です。時間は早く過ぎてしまうと感じるときもあるし、その逆もあります。考えれば考えるほど不思議なものだなって。

――映画の中のスーは佐藤の前から姿を消してしまいます。具体的に言葉として表現されていませんでしたが、どういう気持ちだったと思いますか?

佐藤とはあるパーティーで知り合うことになって、かかわったのはあの一時だけ。本人の中では、あなたと十分に楽しい時間が過ごせて私は満足。あなたのことももう安心、そしてもう大丈夫と。スーは“あの一時で十分人生が満足できたから、また違うステップに行くわね”と思ったと思います。佐藤の心には忘れられない人がずっといたけれど、けっして無駄ではない素敵な寄り道が出来たんですね。

――このシーンはこうしたほうが良かったのかな、と思う部分はありますか?

過去の作品でもそう思うことはあるんですけど、でもそれはその時にしか表現できないもののはずだから、それでよかったのだと思うようにしています。今やったらそれ以上のものができるかもしれないけど、それは違う見え方になってしまうので。

――役柄としてとても難しかったのでは?

経験したことのない役でしたが、スーは女優であったりモデルもやっていたりしたので、そういうところでは近しく感じました。心のなかは違いますが。女優としていろんな女性を演じるのはとても勉強になります。モデルも俳優も、お互いの仕事にそれぞれがいい影響を与えて、共にステップアップできれば素敵です。

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Photographs:Jun Tsuchiya(B.P.B.)
hair & makeup : Mayu Ishimura

「ボクたちはみんな大人になれなかった」
監督:森 義仁
キャスト:森山未來、伊藤沙莉、萩原聖人、大島優子、東出昌大、SUMIRE、篠原篤
11月5日(金)より、シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほかロードショー&NETFLIX全世界配信開始

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