『ファッション・リイマジン』Mother Of Pearlのエイミー・パウニーに尋ねた、真のサステナブルファッション実現のために必要なことは?篠原ともえさんのコメントも。

何年もの間、世界規模で安い生産体制や労働力を追い求めていた歪みは大きい。

――変えていく旅の過程が映されていたのがまさにこの映画でしたが、エイミーさんが、何度も「やりたいことを見つけた」とおっしゃっていたのが印象的でした。そして私が驚いたのは、綿花の仕入れ先を辿って調べるのが難しかったり、紡績会社に羊毛を指定できないという、環境負荷をかけない生産方法を取るのに、立ちはだかる壁があまりに多いということです。こうした構造は、現在も変わらないのでしょうか?

エイミー・パウニー少しはよくなったけど、ほぼ同じですね……。ファッションのサプライチェーンは、本当にひび割れていて、壊れていると思います。現在は、もう少しブランド側が環境のために色々なことを要求するようになりましたし、消費者自身も自分たちを見つめ直すことによって少しずつ変わってきてはいますが、何年もの間、世界規模で安い生産体制や労働力を追い求めていた歪みは大きい。だって今まで誰も、「この素材はどこから来て、環境にどんな負荷をかけているの?」とは問わなかったんですから。「値段は?」という質問しかしてこなかったから、こんな状況なんです。

映画『ファッション・リイマジン』より

――ウルグアイで高品質な天然ウールを生産する、ラナス・トリニダード社とのエピソードも象徴的でした。同社とは現在、どんな関係性を結んでいらっしゃいますか?また、今エイミーさんに新たな心強いパートナーはいらっしゃいますか?

エイミー・パウニーラナス・トリニダードとともに開発した、劇中にも出てくる素材は、今もブランドで使用しています。この映画の中でも描かれていますが、ラナス・トリニダードの羊毛を使用したくても、実際、彼らの羊毛を使ってくれているのかを追跡するのは、非常に複雑で困難です。そのため、現在のところ、まだともに新しい素材を作るには至っていません。さらにこの映画以降、COVID-19のパンデミックがあり、私生活では二人の子供が生まれる変化がありました。そしてイギリスには、今、生活費の危機やブレグジット(※イギリスが欧州連合から離脱したこと)があります。これらのことがあって実現できていないのですが、できれば、またラナス・トリニダードとは別の方法で新たなファブリックを開発したいと思っています。

ただ、再生コットンや環境負荷をかけずに制作されたテンセルは、他のところから見つけています。ポルトガルで新たに羊毛のサプライチェーンも見つけました。100%の透明性を持って生産できるところです。でも、またウルグアイに行きたいですね。ペドロ(ラナス・トリニダードの責任者)と家族に会って、新しい素材を生み出したいです。彼らとメールのやりとりはしているんですよ!

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