着用者を守ってくれるようなプロダクトを作りたかった
――これまでのメイナーさんの歩みについてお聞きします。「インスティテュート・フランセ・ラ・モード(IFM)」に入学されていますが、様々な学校の中からIFMを選んだ理由はなんでしょうか?そこで得た、現在のブランドにもつながる実践的な学びはなんでしたか?
ヘド・メイナー:最初はエルサレムでファッションについて学んでいたんですけど、当時通っていた学校がファッション中心の教育ではありませんでした。けれど、そこでファッションについて勉強したことがすごく楽しかったので、もっとファッションに特化した場所で学びたいという気持ちになり、IFMを選んでパリへ移動することにしたんです。
ただ、実際にIFMへ通っていた期間は短かったです。それは学校の学びというよりも、制度的な部分で落ち着かなかったので、2ヶ月ほどで辞めてしまいました。けれど、パリに渡ったことで、様々な業界の人やファッションを好きな人に出会うことができ、そこから多くの学びを得ることができました。
――出会いがパリでは大切なものになられたんですね。では、ご自身のブランドを始めようと決意した時、目指したヴィジョンはどのようなものでしたか?そのビジョンは現在も変わりませんか?それとも新しく変化していますか?
ヘド・メイナー:服作りに対するヴィジョンというのは、特に変わっていないんですが、すべてのコレクションに共通点があります。中でもベースになっているのは「好奇心」です。ヴィジョンというと言語化するような側面があると思うんですが、何か概念的なものを持ってやっているというよりは、ベースにしている作り方というのがまずあって、それがすべての服作りにおいて基準になっています。ですので、最初のコレクションと現在のコレクションではだいぶ違っているように見えるかもしれませんが、メソッドというのは変わっていないんです。
そのメソッドがどのようなものかと言うと、既存のものを斬新なものに変えることです。それがベースのメソッドになっています。たとえば、ジャケットをもっとエッジなものにすることで、着用者の体に対するアプローチが変わってくることがあります。ただ、メソッドは大事にしているんですが、それを言語化したり、ヴィジョンという形で語ることはあまりしていません。
――パターンとカッティング、仕立てや素材の組み合わせに対する哲学を教えていただけますか?その哲学が、Desigualとのコラボレーションにも反映されている部分があれば、教えていただけますと嬉しいです。
ヘド・メイナー:共通するフィロソフィというよりも、アイディアはコレクションによって異なることが多いです。ただ、強いて言えば、既存のものを何か新しいものだったり、もっと感情を揺さぶるようなものにすることには気をつけています。過去のコレクションでは、もともと色褪せて見えていた服をハードウォッシュすることで、さらに色褪せて見える加工を行いましたし、去年のサマーコレクションでは、服自体が永久凍結されているようなルックに見せたくて、コットンの中にメタルを入れ込みました。こんなふうに、既存のものを新しい見方にするクリエーションをいつも心がけています。
――今回のコラボレーションでもそうですが、メイナーさんの服といえば、ボリュームのあるシルエットが魅力です。デザインする際は服の形を最初から明確にイメージされているのですか?あのシルエットは、どのようにして生まれているのでしょうか?
ヘド・メイナー:たしかにオーバーサイズだったり、ボリューミーな服が多いんですけど、それよりも着用者を守ってくれるようなプロダクトを作りたかった、もっと何か強いものを作りたかったんです。私はどんな形の服でも作ることはできますし、結果的にオーバーサイズにはなりましたが、アイディアとして根底にあったのはより強固で、着用者をプロテクトする服でした。
――最後の質問になります。ファッションデザイナーとして、最も幸せを感じる瞬間はどんな瞬間ですか?
ヘド・メイナー:スタジオで、チームと製作をしている時が一番幸せです。チームのメンバーがいい仕事をして、みんなで心地よい雰囲気を感じられたりすることが、やはりデザイナーとしては一番嬉しい瞬間ですね。
Desigual×Hed Mayner
WEB:https://www.desigual.com/ja_JP/stories/desigual-by-hed-mayner/
Desigual
WEB:https://www.desigual.com/ja_JP/
Instagram:@Desigual
Hed Mayner
Instagram:@hedmayner