xiangyu×半澤慶樹×文化服装学院
渋谷川に落ちているゴミから服を作るプロジェクト
第一弾<RIVERSIDE STORY 渋谷川編>

アーティストのxiangyuと「PERMINUTE」デザイナーの半澤慶樹さん声をあげ、文化服装学院ファッション高度専門士科に在学する1年生から4年生までの約20名と共に作り上げた、渋谷川やその周辺に落ちているゴミを拾ってそのゴミから服を作るプロジェクト第一弾<RIVERSIDE STORY 渋谷川編>。半年以上に渡って取り組んできたこのプロジェクトの集大成である作品が9月2日から5日間、恵比寿KATAにて展示された。そんな彼らの作品展示の様子と次なる野望をお届けする。

アートワーク作品

素材説明とゴミ拾いした場所がわかるQRコード

完成した服は計6体。それぞれのマネキンの下には服の素材となったゴミの説明とQRコードが貼られている。QRコードを読み込むとゴミを拾った主な場所をGoogle Mapで見ることが可能。壁には土とゴミから作ったアートワークが並び、さらに奥のスペースでは実際のゴミ拾いの様子や、ゴミを洗い綺麗にしている様子などの映像が映し出されていた。

タバコの吸い殻、羊毛で制作したトップスと、恵比寿エリアに多く落ちていたダンボールで制作したスカート。ダンボールとダンボールの繋ぎ目は縫っているわけではなく、ダンボールから作った紐で繋ぎ合わせたもの。時間の掛かる大変な作業ではあるが、全てダンボールから作り上げることで、よりクオリティが高くなるという学生の強い想いからこのスカートが完成した。

ゴミから人の行動心理が読める

ペットボトルからできた服。ペットボトルを紐のように細く切り、全て手で編んでいる。ペットボトルの種類によって厚さが違ったりと、試行錯誤しながら立体的なドレスに仕上げた。

クラフトボスのペットボトルは切りやすく編みやすいんです!と熱く説明するシャンユーさん。

展示中央に並べられているゴミは拾った場所ごとに、ゴミの変化がわかるように飾られている。手前は渋谷ストリーム周辺のゴミ。真ん中にいくにつれ、恵比寿エリア、奥は浜松町駅方面となっている。これらは全て同じゴミではなく、コンビニが近ければお弁当のゴミが多く、渋谷付近では頻繁にゴミの清掃活動などが行われているため、最近捨てられたような新しいゴミが多く見られたそう。さらに浜松町方面へいくと、不法投棄されたような物があったりと、場所によって時間の流れが異なり、時代を感じさせるゴミまで。ゴミから人の行動心理が読めるようだ。実際に拾った彼らだからこそ、ゴミの産地(拾った場所)まで説明ができ、素材にするまでの過程を全て話せる。

ある意味、原始的な作り方をしている

トップスは車のシート、アイロンコード。スカートはブルーシート、ペットボトルキャップ、ビニール傘の骨から作られている

トップスはアルミ缶。スカートはシーチングで作られている

これらの作品はパターンやデザイン画などは引かず、拾ったゴミありきで素材から想像し、手を動かしながら制作した。「ある意味、原始的な作り方をしている」と半澤さんは言う。素材の特性があるため、素材と素材の相性の悪さや失敗は多くあったがその分、学生の皆さんのエネルギーや知識、発想力を元に突き詰めて、想像以上の価値ある作品が出来上がった。

このプロジェクトの第2弾はどこの川へ行くのだろうか。大きな目標としてはナイル川までと語るシャンユーさんと半澤さん。今後の活動に注目したい。

【RIVERSIDE STORY 渋谷川編】 
WEB:http://kata-gallery.net/schedule/riverside-story_20220902
Instagram:@riversidestory_shibuya 


<RIVERSIDE STORY>
川やその周辺に落ちているゴミを拾ってそのゴミから服を作るプロジェクト。
第一弾は、渋谷川編。日々街並みが目まぐるしく変わる渋谷。
この街をひっそり流れているのが渋谷川です。駅周辺の都市開発と共に一部暗渠(あんきょ)となったこともあり、渋谷に馴染みのある人でもどこを流れているか知らない場合もよくあるそうです。渋谷ヒカリエの出口からほど近い、川のスタート地点から流れに沿って歩いてみると、飲み終わったコーヒーカップやサンドウィッチの包装フィルム、 タバコの吸い殻などが物陰に隠すようにあちらこちらに落ちているのが目に入ります。 川の近くにはコンビニが多く、そこで手に入る物のゴミが多いことに気がつきます。もしかしたら、 川を取り巻く環境によって落ちているゴミの種類が違ったりするのかも?落ちているゴミからその周辺を行き来する人たちの動きや街の成り立ち、つまりその土地に根付く文化の輪郭が見えてくるのかもしれないと考えるようになりました。

xiangyu
アーティスト。2016年に文化服装学院ファッション高度専門士科を卒業。’18年にアーティスト活動をス開始。自身の衣装を自ら制作したり、学生の頃に始めた、軍手を使ったクリエイションをライフワークとして継続。‘21年には映画『スパゲティコード・ラブ』に出演、さらに主演映画『ほとぼりメルトサウンズ』では主題歌「LIFE!」も担うなど、多方面から注目を集めている。
Instagram:@xiangyu_dayo
YouTube:@official xiangyu

Yoshiki Hanzawa
1992年生まれ、福島県出身。文化服装学院ファッション高度専門士科及び、ここのがっこうを卒業。2016年より自身のブランド、PERMINUTEをスタート。‘18年春夏コレクションでランウェーデビュー。ファッションデザイナーの他にも、広告ビジュアルのディレクションやファッションディレクションなども手掛け、幅広い表現で活躍している。
Instagram:@_perminute_

合わせてチェック!
アーティスト xiangyu × 「PERMINUTE」デザイナー半澤慶樹 RIVERSIDE STORY 渋谷川編 -川のゴミから作る衣装展-はこちら
『装苑』3月号「xiangyu × PERMINUTE 半澤慶樹頭の中を刺激し合うふたり」スピンオフ企画はこちら

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