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金峯山寺の秘仏本尊・蔵王権現像の
VR映像を大型スクリーンで紹介 
奈良国立博物館へ行こう!

2026.05.25

text : Sachiko Tamashige

 特別展「神仏の山 吉野・ ―蔵王権現に捧げた祈りと美―」が奈良国立博物館で6月7日まで開かれている。本展は、自然と神仏への信仰が一体となって生み出されたこの地域ならではの宝物を一堂に集め展覧している。

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 山が連なる大自然、そこに神と仏が宿り、仙人が棲むといわれ、古来より山岳信仰・修験道の聖地といわれた世界文化遺産“吉野・大峯”。その中心にあるのが金峯山寺で、飛鳥時代、修験道の開祖といわれる役行者(注1)により開かれた。1300年前、役行者が、大峯の山上ヶ岳で、国の安寧と人々の救済を祈り、蔵王権現像を感得した。

岩が割れて姿を現した蔵王権現像を、役行者がヤマザクラの木で彫り出し、安置したことから金峯山寺の歴史は始まる。金峯山寺に祀られている蔵王権現に捧げるため、人々は、桜の木を、一本一本、祈りをこめて植えていったという。

現在、その数は3万本ともいわれ、吉野は、桜の一大名所として、春には10日間で55万人が訪れるという。そして、吉野・大峯では、古来から修験の行者たちが険しい崖を登り、熊野に続く奥駆け道を駆け巡り、大自然の中で厳しい修行を行なってきた。吉野・大峯は、まさに人々の祈りにより彩られ、守られてきた聖地なのだ。

  本展は、吉野・大峯で生まれた日本独自の神仏習合の信仰のかたちを丸ごと体感できる貴重な場となっている。

 山岳修行の祖・役行者像や蔵王権現像、曼荼羅や鏡像、人々が祈りを捧げた神像や仏像といった信仰に関わる宝物とともに、藤原道長自筆の国宝・紺紙金字経を修理後初公開している。

特筆すべきは、山岳信仰の祈りの対象である蔵王権現像が吉野の山奥から、海外から、大集結という、史上初の快挙が実現したことだ。山深い大峯山寺より、秘仏や寺外初公開の5軀の蔵王権現立像(平安~鎌倉時代/12~13世紀)が一挙降臨、米国のロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)が所蔵する蔵王権現立像(鎌倉時代・13世紀)も里帰りした。

そして、圧巻なのは、山岳信仰の最大の聖地である金峯山寺の本尊もVR映像で登場したことだ。本尊は、蔵王堂に安置されている蔵王権現立像3軀(注2)。巨像として著名で中尊は約7mもあり、通常は非公開(秘仏)で、「日本最大の秘仏」と称される。

本展では、この蔵王権現立像3軀が、16Kの高精細のVR映像で再現され、幅約18m・高さ約4.5mの巨大スクリーンに投影され、来場者を圧倒した(コラム参照)。女人禁制の大峯山寺から約1000年ぶりに下山した蔵王権現立像とバーチャルだが大迫力の金峯山寺の秘仏の蔵王権現立像が同じ展覧会で展示されることは、この機会を逃したら二度とないかもしれない。

 そして、奈良博の別棟となる仏像館には、金峯山寺の国宝仁王門が解体修理中のため、重要文化財「金剛力士立像」2軀が展示されている。それぞれ5メートルを超える大迫力だ。

 同展は、山岳信仰が吉野・大峯という聖地でどのように繰り広げられ、それが、現在の日本文化の基層にどのような影響を与えてきたかを知る上でまたとない機会を与えてくれている。

(注1)役行者は修験道の開祖
人々を救済するために山上ヶ岳で千日祈り、蔵王権現を感得した。それは、日本独自の仏の姿で、神であり仏である、神仏習合の最たる例だ。

(注2)現存の蔵王堂は、天正18年(1590年)に豊臣秀吉の寄進によって再建されたもので、蔵王権現立像3軀の造仏は、秀吉の発願した方広寺大仏(京の大仏)の造仏にも携わった、南都仏師の宗貞・宗印兄弟が手掛けた。安土桃山時代の絢爛豪華さの特徴をもつ、色鮮やかで圧倒的な存在感がある仏像。天下統一を果たした秀吉が蔵王堂を再建し、1594年には徳川家康、伊達政宗などの大名、公家ほか五千人を引き連れ、盛大な吉野の花見を催し、豊臣政権の揺るぎない地位、権力と富をアピールする舞台にもなった。

特別展「神仏の山 吉野・大峯 ─蔵王権現に捧げた祈りと美 ─」[後期]
会期:開催中〜2026年6月7日(日)
場所:奈良国立博物館
   奈良市登大路町50番地
時間:9:30~17:00(*入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日
料金:一般¥2,000、大高生¥1,500、中学生以下無料
WEB:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/yoshino_omine2026

日本最大の秘仏「蔵王権現立像3軀」(正式名称「金剛蔵王大権現3体」)の特別ご開帳
世界遺産 金峯山寺では、現在、保存修理事業を進めている国宝「仁王門」大修理勧進のため、国宝「本堂・蔵王堂」の日本最大秘仏ご本尊「金剛蔵王大権現3体」の特別ご開帳を、毎年の春と秋に期間を定めて行っている。開催時期等はwebサイトをご参照下さい。https://www.kinpusen.or.jp

コラム
TOPPAN、世界文化遺産 金峯山寺の秘仏を 超高解像度16KでVR化 
TOPPAN株式会社(以下は、TOPPAN)は、本作品の製作にあたり、金峯山寺の協力のもと、蔵王堂の外観、天井や柱などの内部構造、蔵王権現立像をはじめとする仏像や仏具に至るすべてを対象に、三次元形状計測と超高精細デジタル撮影を実施。金峯山寺や山上ヶ岳などに何度も通いながら、撮影し、寺側と議論を重ねて、VR映像制作には、4〜5年かかった。

奈良博の本展の巨大スクリーンで公開されているVR映像は4分40秒の短いバージョン。約20分間の長さのバージョンは、金峯山寺聚法殿にある「金峯山寺シアター」で定期的に公開(公開期間などはwebで事前確認が必要)。TOPPAN小石川本社ビル地下1階の印刷博物館内「デジタル文化財ミュージアム KOISHIKAWA XROSS®(コイシカワ クロス)」にあるVR THEATERでも週末に公開されている※

※2026年7月25日(土)から土曜日、日曜日、および土日に続く祝日に公開予定。
※7月20日(月・祝)までは『システィーナ礼拝堂』を上映中。
 上映スケジュールは印刷博物館のwebサイトをご参照下さい。
WEB:https://www.printing-museum.org/

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