【SS2023パリコレ・メンズ】待望の日本勢の活躍
vol.4 ダブレット

2022.06.30

6月21日から6日間の日程で開催された2023年春夏パリ・メンズ・ファッションウィーク。今期はコロナが収束する中、リアルなショーとプレゼンテーションが大幅に復帰し、公式カレンダーの84ブランドのうち、デジタル発表にとどまったのは6ブランドのみ。特に日本勢の活躍が目覚ましく、パリがファッションの国際都市として活気を取り戻したシーズンになった。

DOUBLET
真夏のパリに雪を降らせたダブレット

毎回ユーモアに富んだコレクションで人々を楽しませているダブレット。久しぶりのパリで見せたのは、真夏に雪(フェイクスノー)を降らせるという幻想的なショーだった。タイトルは「IF YOU WANT IT」。

©B.P.B. Paris

ピクニックをする家族やバーベキューをする若者たち。思い思いに夏を過ごす彼らだが、ショーの開始と共に時間が止まり、雪景色が広がっていく。そんな今回の演出についてデザイナーの井野将之は「伊坂幸太郎の『砂漠』という小説が好きで、その中の言葉『その気になれば、砂漠にだって雪を降らすことができる』を体現したかった」と話す。

©B.P.B. Paris

ショーでは、ひねりの効いたトロンプルイユの服に加え、顔のない巨人のようなルックも登場。5本指のユニークなシューズはカルマンソロジーとのコラボレーションで作られた。

©B.P.B. Paris

ダブレットは4 年前にも常夏の国シンガポールで、フェイクスノーを使った演出を行っている。初めて雪を見てはしゃいでいた子供たちの笑顔が忘れられなかったという井野は、次のようなメッセージを綴っている。

「・・・今は、ありえないことが起こる時代。ありえない服、ありえないファッション。けれどそこに実際に存在すること。奇跡が起きることを信じて。世の中のどうにもならないことでも、がむしゃらに本気で思えば、きっと世界を少しでも変えることができるはず。砂漠に雪を降らすように。真夏のパリに雪を降らせることもきっとできるはず。少しでもあの時のような笑顔が広がるように」

インタビューを受ける井野さん。顔には雪メークが(笑)©B.P.B. Paris

Text : B.P.B. Paris