2023-’24年秋冬パリ・メンズコレクション/
ディオール(DIOR)

2023.01.21

1月17日から6日間の日程で2023-’24年秋冬パリ・メンズコレクションが開催され、78ブランドが公式スケジュールで新作を発表。今シーズンの必見ブランドやトピックスをご紹介します。

Dior
ディオールはT・S・エリオットの文学を重ね合わせて

ディオールはコンコルド広場に特設したテントでメンズコレクションを披露。メンズのクリエイティブディレクターであるキム・ジョーンズは、コレクションを次のように解説している。

「メゾンのサイクルは、ファッションのサイクルそのものと同じように、再生と若返りを繰り返します。現在と未来には常に過去が宿り、ディオールも例外ではありません。今回のコレクションでは、ムッシュ ディオール急逝後のメゾンの再生と、後継者として彼が抜擢したイヴ・サンローランによる若返りを、T・S・エリオットの『荒地』のイメージやテーマを通して、文学と重ね合わせながら見ていきたいと思ったのです。そこには、古い世界が、変化と流動の中で、新しい世界と出会っています」

T・S・エリオットの文学的モチーフである大河は、ジョーンズのインスピレーション源でもあるのだとか。コレクションでは、循環、ムーブメント、気楽さ、流動性がテーマの中心となり、加えて21歳でクリスチャン・ディオールの後継者となったイヴ・サンローランのダイナミズムが反映される。

特にインスパイアされたのは、サンローランが最初に手がけた1958年春夏のオートクチュール。マスキュリンとフェミニン、英国のテーラリングとオートクチュールが融合した革新的な作品であり、当時のセーラー風アンサンブルはジョーンズによってメンズジャケットに再解釈された。クチュールの要素はリボンのディテールにも見られ、ギリシャ彫刻を思わせるドレープのニット、ケープのようなアランセーターもある。

ショーではランウェーを取り囲む巨大スクリーンに『荒地』の一節を朗読する俳優の顔が映し出された。継続と再生のテーマを追求したものであり、同時にサンローランが求めた厳格なシンプルさを投影している。

Text:B.P.B. Paris