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オーラリー・岩井良太が大賞、 フェティコ・⾈⼭瑛美、ミナ ペルホネン・皆川明らの受賞コメント全文
「第43回毎日ファッション大賞」の表彰式が開催!

2025.10.28

毎日新聞の創刊110年を記念して1982年に創設された「毎日ファッション大賞」は、ファッションに携わる人や企業、団体の優れた業績を称えるとともに、新たな才能を発掘し、ファッション界の活性化や文化の育成を目指している。今年度の表彰式が2025年10月23日に開催され、各部門で5組が表彰された。

年間を通じ、ファッションという文化活動のなかでもっとも優れた成果をあげた人に与えられる大賞には「オーラリー(AURALEE)」のデザイナー、岩井良太さんが選ばれた。

岩井さんは、文化服装学院夜間部で学んだのち、ニットメーカー「ノリコイケ(norikoike)」などで、パタンナーやデザイナーとして経験を積んだ。2015年にオーラリーを設立し、17年に東京・南青山に旗艦店をオープン。19年にパリ・ファッションウィークに参加、さらに同年、毎日ファッション大賞の新人賞・資生堂奨励賞を受賞。

徹底して生地作りにこだわった、ベーシックかつ洗練された時代に刺さるクリエイションが評価され、今回ついに大賞を受けることとなった。

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岩井良太さんコメント

ブランドを立ち上げてからちょうど10年が経ちます。節目の年にこのような賞をいただけることは身に余る光栄です。オーラリーは、生地が好きなだけで何者でもなかった自分が、日本の生産背景を生かして最高のものづくりをしたいという思いで始めたブランドです。

ものづくりというのは本当に思い通りにいかないことばかりですが、それでもここまで続けてこられたのは、僕のわがままなこだわりにいつも真摯に向き合ってくださる生地屋や工場や職人の方々、原料を提供してくださる海外の産地の方々、一緒に成長してきたチームのみんな、そしてオーラリーの服を手に取ってくださる皆様のおかげです。

シーズンを積み重ねる中で、僕たちの服に共感してくださる方々が少しずつ増え、海外で発表を始めてからは、日本のものづくりが世界でもしっかりと評価されるのだと改めて実感しました。それが自信にもなり、これからもより良いものを作って世界に広げていけたらと思っています。

このような大きな賞をいただけて光栄なのですが、僕が日々幸せを感じるのは、天気が良かったり、いつものお弁当を食べたり、お風呂に入ったり、そんな毎日のささやかな瞬間です。オーラリーの服も同じように、派手なインパクトを残すものではありませんが、服を着てくださる方が日常の中でふと嬉しい気持ちになったり、少し気分が高揚したり、そんな存在でありたいと思っています。これからも背伸びをせず、自分たちらしさを大切にしながら成長し、素材への好奇心と関わってくださる皆様への感謝を忘れず、誠実に服作りを続けていきたいと思っております

新人賞・資生堂奨励賞は「フェティコ(FETICO)」デザイナーの舟山瑛美さんが受賞。国内の企業やセレクトショップで経験を重ね、「クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)」のウィメンズデザインを手掛けたのち、2020年に自身のブランドを設立。コンセプトは「The Figure: Feminine(その姿、女性的)」で、新しい時代を築いていくような女性像を提案している。

舟山瑛美さんコメント

ブランドは5年前に、私とパタンナーの2人きりで始めました。私自身、海外の名門校を卒業したわけでもないですし、国内外の歴史の深いブランドで経験を積んだわけでもありません。ただ、高校生の頃からずっとデザイナーになりたいという夢を持って、10年ほど企業デザイナーとして経験を積みながら、自身のブランドを立ち上げるまでに至りました。

この仕事を通して出会う人たちだったり、自分が思い描いていたものを形にして、人を幸せにできるファッションデザイナーという仕事が本当に大好きで、この仕事を一生続けたいという覚悟を持って携わっています。

この賞は、立ち上げからずっと支えてくれている夫や家族、スタッフのみんな、生地屋、工場、フェティコに関わってくれる皆さんに送られたものだとも思っています

表彰式では舟山さんによるプレゼンテーションも実施。現在に至るまでのコレクションから、白と黒を基調としたルックをショー形式で披露。5年の歩みを振り返る内容に、船山さんの今後のさらなる活躍に期待が高まった。

また、今回は選考委員特別賞として「ミナ ペルホネン(minä perhonen)」 デザイナーの皆川明さんが受賞。皆川さんは大賞にノミネートされていたが、選考の過程で、30年間の堅実な活動を改めて顕彰し、たたえたいという声が多くあがり、特例での受賞となった。

皆川明さんコメント

私たちは今年で30周年を迎えます。せめて100年は継続できるブランドという思いで1人で始めましたけれど、少しずつ仲間が増え、そして生産者の皆様の力を借りて、ひとつひとつの製品が出来上がってくる、ということを積み重ねてまいりました。30年経てば、日本の生産地も生産者の皆様も以前のように活性化していくかと思っていたんですけれども、このような栄誉ある賞をいただきながら、まだその道は半ばだというようにも感じております。

だからこそ、この30年以降も、また生産者の皆様と力を合わせて、そして私たち独自の開発を続けながら、お互いに力を伸ばしていって、物を作る人の喜びと、そしてそれを着る、使う人の喜びを同時に叶えていけるようなデザインに精一杯力を尽くしたいと思っております

長年にわたりファッション業界の発展に貢献した個人や団体に贈られる鯨岡阿美子賞には、株式会社糸編の代表取締役でファッションキュレーターの宮浦晋哉さんが選ばれた。

2013年、東京・月島に日本各地のテキスタイルが集まるコミュニティスペース「セコリ荘」を開設。2017年に株式会社糸編を設立し、クリエイティブの橋渡し役として、ものづくり支援やコンテンツ制作、リサーチなど多岐にわたる活動を続けている。

宮浦晋哉さんコメント

僕は起業して13年ほどで、まだまだ駆け出しなんです。長年ファッション業界に貢献した方にお送りするこの賞をいただけるなんて、いまだに信じられない思いです。

月島で事業をスタートした当時は、貯金残高が3万円ぐらいしかなくて、大家さんにタダで古民家を貸していただいたんです。そこに住みながら日本全国の産地を回り始めました。日本全国には糸作り、生地作り、ニッティング、染色加工、縫製工場といった繊維産地がたくさんあって、本当に夢中になって、毎週のようにいろいろな産地に行かせてもらいました。当時の僕は留学帰りで、ロン毛にヒゲ面でボロボロのジーパンを履いていました。そんな風貌の僕でも、これまで13年間、1000件以上、1度も断られることはなく、現場で繊維のこと、テキスタイルのことをたくさん教えていただいて、今日まで活動を続けてくることができました。

これからは教えていただいたことや経験を次の世代の皆さんにも伝えていくのが自分の役割だと思っております。この賞に恥じないように精進していきたいと思います。

日本の産地は本当に面白くて、今も変わらず夢中になっています。もしこの会場の中に産地に行ったことがない方や、産地の楽しさがわからないって方がいたら、来週も再来週もいろいろな産地に行くので、ぜひ僕と一緒に行きましょう! ありがとうございました

年間を通じて、その活動がファッション文化の発展に大きく貢献し、社会的な影響を与えた個人や団体、企業に贈られる話題賞には、YKK株式会社の「YKKファスニングアワード」が選ばれた。2001年に創設された同アワードは、学生を対象としたファッションデザインコンテストで、「人が身に着けることができる作品」をテーマに、YKKのファスニング商品の機能を活かしたデザイン提案を募っている。

創設当初の応募点数は600点余りでした。初めは、ファスナーやスナップボタンといった、我々のファスニング素材そのものを見せる装飾に趣がありましたけど、回数を重ねるごとに、着用する方々に寄り添ったデザインへと変化しました。毎年、それらの作品ひとつひとつを通して、クリエイターの皆様の熱いパッションが伝わってきました。今年の応募点数は7763点と、かなり応募数が増え、今では日本最大級のファッションデザインコンテストに成長したことに皆一同喜んでおります。

今年はアワードの25周年を記念して、従来のグランプリ、優秀賞、審査員特別賞、YKK特別賞の他に、資源循環や廃棄削減を前提としたサーキュラルデザインの観点で優れた作品を選出するCircular Design特別賞を設けました。来年以降も、学生の皆様から、さらに資源の循環に関心を持ったアイデアを提案いただけることを切実に願ってる次第です

毎日ファッション大賞

Instagram:@mainichi_fashion_grand_prix
WEB:https://macs.mainichi.co.jp/fashion/

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