コシノヒロコさんより次世代デザイナーへのメッセージ

撮影:Shimpei Mito
展示鑑賞後には、コシノヒロコ本人によるトークセッションを実施。参加デザイナーから事前に寄せられた質問をもとに、創作との向き合い方や世界で活動するために必要な姿勢、アートと商業の関係などについて語った。
冒頭でコシノさんは、「ファッションとは自分の生き方そのもの。人生観そのものが服に表れる」とコメント。展覧会を通じて自身の歩みや考え方に触れてほしいと語るとともに、「単なる模倣ではなく、自分自身の表現として昇華してほしい」と、会場に集まった若手デザイナーたちへメッセージを送った。
Q1.「今の若いデザイナーが世界で道を切り開くために、どのような力や姿勢が必要でしょうか?」
日本のアイデンティティを徹底的に自分のものにすることです。日本人でありながら日本を知らずに海外へ出ても通用しません。感覚を磨くにはいいものを見ること、一流と付き合うこと。食べてみないと味がわからないのと一緒です。頭で理解する前に、まず手で掴むということです
Q2.「スランプや壁にぶつかった時、どうやって乗り越えてきましたか?」
なんとなくスランプかな、と感じるときはあります。そんなときの逃げ道はアート。絵を描くことでひらめきが生まれ、またファッションへ戻っていきます。私は生きるか死ぬかという境に何度もぶつかりましたが、そういうことを味わわないと、人間らしい仕事はできません。逆境は自分から掴みにいかないとダメ。妹のジュンコとのライバル関係も、お互いを刺激し続けるエネルギー源でした
Q3.「長年活動される中で、変えなかったことと変え続けてきたこととは?」
私ってすぐ飽きちゃうんですよ。常に実験的だけれど、根底は揺るぎません。 未完成だから面白い。どこでやめるか、これが難しいですね。やっぱり感覚なんです。同じものにかじりついていてはダメ、適度に飽き性であることが創造の原動力です
Q4.「アートと商業のバランスを、どのように保ってきましたか?」
起点は常にアイデアであり、着る人への想像力です。素材は触って、軽さや着心地まで思い描いて選びます。安価な素材でも優れたものは作れるものです。立体裁断では体型に関係なく人を美しく見せる錯覚を生み出すことができます。美しい形の中に人間を入れる。妥協はしたくない、でもその中でどこまでできるか——アートと商業の間で考え続けることそのものが、私の姿勢です
吉田圭佑氏が語る、「ショーを続ける」ということ
トークセッションには、「KEISUKEYOSHIDA」デザイナー・吉田圭佑氏もゲストとして登壇。ショーを継続する意義や、インディペンデントブランドとして活動を続けるための考え方について語った。

撮影:Shimpei Mito
ファッションとの出会いは中学時代、偶然目にしたコレクション誌。
「それまでファッションは“自分が着るもの”だと思っていた。でも、こんな世界があるのかと衝撃を受けた」
その体験が、ショーという表現形式への強い憧れの原点となったという。
デビュー当初は学生時代の仲間たちとの合同ショーからスタートし、モデルや会場をシェアしながら発表を重ね、後に単独ショーへと発展させてきたKEISUKEYOSHIDA。インディペンデントブランドにとって予算の壁は常につきまとう。それでも「ショーをやりたい」という思いに共鳴する協力者を得ながら、他ブランドとの共同開催など工夫を重ね、継続できる体制を築いてきた。
「ショーを続けることへのこだわりは、ファッションが“半年に一度”のリズムで更新され続ける表現だからこそ。たまにやるだけだと、その流れから外れてしまう感覚がある。続けることで、時代の変化を身体感覚として掴めるようになるんです。半年ごとのコレクションを積み重ねること自体が、感覚を磨き続けるトレーニングになるのだと思います」
その言葉は、コシノさんが先に語っていた「感覚を鍛え続けること」の重要性と重なっていた。ショーを継続することは、単なる発表の場ではなく、デザイナー自身の感性を更新し続ける営みでもある。その姿勢は、会場の若いデザイナーたちへの力強いメッセージとなった。
(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ー新鋭/真説 コシノヒロコー
会期:2026年5月26日(火)〜7月26日(日)
休館日:月曜(7月20日は開館)、7月21日(火)
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
場所:東京都現代美術館 企画展示室 B2F
東京都江東区三好4-1-1
問い合わせ:TEL03-5245-4111
WEB:https://hirokokoshino.com/unknown/
HIROKO KOSHINO
WEB:https://www.hirokokoshino.com/
Instagram:@koshinohiroko_official



