幼い頃からアートが好きだったという田中優さんは、絵を描く中で平面だけでなく立体作品を作りたいという思いが芽生え、次第に服作りに興味を持つようになっていったという。高校生の時には、服を解体してその構造を知り、独学で制作を始め、自分のブランドを立ち上げたいという強い意志を持って、文化服装学院ファッション高度専門士科に入学。

日本の刺青をデザインに落とし込んだシースルードレス。

photograph : Anne Yano / hair & makeup : TONI&GUY / model : Nene

「学校では、グラフィックやパターン制作、縫製、CADの使い方、ファッションビジネスなど、ファッションにまつわることを多岐にわたって学びながら、デザインしたものを服として具現化するための技術も身につけることができました」

スパンコール生地にオリジナルの浮世絵をプリントしたドレス。

photograph : Anne Yano / hair & makeup : TONI&GUY / model : Aoi

　田中さんが服作りをする上でインスピレーション源としているのは、日本の伝統文化と、ほかにはないものづくりの技術。

「日本ならではの素晴らしい文化と技術をできるだけ世界に伝えていきたいという思いで、群馬県・桐生に出向き、絹糸を調達したり、デッドストックの着物の生地を使うなどしています。日本独自の絵柄や色の名前などにも興味があり、服を作るようになってから、日本の歴史や服装史を一から勉強して、グラフィックや染色にも落とし込んでいます。できるだけ化学染料ではなく天然の植物で染めるなど、持続可能なものづくりをしていきたいです。そして近い将来には、パリでコレクションを発表したいという目標もあるので、世界から見た日本をよりよいものにしていけたらと思っています」

蝶のモチーフを1枚ずつ手でつけ、グラデーションに染色したフリンジドレス。

photograph : Anne Yano / hair & makeup : TONI&GUY / model : Aoi

1枚1枚グラデーションに染色した羽根を施したセットアップドレス。

art direction & produce : Junior Berenguer / photograph : Solene Ballesta / hair & makeup : Anne Pagis / model : Erika Gold / location : 藤樹園

田中さんにとって赤は創作意欲をかき立てられる色とのこと。どの作品にも赤が印象的に取り入れられている。

photograph : Anne Yano / hair & makeup : TONI&GUY / models : Nene, Aoi, Pippi, Ako