
パンクとは
〝誰もやっていない〞を貫くこと
クラフトが生むtokioの反逆

『装苑』2025年9月号 掲載
2025-’26 年秋冬Rakuten Fashion Week TOKYOでパンキッシュなクラフト服の数々を披露し、注目を集めたtokio。手がけるのは、デザイナーの木村登喜夫さん。
「裏原カルチャーがど真ん中の世代で、そのへんのお兄ちゃんがスターになる時代でした。僕も、もちろん憧れてしまって(笑)。17歳の時、“デザイナーになる”って決めて文化服装学院に入学しました」
卒業後は、OEM(生産管理)や衣装制作など様々なファッションの現場を経験。
「OEMを経験する中で、完璧な服を作って納品しても、“機械がやったみたい”だと言われることが多々あって。もしかしたら少しゆがんでいたり、ずれていたり、そんな人のぬくもりのある服も面白いのでは?と思うようになったんです。だったら工場を通さず、1点ずつ自分の手で縫える服を作ろうと、’21年にtokioをスタートしました」

アトリエの風景。ここで古着のリメイクやtokioの服が生まれる。
初のランウェイショーのテーマは「I’m STRANGER」。全25体のルックはデザイナー自身を投影したものだ。チェック柄やボンデージ、アナーキーマークなどパンクの象徴を軸にしながら、ボヘミアンな刺繍デニム、ミリタリーアイテムなど多彩に展開。古着のリペア、編み物、パッチワーク、原色の大胆な色づかいなど、木村さんの10年分のルーツと技術が融合したアイテムは、すべて手仕事で制作されている。

’80年代パンクスのDIY精神を現代風に解釈
黒デニムにバイオブリーチを施して色を抜いた後、黒いパッチを当てて後染め。さらにストーンウォッシュ加工で、まだらに色を抜いたクラフトパンツ¥180,000 パッチの装着は、’80年代のパンクスにならい木工用ボンドを使用。現代風のバギーシルエットにアップデートした。
「僕の思うパンクの精神を込めたコレクションです。安全ピンやボンデージといったパンクっぽい要素は、あくまで手段。本質は、誰もやってないことをやる“反逆”の意思と、いいと思ったものを作り、“信じるものを突き詰める力”を表現しているところにあります。僕にとってパンクは、限界まで自分の手でやってみること。だからこそ毎日、手を動かして、とにかく誰も見たことがない、手作業ならではのワクワクする服を作っています。着てくれる人がtokioの精神に共感して、一つのカルチャーとして広がっていくと嬉しいです」

’60年代のボンサックバッグをリメイク。ニューヨークのピストバイカーにインスパイアされて制作。表地は3重に布を重ね、スラッシュ状の切り込みを入れ、すべてにステッチを施している。かぎ針編みの装飾もすべて手仕事で、クラフト感あふれる一点物。¥58,000

2025年秋冬コレクションより コーデュロイ生地を、パッチワークで仕立てた
パンツ。足もとに向かってグラデーションする。¥120,000

古着から広がるtokioの世界
とにかく古着が大好きで、シルエットやデザインの着想を得ることも多いという木村さん。地元の柏で古着店「times HIMITSU club」( @times_himitu_club)も営んでおり、「tokioを知らなくても立ち寄れる場として機能しています。リメイクアイテムも置いているので、古着を通じて僕の世界観が伝われば嬉しいです」と話す。 私物のパンクアイテム。
ブランドプロフィール

木村登喜夫●1985年生まれ、千葉県出身。文化服装学院卒業後、OEM会社、ドメスティックブランドのアシスタントや営業、古着のリペア、リメイクなどを経験。2021年春夏コレクションよりオリジナルメンズブランド、tokioを展開。’24年、TOKYO FASHION AWARDファイナリストに選出。’25年1月、パリにて展示会を開催した。 @tokioworks.official
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文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official