包み込むようにフィットし
着る人の魅力を
最大限に引き出すニット
『装苑』2024年9月号 掲載
優雅に流れるシルエット、凹凸で遊んだ大胆な透かし編みのディテールが、まとうものをモードに映し出し、魅了するKAKANのニット。シグネチャーアイテムである手編みニットは誰にでもフィットし、本質的にフリーサイズだ。
「手編みのニットは、よりを多くかけてキックバックを増やすことで、まとう人によって形を変える余白を残しています。伸び縮みにたけた糸を使用しており、骨格に合わせて広がり落ちるので、ボレロになったり、ガウンになったりと自由自在です。私はクリエイションを行う中で、境界線のない抽象的なものを描くことを大切にしているので、ニットという型がないプロダクトに魅力を感じています」
ブランドのシグネチャーアイテム「手紡ぎのニット」
ブランドを象徴する糸を一から手で紡ぎ、手編みで制作した「手紡ぎニット」。綿の状態から糸紡ぎ機でよりをかけ、毛糸を1本1本制作することで、ほかにない凹凸のある編み地に。また、原毛を使用したドレスは、アートピースとして制作。ファーストシーズンは秋田県の羊の原毛を使用している。動物のありのままの美しさを表現するため、今後も様々な国の原毛で展開をしていく予定だ。
ニットを身近に楽しむエッセンシャルなアイテムたち
「ニットを合わせる前提で制作したテーラードジャケット(¥129,800)、パンツ(¥99,000)のほか、カーディガン(¥110,000)など、日常使いを考えたアイテムも展開。自分らしく身近にKAKANを楽しんでいただけると嬉しいです」
ビューティ業界にもいたことがあるデザイナーの工藤花観さんは、ファッションは外側を取り繕うものではなく、内側の自己表現として考えるように。“ファッションは感情の鏡”だからこそ、着る人の生活に楽しさや喜びの着地点があってほしいと願う。抜群の存在感を放つKAKANのニットは、その高揚を可能にするようなアイテムだ。
「服を着る人が心から楽しみ、周りの人もハッピーであることがファッションだと思います。KAKANを着ることでそんな思いが生まれていくと嬉しいです」
ブランド立ち上げのきっかけになった赤い手紡ぎのガウンニット¥495,000
スワンをイメージした毛足のある形状の糸を使用。ゆったりと編み立て、着用時にストレスのない軽さを実現。スワンファードレス¥143,000
スワンファーベスト¥104,500、カーディガン¥110,000
右 編み地の伸びといびつさを生かし、立体に組み上げることで、自在に変形するマルチベスト¥85,800、左 縦横斜めの方向に編み立て、らせん状のシルエットにしたニットスカート¥176,000
手紡ぎの編み地を袖口に編み込んだプルオーバー。シルクモヘアにウールを添え、膨らみとこしを与えた。¥99,000
ブランドプロフィール
Kakan Kudo 工藤花観○高校を卒業後、セントラル・セント・マーチンズの基礎課程でファインアート、ファッションアクセサリーデザインを専攻する。その後、ファッションだけでなくオペラや絵画に代表される歴史や芸術文化、料理にまで色彩や美意識を持つイタリアに渡り、イスティチュート・マランゴーニでファッションデザインを専攻。帰国後、2024年に、パタンナーとともにKAKANを設立。Instagram @kakan.ars
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EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー
文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official