細部までこだわりを追求した心地よく、心躍る服で
東京のカルチャーを盛り上げたい
『装苑』2024年3月号 掲載
東京大学大学院と文化服装学院に通いながらBLAYMOREを立ち上げ、“comfortable and mind blowing clothes”をコンセプトに「右脳で惹かれ左脳で納得のいく服」を手がけているYuki Matsuiさん。
「大学在学中に一度就職活動をして内定をいただいたのですが、あらためて自分の人生設計を考える中で、自身の強みを伸ばすなら表現者としての側面を持つべきだと思い、大学院進学とともに、服作りを学ぶため文化服装学院に通うことを決めました。入学後、想像以上に服作りが自分に向いていて楽しく、授業の学びに加えて服の造形をさらに研究し、独学でCADを習得してブランドを始めました。本質的なところからクリエイションに向き合ったブランドを作りたいという思いがあったので、作図や素材選びなどからとことんこだわり、表面的な美しさだけでなく、細部まで建設的に作り込んだものを追求して。一目見て着たいと思えて、実際にまとった時も驚きを与えられるような服を目指して制作しています」
2023-’24年秋冬のテーマは「FLAME」。三島由紀夫の小説『金閣寺』から着想し、炎の揺らめきや火にまつわる文化から美を見いだし、デザインに落とし込んだコレクションを展開している。町火消しのシンボルであるまといから発想した ジャケット 各¥66,000、スラックス 各¥36,300
『金閣寺』に描かれる放火事件が起こった1950年代に流行したファイヤーマンジャケットがデザインソース。衿、両ポケット、両袖の5か所に施された装飾ベルトは取り外し可能なためアレンジして着られ、金具フックもポイントに。コート¥100,000
東京のカルチャーに貢献できるブランドとして成長していきたいと話すMatsuiさんが目指す先とは?
「山本耀司さんや三宅一生さんのように、30代のうちにパリやニューヨークでコレクションを発表するという目標を持って、後世にまで残っていくような説得力のある服作りを続けていきたいです」
美と焼失をイメージしたオリジナルのグラフィックをプリント。ビッグスウェット¥22,000
アーガイル柄にウェーブ状のステッチがアクセントになったモヘアカーディガン 各¥36,300、マフラー 各¥25,300
炎の揺らめきをウェーブ状のギャザーで表現したMA-1¥49,500、袖のインバーテッドタックによって立体的なシルエットを生み出したオンブレチェックシャツ¥33,000、岡山県倉敷市の国産デニムを使用し、独自の立体パターンで形成されたAラインのワイドパンツ¥41,800、ブリムにタックを施したモダンなデザインが魅力のキャップ¥14,300
ジップをアレンジしたユニークかつスタイリッシュなデザインのブレスレット¥23,100
炎をモチーフに、立体感のある曲線を描いたリング¥12,100
繊細な曲線美のマーブルグラフィックをジャカード織りで表現したシルク100%のネクタイ 各¥11,000
ブランドプロフィール
Yuki Matsui マツイユウキ◯1998年生まれ。東京大学大学院と文化服装学院に在学中。スタイリングを中心にSNSで発信し、総フォロワーは8万人を超える。2023年春夏より自身のブランド、BLAYMOREをスタート。デザイン、パターン、グラフィックなど幅広く手がける。Instagram@blaymore_official
そのほかのニューカマーも気になる?
EUCHRONIA/ ユークロニア デザイナー
文化服装学院卒業の宮崎さんと佐藤さんによって立ち上げられたブランド。おのおのアパレル企業のデザイナーとして勤務した後、共にイギリスへ留学。2023年4月にユークロニアをスタートさせた。 Instagram:@euchronia_official