アニメ『ジョジョの奇妙な冒険黄金の風』ともコラボ。PAMEO POSE（パメオポーズ）10周年を記念した初のランウェイショーとその舞台裏に密着

デザイナーPELI インタビュー
クラブカルチャーが根源となった
初のランウェイショー

――PAMEO POSEが今年10周年を迎えました。おめでとうございます。この節目に初のランウェイショーを開催した経緯を教えてください。

PELI：10周年を記念して皆様に感謝の気持ちを込めて何かをやりたいと思っていました。その一つにランウェイショーを考えていましたが、ショーは開催に至るまで準備や時間が掛かります。すごく大変だと思っていたので最初は決心ができずにいました。

――決意した理由は何かあったのでしょうか。

PELI：実は去年の年末にタロット占いができるモデルのAYANOちゃんに「10周年のランウェイショーを開催するか迷っている」と伝えると「占いましょう！」と言ってくれて、その場で占ってくれました。そこで出たのが、ザ・ワールドの完結を意味する一番良いカード。“今までのモヤモヤが晴れるでしょう” という意味もあります。この結果が出た瞬間に開催を決意しました！そんなきっかけをくれたAYANOちゃんに今回のショーのグラフィック（写真上）を手がけてもらいました。

――10年間という歳月は長くも短くもあったかと思います。振り返ってみていかがでしょうか。

PELI：もちろん良いことだけではなくて、一時期は売り上げが下がったことで我を忘れて売れ線に走るなど、血迷ったりもしました。
この10年間をスタッフみんなと振り返った時があったのですが、「昔の方がもっと楽しかったよね」という話になったことがあります。その時に「売る」ことから一度離れて考えてみようと思い、今回の2023年秋冬コレクションと2024年春夏コレクションが完成しました。節目で振り返ったからこそ出来上がったのだと思います。

テーマ「MY MAY」に秘めた思いと
最新コレクションのこと

――これまでのコレクションではそれぞれテーマに沿ってデザインされ、シーズンごとに作り込まれていました。2024年春夏のテーマ「MY WAY」にはどのような思いが込められていますか。

PELI：ショーのテーマは”MY WAY”。そしてサブタイトルはクラブキッズ。
初めて映画『Party Monster』を観た時の衝撃のまま、クラブイベント fancyHIM*を訪れた時の楽しさは一生忘れません。22歳からDJを始め、そこで出会った仲間たちが今は中心となってパメオポーズを一緒に作っています。
出会いの場でもあり、またそれぞれ個人が持つカルチャーを持ち寄る場として私が最も美しい場所だと思うクラブをショー全体のイメージにしました。
グラム、パンク、テクノ、サイケなど、様々な音楽をミックスした時のDJセットリストのようなコレクションです。それぞれが自由に、全部混ぜこぜにしたクラブキッズが集合！的なイメージでデザインしました。
最近は20代の若い爆発的なエネルギーから刺激を受けることがあり、今回のショーにもたくさんの若い世代の方々をご招待しました。*PELIさんがDJをしているクラブイベント

――2024年春夏コレクションの服とアクセサリーのモチーフやデザインポイントを教えてください。顔をマスクで覆っているルックが印象に残りました。

PELI：これはfancyHIMにいるメンバーたちがいつもハンドメイドのマスクを被っていてかわいいと思っていました。それをインスピレーションにガーリーなメンズルックに仕上げました。

――細い三つ編みのような髪の毛を様々なところにつけているのも特徴的でしたね。

PELI：（PELIさんが）後ろに1本で三つ編みをした時、なぜかとてもエッジィな印象になったのがきっかけで生まれました。このシーズンでは三つ編みをキーホルダーにして、キャップの後ろにつけたり、バッグのDカンにぶら下げたりと、遊び心をプラスして提案しました。

――バッグのモチーフは「ハート」と「スパイク」。ロマンティックとパンクがミックスされていて、パメオポーズらしいなと思いました。

PELI：昨年、懐かしの幼少期に流行ったチャーミングシールのピアスやリングなどのジュエリーを発表しました。そのアイテムが大好評だったので、今シーズンはそれを巨大化した大きなサイズのハートをメインモチーフにアイテム製作しました。ハートにスパイクはまさにオペラパンクのような「相反している」を表現しているアイテムの1つです。

――すでに発表されている2023年秋冬コレクション「MOIST PUNK」も今回登場しますが、このタイミングで同時に出した理由はあるのでしょうか。

PELI：10周年のショーでできることは、新しいシーズンの発表だけでなく、ブランドとしてのプレゼンテーションでもあると考えていました。シーズンごとにテーマは異なっていても、コンセプトは同じなのでブランドを知ってもらえるきっかけになれば良いと思いました。

ショーを構成した重要な要素

――演出を含めこのショーではこれまで深く親交のある方々と作り上げたとお聞きしました。演出ではどのようなことにこだわったのでしょうか？

PELI：初めてのショーだったこともあり、周りの方々に本当に助けていただきました。DJのお仕事で長くお付き合いのある演出の寺中さんをはじめ、個性派なTokyo Rebels（モデル事務所）のモデルさん、いつもLOOK撮影でもお世話になっている藤岡さん率いる資生堂チームなど……。本当に感謝しています。
会場は「雨の街」をテーマにしていたので、照明は街灯のような光に。床も部分的にわざと濡らしました。

――ショーで使用されていた楽曲はシーンごとに切り替わっていました。「音」に込めた思いを教えてください。

PELI：選曲もすごく考えました。
2023年秋冬コレクションから始まりアニメ『ジョジョと奇妙な冒険』コラボ、2024年春夏コレクションと続くため、3シーンが切り替わるタイミングで音を変えました。1シーン目はOut Of Orbit,Gorovichの「Drumatix」という、水っぽいテクスチャーの音が入ったテンポの速いBPMの曲で、雨上がりの深夜の街をイメージしたショー会場に、支度もバタバタ、遅れそう、早く行きたい！という気持ちを表現しました。そしてジョジョのシーンでは深みのある電子音を使った遅いテンポの落ち着いた曲にしました。

最後の2024年春夏コレクションのシーンの曲では私が愛するオペラテクノのKlaus Nomi（クラウス・ノミ）の「The Cold Song」を大好きなDJ HELLがリミックスした曲です。寂しくも前向きで、綺麗な光が差す様な本当に美しい曲です。

フィナーレナンバーは”MY WAY”。シド・ヴィシャスが歌っているのも好きですが、やはり私の永遠のミューズ、Nina Hagen（ニーナ・ハーゲン）が歌う「My Way」をフィナーレ曲にしました。パメオポーズの原点でもあるfancyHIMのサポートにより実現したチャリティ・ケースのリップシンクをきっかけに夜の街に溢れる個性豊かなクラブキッズたちを総合監督の寺中さんが見事に演出してくださいました。

――チャリティー・ケースさんの衣装についても教えてください。黒を基調にラメやビジューが施され、美しく輝いていました。これはオリジナルで作られたのでしょうか？

PELI：装苑ONLINEで絶対に伝えたいと思っていたのですが、実はこの衣装、私が文化服装学院に通っていた時の当時副担任だった、深沢ゆきみ先生に製作していただいたものなんです！今は舞台の衣装制作をメインに活動されていて、いつか一緒に仕事をしたいと思い、このタイミングでお願いをしたのですが依頼をした際、「重力に逆らっている衣装は怖い」と深沢ゆきみ先生に言われてしまいました（笑）。ですが快く受け入れていただき、素晴らしい衣装を作っていただきました。

アニメ『ジョジョの奇妙な冒険黄金の風』とのスペシャルコラボレーションのこと

（左）ブローノ・ブチャラティ（右）レオーネ・アバッキオ

――最後に、スペシャルなコラボレーションが多く発表されました。
中でも昨年話題にもなったアニメ『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』とのコラボに引き続き、第2弾となるアニメ『ジョジョの奇妙な冒険黄金の風』とのコラボレーションが発表されました。ジョジョシリーズ第5部の「黄金の風」を選ばれた理由はありますか。

PELI：今回のコラボレーションでは10周年ということもあり、ギャング感、チーム感を表現したかったので、ジョジョシリーズで最もその印象が強い第5部「黄金の風」にしました。これまでのパメオポーズを振り返るとチーム感がすごくあり、「黄金の風」のストーリーにリンクする部分もあります。男の子も女の子も登場し、キャラがとても濃いことも魅力的でした。

アニメ『ジョジョの奇妙な冒険黄金の風』×PEMEO POSEのコラボアイテムは9月12日（火）より渋谷パルコ1F正面、PAMEO POSE表参道本店、公式オンラインストア、プレミアムバンダイにて発売開始。詳しくはこちら