大島依提亜さん×SYOさんのフランソワ・オゾンから始まる
映画談議をお届け!映画『苦い涙』試写会レポート

2023.06.15

『8人の女たち』(2002年)、『スイミング・プール』(2003年)で世界的な脚光を浴び、近年では、’80年代フランスを舞台にした二人の少年の恋愛物語『Summer of 85』(2020年)などの話題作を生み出してきたフランソワ・オゾン監督。
現在、オゾン監督の最新作『苦い涙』が公開中だ。本作は伝説の映画作家、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの名作『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を再創造した愛の物語で、第72回ベルリン国際映画祭のオープニングも飾った。
「装苑ONLINE」では、本作『苦い涙』の公開を記念してユーザー限定の独占試写会を開催。上映後には、『苦い涙』をはじめとするフランソワ・オゾン作品や、多くの映画ポスターやパンフレット、書籍のデザインで知られるグラフィックデザイナーの大島依提亜さんと、『装苑』を含む数々の媒体で映画やカルチャーについての執筆を行うSYOさんをお迎えし、トークイベントを行った。映画愛の深いお二人が語る『苦い涙』、そしてフランソワ・オゾン監督作品の魅力のお話は尽きることなく溢れ出し……。特別な一夜の映画談議をここでお届けします!

『苦い涙』
舞台は1972年の西ドイツ、ケルン。著名な映画監督、ピーター・フォン・カントは親友の大女優シドニーに紹介された俳優志望の美青年、アミールに心を奪われ、彼を自宅に住まわせることに。情熱的に結ばれた二人だったが、ピーターのバックアップを経てアミールが注目を浴びるようになると、二人の関係性に暗雲が立ち込めるようになる。奔放な言動を繰り返すアミールに弄ばれ、ピーターは胸を引き裂かれてしまう。
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:ドゥニ・メノーシェ、イザベル・アジャーニ、ハリル・ガルビア、ステファン・クレポン、ハンナ・シグラ、アマント・オディアール
東京の「ヒューマントラストシネマ有楽町」「新宿武蔵野館」ほかにて全国順次公開中。
© 2022 FOZ – France 2 CINEMA – PLAYTIME PRODUCTION ©Carole BETHUEL_Foz

フランソワ・オゾンには作家性がない?

大島依提亜さん(左)、SYOさん(右)。

SYO:大島さんは、今作『苦い涙』の宣伝デザインを手掛けられていますが、過去にも多くのフランソワ・オゾン監督作品のデザインを担当されています。

大島依提亜(以下、大島):僕はオゾン監督に縁があって、洋画で最初にデザインを担当したのが『焼け石に水』(2000年、フランソワ・オゾン監督)だったんです。奇しくもこの作品は、原作者が『苦い涙』と同じ、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。『焼け石に水』のほうは戯曲で映画化はされていないのですが、やはりこの2作品には似ているところがあります。『焼け石に水』のあとも、『ふたりの5つの分かれ路』(2004年)や『しあわせの雨傘』(2010年)など、6本くらいデザインをしていますね。

大島さんがデザインした『焼け石に水」ポスター。本作は東京の「新宿武蔵野館」で、6月17日(土)、19日(月)、21日(水)に特別限定上映。上映時間詳細は劇場公式サイトへ。

『しあわせの雨傘』

U-NEXT:https://video.unext.jp/title/SID0026906

『苦い涙』のもととなった、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』。本作は、東京の「新宿武蔵野館」で、6月18日(日)、20日(火)、22日(木)に特別限定上映。上映時間詳細は劇場公式サイトへ。

SYO:『焼け石に水』が2000年の作品ですから、もう20年以上オゾン監督の作品をデザインされているんですね。

大島:アキ・カウリスマキなど、同じ監督の作品を続けてデザインすることもあるのですが、それは一貫して依頼してくれるところが同じなんです。そういう場合、カウリスマキなら大島さんにっていう感じで依頼があるんですけれど、オゾンの場合はその都度、配給会社もバラバラで。なので、依頼してくれる方が、僕がオゾン作品のデザインをやっていたことを知らずに声をかけてくれることもありました。新しくたまたまオゾンの作品が巡ってくるうちに、あれよあれよという間に6本くらいになりました。

1957年生まれ。フィンランドの映画監督。代表作に『罪と罰 白夜のラスコーリニコフ』(1983年)、『過去のない男』(2002年)、『街のあかり』(2006年)など。

SYO:依提亜さんに依頼される方が、(依提亜さんとオゾン監督に)親和性があると思われているということですよね。

大島:そうだと自分でも思っているのですが、実はやってたんですよっていうと、皆さん「えっ」っていう感じの反応をされることが多いですね。

『苦い涙』より。ドゥニ・メノーシェ演じる主人公ピーター。

SYO:オゾン監督って非常に多作で、年に1回くらい新作が公開されるじゃないですか。

大島:多いですよね。これまでの監督作が26本だったかな。

SYO:それもあって、作家性を一言では表しにくい監督だなと思うんです。

大島:そうですよね。結構バラバラだと思います。今回のイベントの前に観られるオゾン作品は全部観返してみたのですが、どれもすごく面白くてハズレがないんですよ。『苦い涙』も、最初にデザインの依頼が来たときは「このおじさんが主人公なのかぁ」と思っちゃったんですけど(笑)、観たら面白かったですよね?みなさん。
オゾンは一見、題材が地味に見えるのですが、『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』(2023年、ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー監督)的な、“観たら、意外と面白い”イズムにあふれた作品が多いんです。それには大前提として、映画のテクニックがめちゃめちゃあるっていうのが一つ。あとは、ちょっと変なところをどの映画にもぶっ込んでくるところがあると思います。
『Summer of 85』(2020年)も、『君の名前で僕を呼んで』(2017年、ルカ・グァダニーノ監督)を意識しているような男の子二人の青春映画かと思いきや、後半でどんどんビザールな感じになっていく。
『2重螺旋の恋人』(2017年)も、最初はスタイリッシュだったのに、なんかだんだんダサくなってきた?みたいなところがあるじゃないですか。1970年代のイタリアのホラーとかジャッロっぽい感じも意識しつつ、途中でトーンが変わっちゃうっていうのも意外とオゾンの特徴かもしれないですね。

イタリアのスリラー映画のジャンルを指す。代表的な作家に、マリオ・バーヴァ監督やダリオ・アルジェント監督など。

『Summer of 85』

U-NEXT:https://video.unext.jp/freeword?query=Summer+of+85&td=SID0059762

『2重螺旋の恋人』

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SYO:全編通して統一されていないというか。

大島:それをかなりあえてやっている気がします。

SYO:依提亜さんが初めてオゾン監督の作品に出合ったのは、やはり『焼け石に水』ですか?

大島:そうですね。その前の『クリミナル・ラヴァーズ』(1999年)も、渋谷のユーロスペースで上映していたのですが、日本でちゃんとした形で配給・宣伝をするというのは『焼け石に水』からだったと思います。その後、『まぼろし』(2000年)、『8人の女たち』(2002年)とミニシアターでオゾン作品がヒットするという流れができていきました。数多くあるほとんどの作品が日本で公開されているんですよね。

『8人の女たち』
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SYO:本当に様々な作品を撮っているので、オゾン監督作のどのゾーンが好きかというのも結構、観ている人の中で分かれる気がするんです。依提亜さんはいかがですか?

大島:コミカルな作品も、シリアスな人間ドラマも、どちらも好きです。オゾン監督は『焼け石に水』と同時に『まぼろし』を撮っていたのですが、『焼け石に水』のほうは限られた場所で展開するコミカルな物語で、『まぼろし』はシリアスな人間ドラマという、対極の作風。キャリアの最初期からこの2本を同時に撮るなんて「いろんな映画を撮っていくぞ」という気概を感じます。

その後も、面白いくらいバラバラに、コメディもファンタジックなものもシリアスな作品も撮るというのを繰り返しています。様々な種類の映画を撮っている中で、全てある一定の面白さが保証されているという意味においては、フランソワ・オゾンはブランドみたいだなと思いますね。SYOさんはどこらへんの作品が好きですか?

SYO:『危険なプロット』(2012年)と、

大島:最高!

SYO:『2重螺旋の恋人』です。

大島:先ほども言いましたが相当変な映画ですよねぇ。

『危険なプロット』

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SYO:僕は、映像的なトリックをバンバン入れてくるスタイリッシュなオゾン作品が好きなんだと思います。『危険なプロット』には、『苦い涙』で主人公のピーターを演じたドゥニ・メノーシェが出ていますよね。いろんなジャンルの映画を撮るけど、キャストは被っていることも。

大島:そうですね。特に女性俳優にはミューズ的な人がいて、シャーロット・ランプリングやカトリーヌ・ドヌーヴ、『Summer of 85』や『ふたりの5つの別れ路』に出演していた、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキなど常連の人がいます。けれど、こと男性俳優に関してはあまりそういう人がいなくて。
多分、一番出ているのは、『わたしはロランス』(2012年、グザヴィエ・ドラン監督)でロランスを演じたメルヴィル・プポーですね。『ムースの隠遁』(2009年、日本劇場未公開)や『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』(2018年)、『Summer of 85』に出ています。ドゥニ・メノーシェもすごくオゾンに気に入られているんだろうなと思います。

『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』

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SYO:『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』にも出ていて、すごく大事な役でした。

大島:『苦い涙』だけだと「え?」って感じかもしれないのですが、『イングロリアス・バスターズ』(2009年、クエンティン・タランティーノ監督)を観たりすると、ドゥニ・メノーシェはフランス版マ・ドンソクだなって思いますよ。

SYO:あはは。ドゥニ・メノーシュは先月開催されていた「カンヌ国際映画祭」の審査員をしていて、男優賞を受賞した役所広司さんのお名前を読み上げた方ですね。なので、ちょうど今日(5/29イベント開催当日)の映画ニュースにも彼の姿がたくさん出ていました。
僕が今日、依提亜さんに伺いたかったのは、オゾン監督とキャリアを歩んでこられた依提亜さんが『苦い涙』をどうご覧になったかということです。

大島:それこそ『焼け石に水』への原点回帰を完全に意識しているなと思いました。

SYO:ファスビンダー版の『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』(1972年)も観たのですが、『苦い涙』は、それよりも『焼け石に水』に近い印象を受けました。

大島:そうですね(笑)。ファスビンダー版も面白いのですが、もうちょっと物語が停滞している感じがありますからね。
ただ、インテリアや衣装のセンスなどは予想以上に同じで、通ずるところがあります。ファスビンダー版の『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』は女性同士の話ですが、衣装がやたらめったら可愛くて、そんなふうに見どころがたくさんあるところは共通していますね。

『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』より。

SYO:『苦い涙』に登場する印象的な大きな絵画は、『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』でも飾ってあるんですよね。

大島:そうそう。あとは同じくマネキンが置いてあったり。
『苦い涙』には、『焼け石に水』への原点回帰的なところは確かにあって同じ部分もあるんだけど・・・その中でも、オゾンの成長みたいなものは感じました。如実に差があるなあっていう感じはしますね。『焼け石に水』は、ものすごいマッチョな父性を持った男が主人公で全員を支配するという話なんですが、『苦い涙』になると同じ出発点から始まっても、完全に力関係が逆転してしまう。

『苦い涙』より。

『苦い涙』ではカールに夢中!

SYO:『苦い涙』には、若い男の子に絡め取られていく中年の悲哀みたいなものもありましたね。僕が一番惹かれたのは、ピーターの助手役、カール(ステファン・クレポン)です。

大島:もうカールに首ったけですよね。

『苦い涙』より。カール(左)と、ピーター(右)。

SYO:彼はしゃべらないじゃないですか。しゃべらなくても、ぱっと出てきた時の存在感がすごくて。

大島:しゃべらないで、よくあれほどの存在感が出ますよね。カールは、ピーターがある嘘を言った時に「こいつまじか」みたいな表情をするじゃないですか。あれだけで観客にはピーターが逆のことを言ってるぞっていうのがわかるんですよね。セリフなしに物語るという素晴らしい俳優です。

SYO:彼が最後の最後に何をするのかっていうのはぜひ見て欲しいです。

大島:ファスビンダー版でも、カールにあたる助手の女性が出てきてしゃべらないんですけど、さすがこの役!っていうくらい、そちらの俳優も素晴らしかったです。

SYO:あと、個人的にすごく覚えているのは、映画監督のピーターが新人俳優の青年アミールを見出した場面。アミールが辛い身の上話を始めたらピーターがカメラを持ってくるんですけど、これ(他者の苦しみを撮りたくなってしまう衝動)は『フェイブルマンズ』(2022年、スティーヴン・スピルバーグ監督)じゃん!って。

大島:確かに(笑)。全然違うけど『フェイブルマンズ』だね。

SYO:依提亜さんとは、最近「作り手の業」の話をすることが多くて、これも完全にそうでしたよね。

『苦い涙』より。

大島:あとは「見る・見られる」の関係性。カールはセックスを目撃しますが、オゾン監督の作品を振り返ると、そんなふうに性行為をしているときに自分のペルソナに見られているとか、幻想で親に見られているとか、そういうシーンがやたら多いんですよ。

SYO:『焼け石に水』は、各章の終わりがベッドに横になっている裸体で、観客も明らかに「見る」側に回りますね。

大島:『焼け石に水』の劇中にも、恋人を取られた若い男の子が、性行為を目撃するという場面がありました。だからもう初期の頃から、徹底してそういう描写が多いんです。

『焼け石に水』より。

SYO:決まった作風がないオゾン監督作品の共通項をあげるなら「見る・見られる」の関係があり、そこに性行為が絡んでくるという部分なのかもしれないですね。

『苦い涙』より。ピーター(左)と、シドニー(右)。

大島:あとカールでもう一つ。イザベル・アジャーニ演じる女優のシドニーが、後半、白い毛皮のコートをカールに向かって投げるじゃないですか。それを抱えたときに、カールが「いい匂い」ってちょっとニコってするんですけど、それがすごく可愛いんですよね。彼は本当に微妙な差で演技をしているな、と、今日この作品を観直して思いました。

SYO:どういう俳優演出をしていたのか、現場を見てみたくなりますね。そもそも室内劇は、カメラのポジショニングも、どう撮るのかも、めちゃくちゃ難しいので。

大島:撮影は、カメラ移動車のドリーを多用していそうでしたね。移動車をぐるぐる回しながら撮ると仰々しい画になってしまうことも多いのですが、あんまりそう見えないところはすごい。映像が軽やかで、大袈裟に撮っているのにコミカルさと悲劇性の絶妙な曖昧さが同居していて。

この作品、笑っていいのか悲しんだらいいのか、ちょっとどう見たらいいんだよっていうアンビバレントな瞬間が結構あるじゃないですか。最後の暴力シーンも、シャレにならないくらい嫌な暴力性の発露なのですが、意外とそれを見ている役者たちが飄々としているから、「あれ?ここはそうでもないのかな?」と思ったり。

『苦い涙』より。

SYO:依提亜さんから見て、オゾン作品の画面の中の色彩はいかがですか?美術、衣装含めて結構色が多いと思うのですが、それでいて画面がうるさくならないのはすごいなと思っていて。

大島:数年前からオゾンの作品には、ウェス・アンダーソンをちょっと意識している?って思うところがあって。章が変わると季節が変わり、建物を俯瞰で映したりするのもウェスっぽいなって。

SYO:ああ、確かにシンメトリーな構図もありましたね。

大島:意外とその時代の流行りに手を出しているけど、じっくり見ていくと「らしさ」がじわじわ滲み出る感じがあるのがオゾンだな、と。
『8人の女たち』は、コミカルなミュージカルとして撮られていますが、色彩のトーンはダグラス・サーク的なところがある気がします。

1897-1987年。映画監督。1952年の『ぼくの彼女はどこ?』が、サーク最初のカラー映画。メロドラマの巨匠と言われ、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーも影響を受けた。

SYO:オゾン風の色づかいはデザインでも重視されますか?

大島:オゾンだからというよりも、その時の映画のトーンに合わせて変えていきます。例えばカウリスマキなら全部それっぽく作るというのがあるのですが、『苦い涙』のデザインは『焼け石に水』の自分のデザインを意識していますし、『ふたりの5つの分かれ路』なら映画に合わせてシリアス路線でデザインする、というように結構バラバラです。ちなみに『ふたりの5つの分かれ路』は、夫婦が離婚するところから始まって、どんどん時間を遡り、最終的には出会うところで終わるからハッピーエンド――という映画です。このあらすじを聞いて、何かを思い出しませんか?

『ちょっと思い出しただけ』(2021年、松居大悟監督)ですよね。松居監督は、ジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991年)よりも『ふたりの5つの分かれ路』に、結構影響を受けているんじゃないかなと僕は思ったのですが。

大島さんがデザインした『苦い涙』ポスター。

SYO:『ちょっと思い出しだけ』のデザインも依提亜さんでした。そして『焼け石に水』のパンフレットには、中にハンカチが仕込まれていたという。

大島:劇中に出てくるカーテンがこの模様で、同じ模様のハンカチを入れられないかなって思ったんですよね。この頃はデザイナーとしてまだ駆け出しだったので、何が可能か不可能かもわからず、「ハンカチ入れられるんじゃね?」くらいの無邪気な感じで提案したら、意外と配給会社の方が悪ノリしてくれて、そこで味をしめてしまったという感じですけど。最初からこんなことをやっちゃったから、引っ込みがつかなくて今に至るのかもしれないね(笑)。

SYO:いやいや、依提亜さんといえば、毎回デザインで何を仕掛けてくるかっていうのが楽しみですから。『苦い涙』のパンフレットは、紙がいいですよね。

大島:かなり高価な紙を使っています。カールがデザインのポイントになっているので、ぜひ見てみてください。

SYO:先程のお話にもあった「見る・見られる」の話にも通じるデザインですね。

大島:カールは映画のカメラみたいな存在ですからね。

SYO:ノンバーバルで感情を伝えてくれて、映画と観客と繋いでくれる存在でもあります。

大島:だからこそあのラストが効いてくる。観客側が、それまでの感情をコントロールされるところもあります。

SYO:一つの答えを見せてくれるような存在でしたよね。楽しいお話を伺ってきたのですが、そろそろお時間に。最後に依提亜さん、一言いただけますか?

大島:『苦い涙』を観て面白いと思った方は、周りの人に「意外と面白い映画だぞ」と伝えていただけたら嬉しいです。


Idea Ohshima  栃木県生まれ。映画のグラフィックを中心に展覧会や書籍のデザインも手がける。近年手がけた作品に、映画『パターソン』『ミッドサマー』『マティアス&マキシム』『ブックスマート』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『aftersun/アフターサン』などのデザイン、「君のクイズ/小川哲」の装丁など。
Instagram @ideaoshima
Twitter @oshimaidea

SYO   1987年生まれ。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクションや映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー、レビュー、コラム、イベント出演、推薦コメント寄稿など、主に映画にまつわる執筆を手がけている。装苑ONLINEで「偏愛映画館」を連載中。
Instagram:@syocinema  
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『苦い涙』
WEB : http://www.cetera.co.jp/nigainamida/

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