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映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』、
主演のマーガレット・クアリーにインタビュー。
大好きな本のこと、シガニー・ウィーバーへの憧れ

1990年代のニューヨークを舞台に、老舗出版エージェンシーで働き奮闘する主人公の成長物語を描いた映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』(2022年5月6日公開)。ジョアンナ・ラコフが執筆した自叙伝『サリンジャーと過ごした日々』(井上里訳、柏書房)が原作で、『ライ麦畑でつかまえて』などのJ.D.サリンジャー担当のベテランエージェントと新人アシスタントの実話がもとになっている。

キュートなお仕事ムービーである本作で、主人公のジョアンナを演じた注目の新星マーガレット・クアリーにインタビュー!上司のマーガレットを演じた名優、シガニー・ウィーバーとの「文芸版『プラダを着た悪魔』」のような掛け合いで感じたことや、彼女自身の愛読書についてなど。

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』より、主人公ジョアンナを演じるマーガレット・クアリー。

――今回主人公ジョアンナ役を演じることになったいきさつについて教えてください。

声がかかったの。脚本が送られてきて、読んでとても気に入った。監督とニューヨークでミーティングをして、何時間か話し合ったわ。それから原作も読んでとても気に入った。その後マーガレット役にシガニーが決まったと聞いて、すごく興奮した。彼女のことをとても尊敬しているから。

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』より、マーガレット・クアリーと、シガニー・ウィーバーの場面。

――シガニー・ウィーバーとの共演はいかがでしたか?彼女からどんなことを学びましたか?

多くのことを学んだ。『エイリアン』の有名なアイコンである彼女と共演できて光栄だった。とても優しい人で、彼女を尊敬している。威厳を保ちながらも、その時々を満喫しているようにも感じられる。あんな人になってみたいわ。雄弁でありながら、同時に楽しい人でもあるの。

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』のシガニー・ウィーバー。

――出版エージェントのアシスタントという役ですが、個人的に誰かこの職業の人を知っていましたか?

この映画に出てくるような、出版業界の人は誰も知らない。知っているエージェントと言えば映画エージェントだけなの。

――読書家ですか?好きな作家はいますか?

幼い頃から本が好きだった。いろんな本を読むわ。様ざまなカテゴリーの本をランダムに読むの。子供のころは『おおきな木』(シェル・シルヴァスタイン著)が大好きだった。ハリー・ポッターも愛読したし。絵本の『アーサー』シリーズ(マーク・ブラウン著)や『アルケミスト 夢を旅した少年』(パウロ・コエーリョ著)なども読んだ。純文学では『グレート・ギャツビー』(F・スコット・フィッツジェラルド)や『アラバマ物語』(ハーパー・リー)なんかが私の愛読書よ。

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』より

――本作では多くの人がサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に多大なる影響を受けたことについて触れます。あなた自身文学にそのような影響を受けた事はありますか?

本や音楽というのは、自分をいろんな時代へと連れて行ってくれるものだと思う。同じ作品も、読んだ時が異なると、違った意味をもってくると最近気が付いたの。

――フィリップ・ファラルドー監督との仕事はいかがでしたか?

素晴らしかった。彼と仕事できる機会をもらってうれしい。とても気配りの細かい優しい監督で、繊細で情熱的。ポジティブな点しかない人なの。

監督・脚本を務めたフィリップ・ファラルドー。

――役づくりについて教えてください。監督とはどんな話し合いをしましたか?

実在の人物を演じるという点で興味深かった。だけど文学界で知られた人物であっても、ジョアンナ・ラコフ(『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』原作者)が何者なのか一般的にはあまり知られていない。だから実物に近く演じるという点でのプレッシャーはあまりなかったし、外見やアクセント、話し方を似せるという努力もあまり必要なかった。逆に内面的にどんな女性なのか、彼女がどう感じていたのかという感情面を正確に演じる必要性があった。それが物語の軸であるから、そんな課題をもらって光栄だったと思う。

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』より

――本作はクローズアップが圧倒的に多いですが、カメラを近くに演技していてどんな気持ちでしたか?

違和感はなくて逆になにかに守られているような気持ちになった。奇妙と思われるかもしれないけれど、親密感が生まれる気がするの。

――スマホもSNSもない、アナログの世界ですよね。見ていて時代劇みたいな雰囲気もありますが、そんなに昔の話ではないですよね。

確かにノスタルジアを感じる映画だと思う。90年代というのはそれほど昔のことではないけれど。出版業界は過去を頑固に守り続けている人達のいる世界だったのかも。

Margaret Qualley  ● 1994年生まれ、アメリカ・モンタナ州・カリスペル出身。母は俳優のアンディ・マクダウェル、姉レイニー・クアリーも俳優でモデル。4歳からバレエを習い、16歳でアメリカン・バレエ・シアターのバレエ研修生となった後、役者を志し、ロンドン王立演劇学校、ニューヨーク大学で演技を学ぶ。モデル業を経て俳優に転身し、『パロアルト・ストーリー』(2013年、ジア・コッポラ監督)でデビュー。その後、TVドラマ「LEFTOVERS/残された世界」(‘14年~’16年)にレギュラー出演し、スパイク・ジョーンズ監督が手がけた、ファッションブランド「KENZO」の新フレグランス「ケンゾー ワールド オーデパルファム」(‘16年)の広告映像で個性的なダンスを披露し、注目を浴びる。人気漫画をNetflixが新たに実写映像化した『Death Note/デスノート』(‘17年、アダム・ウィンガード監督)ではヒロイン役を務める。ほか出演作に『クローズド・ガーデン』(‘17年、マーガレット・ベッツ監督)。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(‘19年、クエンティン・タランティーノ監督)など。モデル業でも活躍を続けており、シャネルのアンバサダーを務める。

『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』
90年代、ニューヨーク。作家を夢見るジョアンナは、老舗出版エージェンシーでJ.D.サリンジャー担当の女上司マーガレットの編集アシスタントとして働き始める。昼はニューヨークの中心地マンハッタンの豪華なオフィスに通い、夜はブルックリンにある流し台のないアパートで同じく作家志望の彼氏と暮らしている。日々の仕事は、世界中から毎日大量に届くサリンジャーへの熱烈なファンレターを処理すること。小説の主人公に自分を重ねる10代の若者、戦争体験をサリンジャーに打ち明ける退役軍人、作家志望の娘を亡くした母親――心揺さぶられる手紙を読むにつれ、飾り気のない定型文を送り返すことに気が進まなくなり、ふとした思いつきで個人的に手紙を返し始める。そんなある日、ジョアンナが電話を受けた相手はあのサリンジャーで…。

フィリップ・ファラルドー監督・脚本、マーガレット・クアリー、シガニー・ウィーバー、ダグラス・ブース、サーナ・カーズレイク、ブライアン・F・オバーン、コルム・フィオールほか出演。2022年5月6日(金)より全国公開中。ビターズ・エンド配給。
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