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映画『メインストリーム』ジア・コッポラ監督インタビュー”有名になりたい病”の私たちに届けられた、最も現代的で普遍的な映画の美意識と思想

2021.10.05

映画『メインストリーム』より

映像作家になりたいが、手段がわからない女性フランキー(マヤ・ホーク)。作家志望だが、まだ芽が出ていない男性ジェイク(ナット・ウルフ)。そんな若者たちが、不思議なオーラを持つ男リンク(アンドリュー・ガーフィールド)と出会ってYouTubeを始めたら……。

フランシス・フォード・コッポラの孫であり、『パロアルト・ストーリー』(2013年)でも知られるジア・コッポラ監督。彼女が長編2作目となる『メインストリーム』(’21年10月8日公開)で描き出したのは、何者かになろうとする若者たちのヒリヒリする欲望。過激な言動が目立つユーチューバー「ノーワン・スペシャル」としてブレイクし始めたリンクと、仕掛人であるフランキーとジェイク。彼らの日常が乱高下する様子には、フィクションとは思えない怖さがある。

私たちが見聞きしている、或いはリアルに感じている「有名になりたい病」。その快楽と破滅を描いたこの作品には、等身大の肌感覚が詰まっている。それ故に、生々しい説得力が感じられるのだ。同時に唸らされるのは、ジア監督の演出力。絵文字を使った映像面での遊びや、衣装の使い方など、学び、盗める要素にあふれている。今回は、衣装を中心としたジア監督の演出術、さらには若い世代へのメッセージを伺った。

interview & text : SYO

『メインストリーム』


舞台はLA。20代のフランキーは映像作品をYouTubeにアップしながら、さびれたコメディバーで生計を立てるパッとしない日々に嫌気がさしていた。ある日、彼女は天才的な話術の持ち主・リンクと出会い、そのカリスマ性に魅了されて彼が出演する動画の制作をひらめく。男友達で作家志望のジェイクを巻き込んで、本格的に動画制作がスタート。自らを「ノーワン・スペシャル(ただの一般人)」と名乗り、破天荒でシニカルな言動を繰り返すリンクを映した動画は、かつてない再生数と「いいね!」を記録。リンクは瞬く間に人気YouTuberとなり、リンク、フランキー、ジェイクはSNS界のスターダムを駆け上がっていく。刺激的な日々と誰もが羨む名声を得た喜びも束の間、「いいね!」の媚薬は、いつしかリンクの人格を蝕んでいた。ノーワン・スペシャル自身が猛毒と化し、名声が強烈な批判へと変わるとき、リンクの野心は狂気となって暴走。決して起きてはならない事態を引き起こしてしまう。そのとき、フランキーの選び取った道とはーー。
『ソーシャル・ネットワーク』で高く評価され『アメイジング・スパイダーマン』で大ブレイクしたアンドリュー・ガーフィールドの鬼気迫る演技にハラハラし、ファッションアイコンとしても支持されているマヤ・ホークがこの映画でみせる表情のどこかに、きっと今の私たち自身を見つけてしまうことだろう。

ジア・コッポラ監督・脚本、アンドリュー・ガーフィールド、マヤ・ホーク、ナット・ウルフほか出演。10月8日(金)より全国公開予定。ハピネットファントム・スタジオ配給。(c) 2020 Eat Art, LLC All rights reserved. 
WEB:https://happinet-phantom.com/mainstream/

    ジア・コッポラ監督

―ジア監督は『SOMEWHERE』(’10年、ソフィア・コッポラ監督)で衣装部のアシスタントを務めていますよね。『メインストリーム』の衣装は、1970年代風のものが多かったように感じました。その理由をぜひ教えてください。

まず、私自身が’70年代の映画やファッションが好きだというのが主な理由です。プラス、映画自体にクラシックな雰囲気をもたらしたかったというのもありますね。フランキー(マヤ・ホーク)が最初はカジュアルな服装をしていたのが、スーツを着て洗練されていくという過程も表現したかった。

私自身、公の場に行くときなどはドレスで着飾るよりもスーツでバシッと決めるほうが居心地がよいのですが、最近の映画では、女性がスーツで登場するのは珍しいかもしれませんね。劇中のスーツは、アレクサチャン(ALEXACHUNG)やルージュ(Rouje)のものと、マヤが持参してくれたものを使っています。

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本作の見どころの一つは、思わず真似したくなるフランキー(マヤ・ホーク)のファッション!
映画序盤のシーンでのフランキー(写真上・中央)は、この写真にあるようなスポーティーなブルゾン+ハイウエストのフレア気味パンツや、太いピッチのボーダーニット+パンツなど、洗練されたカジュアルスタイル。物語が進み、ビジネスシーンになるとネクタイをしたスーツスタイルや、ラペルの大きな’70年代風のダブルジャケットを着用したパンツスーツ姿に。ほかにはヴィンテージライクなドレスも登場する。

――ノーワン・スペシャルが表舞台に出る時のスーツも’70年代風で、最初の大きな配信番組のセットもレトロなムードでした。ジア監督が影響を受けた’70年代の映画には、どんなものがありますか?

今回ですと、大きいものは『ネットワーク』(1976年、シドニー・ルメット監督)でしょうか。あとは1980年代になりますが『キング・オブ・コメディ』(’82年、マーティン・スコセッシ監督)にもインスパイアされています。

『ネットワーク』予告編

『キング・オブ・コメディ』予告編

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