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話題の展覧会が開催中!蜷川実花×末安弘明(KIDILLデザイナー)対談。20年ぶりの再会でコラボレーションを果たした二人の、AI時代の創作論

2023.12.28

Photo: MIKA NINAGAWA(Lucky Star)

現在、東京・虎ノ門にオープンした新スポット「TOKYO NODE」で、蜷川実花さんの展覧会『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』が開催中(2024年2月25日まで)。蜷川さんのキャリアにおいて最大規模となる本展覧会は、地上200mもの“桃源郷”で、蜷川さんの映像インスタレーションや立体展示に包まれる「没入・体験型展示」として、オープン前から開幕後の現在も、大きな話題を集めている。

さらに注目したいのは、今回、蜷川さんが“KIDILL(キディル)”、“FETICO(フェティコ)”、“M A S U(エムエーエスユー)”、“TENDER PERSON(テンダーパーソン)”といった、日本人デザイナーの気鋭の4ブランドとコラボレーションし、数量限定アイテムを制作したこと!装苑ONLINEでは、蜷川実花さんと、ブランドコラボレーションを行ったキディルの末安弘明さんの対談をお届け。共鳴する二人のクリエイターの、これからの創作論を。

photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.) / interview & text : SO-EN

ロンドンでの邂逅から、コラボレーションへ。
その背景にあるもの

――コラボアイテム「MIKA NINAGAWA with TOKYO NEW FACES at Eternity in a Moment」のKIDILL × MIKA NINAGAWAのプリントトップ2点は、お二人らしさがありつつ、リアルに欲しい、着てみたいと思うアイテムでとても魅力的です。どんなやりとりで生まれたのでしょう?

蜷川実花(以下、蜷川):今回、私の人生を賭けた展覧会『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』を行うにあたり、スペシャルなコラボレーションをできたらいいなと思ったのがそもそもの発端でした。キディルは元から好きなブランドだったけど、今回ご一緒したブランドのいくつかは人にも教えてもらいながら選んだんです。「もうこの方達とコラボレーションしたい!」と思ったメンバーにお声がけしたら、皆さん快諾してくださって。

長年活動していると、自分の世界観で選んだ写真群からはみ出た写真もたくさんストックができるのですが、違う人の視点から作品を見てもらうことで、そこに新たな見え方が生まれるんじゃないかと思ったんです。それにはやっぱり才能があって、勝手ながら私が心からかっこいいと思っているブランドの方達とご一緒したいと思ったのが始まりでした。

KIDILL × MIKA NINAGAWA FLOWERS / MOTH  ¥28,600

『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』より、ポップアップショップ風景。

末安弘明(末安):お声がけいただいた時、僕もですけど、どのブランドもみんな嬉しかったんじゃないかな。

蜷川:そう言ってもらえるのは本当に励みになる。私は、文化的なこととマスなことの間を行き来してるようなタイプでしょ。だから、本気でものをつくってる人達にイケてる、と思ってもらえることが、すごく嬉しいんですよね。今回、デザイナーの皆さんが寄せてくれたコメントを読んでいる間も、これでいいんだ、頑張ろうっていう気分になるくらい、背中を押してもらえました。つくり続けることって、それなりに孤独になることなんですよね。

キディルは、忘れてたパンクスピリットを呼び起こされるところが好き。大人になるとどんどん丸くなりますが、それは良いことでもありつつ、何か大切なものが手元から落ちていくような感覚になることがあって。経験を積み、まわりへの感謝の気持ちが大きくなること自体は素晴らしいと思うけど、私はそもそも、社会への怒りや疑問が創作の原動力だった。

だから「今、私大丈夫かな?」みたいに思う瞬間があるし、自分にそんなつもりはなくても、偉い人みたいに扱われる居心地の悪さもあって。だけど、キディルを着ることで「そうだ、私ストリートの人間だったわ」って(笑)。本来の自分を思い出させてくれて、少し武装するみたいな気持ちになれる服なんです。

Photo: MIKA NINAGAWA(Lucky Star)

末安:嬉しいです。今回、コラボレーションのために実花さんの事務所にお邪魔して写真を選ばせていただいたのですが、前から実花さんの写真も映像も僕は見てきたので、「こういう写真を選びたいな」というのは、うかがう前からもう決めていたんです。

特に数年前の展示でもされていたような「虚構と現実」や「日常と非日常」というテーマは一貫されていると思っていたので、僕も対比で写真を選びたいと。なので、実花さんのシグネチャーである色彩の美しい写真と、見る人によっては嫌な虫でもある、ダークな蛾の写真の2枚を選びました。蛾の写真を見た時、実花さんの作品としての意外性もあって、「めちゃくちゃいい!」って思ったんですよね。美しいと。

蜷川:それは今回の展覧会とも同じ考え方ですね。 咲いている花と枯れている花を表裏一体に見せていたのはその象徴的なところです。全く同じスタートラインで作品をセレクトしてくれたんですね。びっくりしました。

『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』より

末安:実は、実花さんとは20年前に一度、ロンドンで会ってるんですよね。僕がまだブランドもやっていない頃に。

蜷川:そうなんだよね。

末安:その会っていない間も、ずっと僕なりのフィルターで実花さんの作品を解釈していたのですが、実花さんは、精神的なパンクの人だと思います!

蜷川:あはは!

末安:作品を見ると、やっぱりわかっちゃうものじゃないですか。どんなコラボレーションの時もそうなんですけど、僕はその人自身の精神性をすごく大切にしていて、ブランドで協業しているrurumu:の東佳苗さんや、帽子デザイナーの日爪ノブキさんも、アウトプットは一見違うかもしれないけど、みんな心に柱が一本あって、何かと戦っているみたいな方達なんです。今、ブランドとしてはそういう精神的なパンクスピリットを持った人と一緒にやろうと決めていて、だから正直、ビジネスっけはないんです(笑)。お金じゃないというか。

蜷川:「お金じゃない」すぎるのよね(笑)。

末安:本当にそう。マインドでやりとりできる人達と一緒にやりたいというのがいちばん強くて、実花さんもそう感じる一人です。

蜷川:だから今回は本当に幸せなコラボレーションでした。キディル含め、全ブランドの商品があがってくるのが楽しみすぎて、あがってくるたび、もうキャーキャー言っちゃって。末安さんとは今こうやってお話ししていても、腑に落ちることばかりです。

NEXT   二人の創作の根っこは?チケットが即完した蜷川実花新作展覧会の真髄も。

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