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「加茂克也 KAMO HEAD」展
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて開催中

2024.07.26

日本はもとより海外でも雑誌や広告、そしてファッションショーなどで活躍をしたヘア&メイクアップアーティストの加茂克也さんの展覧会「加茂克也 KAMO HEAD」が、香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催されている。生前さまざまなファッションショーのために制作したヘッドピースやイメージブック、また今回は数々の雑誌に掲載されたビジュアルも展示。初の美術館での開催となった展覧会は、今までにないボリュームとなっている。

美術館の入り口を入ってまず目に飛び込んでくるのは、吹き抜けになったエントランスの白い壁に飾られた、さまざまな大きさの四角い額縁や箱。それは、加茂さんがプライベートで毎日日記をつけるように制作していた小さなアートだ。限られたスペースに自由な発想で描かれた作品には、卵の殻や枯れた枝、古い写真、蝶、カトラリー、人形などが使われ、加茂さんの感覚で調和されて収められている。少し毒気をも感じさせるシュールな作品群。

ファッションショーでは「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン」や「アンダーカバー」、「ミントデザインズ」、「アンリアレイジ」などのブランドのヘッドピースを手がけ、海外では「シャネル」のパリ オートクチュールコレクションからもオファーがきた。まさに日本が誇るヘア&メイクアップアーティスト。唯一無二、稀有な存在だった。
 デザイナーとの入念な打ち合わせ後、アトリエでの作業が始まる。ヘッドマネキンを前に、まずガムテープでマネキンの目を覆う。多分、マネキンの存在を無に近づけるためだったのだろう。
 興味深いのは使われる素材にもあった。紙、ワイヤーネット、羽根、ファー、切り裂いたジャケット、砕けたミラー・・・。独創的でありながら、服とのバランスは絶妙で、そして常にヘッドピースの存在が服を昇華させていた。服ありきで制作されたヘッドピースが服とは離されて、それぞれのイメージごとに展示されている今回。一つ一つの作品に全力を注いだ加茂さんのパワーと、たぐいまれな才能を間近に感じ取ることが出来る。

今回の展覧会では、加茂さんがヘア&メイクを手がけた国内外の雑誌や広告ビジュアルが展示されている。アーティスティックな表現から、女性の本来の美しさを追求したナチュラルなものまで、クリエーションの幅の広さを感じさせられる。

常日頃から、雑誌や印刷物から気になるビジュアルを切り抜き、スクラップブックにコラージュしてまとめていた加茂さん。50冊以上にもなるそのブックの一部と、創作の課程とマテリアルを記録したポラロイドブックなど、通常目にすることができない貴重な資料も紹介されている。

〈キュレーター 古野華奈子さん〉
加茂克也さんのことは存じ上げなかったのですが、2021年に出版された写真集「KAMO HEAD」を見た時に衝撃を受け、“展覧会が出来る!”と確信しました。加茂さんの“今、何のために作っているのか。ショーなのか撮影なのか。着る人は?服は?”そのすべてを理解したうえでいちばんいいものをクリエーションする姿勢が素晴らしいと思いました。ショーのヘア&メイクをやりながら雑誌も手掛け、どれだけ美しいものを生み出していたかを伝えるために、今回は雑誌や広告ビジュアルのコーナーも設けました。加茂さんを知らない人も、加茂さんのクリエーションに出会っていただき、この先の人生でいい刺激になればと思っています。

〈オープニングイベントのアフタートーク〉

展覧会のオープニングイベントとして、加茂さんのヘッドピースを使って「アンリアレイジ」のファッションショーを開催。ショー終了後には、デザイナーの森永邦彦さん、写真集「KAMO HEAD」のデザインを担当したグラフィックデザイナーの黒田益朗さん、ショーを演出した金子繁孝さんのアフタートークが行われた。

加茂さんに初めて仕事を依頼したのは2010年、東京コレクションを始めるタイミングでした。ずっとそのクリエーションには憧れていて、そこから10年。東京からパリコレに向けて戦う仲間に入ってくれて、常に服に寄り添うようにショーアップするヘッドピースをつくってくれました。加茂さんなくして今の「アンリアレイジ」はないと思っています。チャーミングで優しい人柄。とてつもないスピード感でものを作る。子供みたいにピュアな心をもっていて、誰も目指さなかったところを目指す。本当に楽しそうに仕事をしているなって、いつも近くで見て思っていました。(森永さん)

1996年ごろにグラフィックの仕事で初めてご一緒しました。「KAMO HEAD」は2018年の春にどうまとめたらいいかと、ご本人から相談されました。大半がモノクロで、それはディテールを際立たせるための手段だったと思います。そして加茂さんはモノクロ写真がもともと大好きでした。時を経たもの、アンティークなものも。一階のオブジェも本人が作るヘッドピースも一貫していて加茂さんにとっては同じもの。なので、一階の作品を見てヘッドピースを見るという今回の展示の流れは、本人も喜ぶのではないかと思います。加茂さんは思いついたことを隠しておけないタイプ。とことん考えて、寄り添ってくれて。現場の雰囲気もいいんですよね。(黒田さん)

加茂さんは、整然としたものを好んだことがないんです。完成になりそうなものを崩して、そこから新しいものを見つけようとして。わざと混沌とさせて、一回ぐちゃぐちゃにして新しいものを見つけるというクリエーション。加茂さんは好き嫌いをはっきり言う人で、可愛い、可愛くないという表現をするのですが、可愛くなかったらもちろん1からやり直します。今回の展示については“もっと崩したほうがいいんじゃないの?”って、どこかから言われているような気もします。でも1点1点は強くて美しいヘッドピースなので、それがあるだけで見ている人は彼の仕事に納得できると思います。(金子さん)

加茂克也 ヘア&メイクアップアーティスト
1965年 福岡県生まれ。1988年 モッズ・ヘアに所属。1990年 渡仏。1992年 帰国後、インターナショナルなモード誌や広告、ファッションショーなどを中心に活動。2003年 第21回毎日ファッション大賞を受賞。1983年の賞創設以来、デザイナー以外での受賞は初。2013年 ラフォーレ原宿にてエキシビション開催。2015年 独立。2020年 逝去。2021年作品集『KAMO HEAD』を出版。主なファッションショーはジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(1996年~)、アンダーカバー(1997年~)、ミントデザインズ(2006年~)、シャネル(2009年)、アンリアレイジ(2011年~)など。


「加茂克也 KAMO HEAD」
会期:開催中〜2024年9月23日(月・祝)
場所:「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」
   香川県丸亀市浜町80-1
時間:10:00~18:00(入館17:30まで)
TEL: 0877-24-7755
休館日:月曜休(ただし8月5日、12日、9月2日、16日、23日は開館)、8月13日(火)、9月17日(火)
観覧料:一般 ¥950、大学生 ¥650 
WEB:https://www.mimoca.org/ja

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