「ハートのクイーン」宣言から始まる、
ソロの時間
「このツアーは、メンバー全員が“ハートのクイーン”です!」
MCでそう宣言されたのち、ステージはいよいよソロブロックへ。ツアー各地では毎公演1人だけが“Queen”としてソロを歌ってきたが、この夜はその11ステージを一晩で味わえるスペシャル版だ。赤チェックのドレスに共通デザインのマントを羽織り、クラウンとハートのモチーフが描かれた“トランプ仕立て”で11人が順番に「女王像」を提示していく。

石山咲良さん

井上玲音さん

工藤由愛さん
ADのあとに記事が続きます
ADのあとに記事が続きます
その前半戦は、マントを揺らして登場する石山咲良の“クイーン”らしい一曲から幕を開け、ティアラがよく似合う井上玲音、「ポップミュージック」でキュートな「鳩!」をキメる工藤由愛、「シンクロ。」で静かな強さを見せた川嶋美楓、ハスキーな声で客席を巻き込む江端妃咲、初武道館とは思えない度胸で「禁断少女」を歌い切った林仁愛へとバトンがつながっていく。

川嶋美楓さん

江端妃咲さん

林仁愛さん
黒のステージ衣装で魅せる、
攻めのJuice=Juice
赤チェックの“プリンセス”衣装でのソロ前半が終わると、会場の空気が一転する。ステージに現れたメンバーは、黒を基調にした“攻めの女王”スタイル。ベルベット調のビスチェは中央に縦の切り替えが入っていて、前身頃にはビジューがびっしり。ライトを受けるたびに、鋭い輝きが浮かび上がる。ボトムスは同素材のブラックをベースに、ラップキュロット、ブルーミングスカート、ストレートスカート、ショートパンツとそれぞれシルエットが違う。ウエストにはゴールドのチェーンベルトと赤いハートのチャームが揺れ、トランプの「ハートのクイーン」モチーフがさりげなく仕込まれている。足元は全員、ブラックレザーの厚底アンクルブーツ。重心の低いステップからキレのあるターンまで受け止める、まさに“戦闘靴”だ。
この黒の衣装でまず挑むのが、5人ずつに分かれたユニット曲。「トウキョウ・プラー」では段原瑠々・松永里愛・有澤一華・入江里咲・遠藤彩加里が、スポーティなラインを生かした振付で鋭く攻める。ラップキュロットの段原はシフォンのアームスリーブを翻しながら太い芯のあるボーカルを響かせ、“ボーカルとダンスの女王”としての貫禄を見せつける。一方「プライド・ブライト」では井上玲音・工藤由愛・江端妃咲・石山咲良・川嶋美楓が登場。片肩フリルのアシンメトリードレスにゴールドのネックレスを合わせた井上が、張りのある低音で曲全体を牽引し、曲名どおりの“誇り高い”女王像を体現する。11人が黒一色で並ぶと、揃い方の精度も相まって、ひとつの王国軍が進軍してくるような迫力だ。

入江里咲さん

松永里愛さん

遠藤彩加里さん
その熱を引き継いで、ステージはいよいよソロブロック後半へ。入江里咲「如雨露」は、柔らかな笑顔と伸びやかな声で会場にやさしい雨を降らせるよう。松永里愛「Vivid Midnight」は、ビートに乗せたフェイクと声量で客席を圧倒し、「夜」を支配するクイーンの風格を漂わせる。遠藤彩加里「裸の裸の裸のKISS」では、レースのビショップスリーブと長い脚線が、バレエ仕込みのしなやかな動きからラテン調の激しいステップへと滑らかにつながり、“ダンスの女王”としての振り幅を思う存分に見せつけた。

有澤一華さん

段原瑠々さん
有澤一華「ロマンスの途中」は、ステージを縦横無尽に駆け回りながらのエネルギッシュな歌唱が印象的で、ラストの「Juice=Juice、愛してる!」まで真っ直ぐな声で観客の心を掴み続ける。そしてトリを飾る段原瑠々「好きって言ってよ」。黒のステージ衣装のまま、感情を乗せたボーカルと一瞬ごとに変わる表情で、楽曲の感情の振り幅を描き切る。ラストに「好きって言ってよ」を歌い切った段原の表情には、女王としての矜持と、ここまで積み重ねてきた時間の重みが伝わる、今のJuice=Juiceを象徴する時間だった。
NEXT:ライブ新曲で一気にギアを上げ、駆け抜ける終盤戦へ。