装苑賞に挑み、現在も第一線で活躍するデザイナーたちをピックアップ。夢を持ち続け何度も装苑賞にチャレンジした軌跡と今を紹介する。
『装苑』2014年10月号掲載
Vol.1
山本耀司
山本耀司さんが装苑賞を受賞したのは1969年、文化服装学院在学中。’68年から応募を始め11作品が装苑賞の候補になり、第25回で念願の装苑賞に輝くとともに、遠藤賞とのダブル受賞を果たした。受賞作品はチンチラとダブルジョーゼットのファーミックスで、今見ても新鮮さを失わない。
第25回装苑賞受賞作 グレーのチンチラと白のダブルジョーゼットをミックスしたミニドレス。審査員の中村乃武夫さんに「デザイン界の大型新人」と激賞された作品。
第6回デザイン大賞 遠藤賞受賞作 装苑賞と同時に、文化服装学院創立40周年を記念して設けられた、デザイン大賞のアマチュア部門、遠藤賞も受賞。スポーティなパンツルック。
応募当初「デザイナーという職業を知らなかった」という学生の作品とは思えないクオリティの高さの裏には、持ち合わせたセンスに短期間で技術力をつけていった学生時代の努力がうかがえる。受賞後『装苑』にデザインを提供するなど、活動を開始。
装苑賞受賞者は『装苑』でデザインの仕事も依頼される。受賞後すぐの1969年5月号に掲載されたサマーウールを使ったワンピース。
第24回日立賞受賞作 1968年、現在の佳作に当たる日立賞を受賞。ミニマムなデザインとツートーンの色のバランスがかっこいい。
その後パリに渡り、帰国後に自身のブランド「Y’s(ワイズ)」を設立。’83年春夏のパリ・コレクションでは、既製概念を否定した服作りで西洋のファッション界を激震させ、「黒の衝撃」と呼ばれる論争を巻き起こした。常に新しいテーマで、服作りにこだわり、限界に挑戦し続ける山本耀司さんの創造性は、装苑賞にトライしていた学生時代の作品にも表われている。
Yohji Yamamoto 2025S/S COLLECTION
Courtesy of Yohji Yamamoto/Photographs : Monica Feudi
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山本耀司
慶應義塾大学を卒業後、文化服装学院在学中に装苑賞を受賞。1972年にワイズを設立。’77年に東京コレクション、’81年にはパリ・コレクションでデビューを果たし、以降、第一線で活躍し続けている。2004年、紫綬褒章、’11年にフランス芸術文化勲章コマンドゥールを受章。