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文化服装学院を卒業し、
アートやカルチャーの世界で活躍すること
【文化服装学院100周年記念連載vol.9】

2024.04.01

彫刻家・文筆家
鈴木 操(Sou Suzuki)


1986年生まれ、埼玉県出身。文化服装学院服装科卒業。漆喰という素材を探求し、彫刻が持つ歴史と批評性を問う作品を制作するほか、Fashionsnap.comでのアートコラム執筆、展覧会キュレーションも行う。
X(旧Twitter):@akururuka

服作りをベースに、枝葉を広げ
たどり着いた現在の道

 文化服装学院服装科を卒業後、ベルギー・アントワープに1年留学し、帰国後は衣裳デザイナー、堂本教子さんのアトリエで働いていた鈴木操さん。現在は、彫刻の創作活動を軸に文筆、キュレーションも行う。それは服飾学生時代や衣裳の仕事をしていた経歴とは一見、遠く感じるものの、鈴木さんは「すべてが一つの糸で結ばれている感覚」だと語る。

BALMUNG 2021-’22AWコレクション「N//O//T」とのコラボレーション。鈴木さんが制作した圧縮袋に入ったソフトスカルプチャーを、モデルたちが段ボールから開けて箱にくくりつけていくパフォーマティブな発表方法が話題に。

「中学生の頃から服作りをしていたため、高校の頃にファッションデザイナーを目指して文化に入学しました。けれど入学すると、自分の場合は『服を作る=ファッションデザイナーになる』ではないと思うようになったんです。文化で専門的に服を学んだことで、服作りは、いわば僕の言語になった。“言語”を覚えられたからこそ、それで何を表現をしよう?という次の段階に行けたんです。彫刻に行き着いたのも、アントワープでオブジェクティブな表現や、アトリエで衣裳デザイナーの堂本教子さんの仕事を見たことが関係しています。特に堂本さんは、衣裳をただ身につけるものとして作るのではなく、空間や時間に作用するものとして考え、色やテクスチャーに非常に厳しい目を持っていました。そうした既成服とは異なる服作りに触れるうち、いつの間にか『服だけど服じゃないもの』を作るようになったんです。最初に作品を発表したギャラリーも堂本さんからご紹介いただき、それを機にアートのほうへ舵を切りました」

「Deorganic Indication」(2021年〜)。3.11を機に探求し続ける漆喰を、有機的なフォルムで風船を抱きかかえるように造形。ファッションと彫刻、身体とそれらの関係を考察する鈴木さんの近作だ。

「今、彫刻を作っていても、服を作っているような感覚が大きくあります。ボディに布を沿わせるような“人体の気配”がずっと手の中に残っている。文化で学んだことはやはり大きかったです。ファッションも美術も文学も、自分が好きなものが2010年頃にようやく一つに集約された感覚がありますが、様々な領域を渡り歩く中で、悩んだり整理したりを繰り返してきました。だから同じように道を探す人には一人じゃないですよと言いたいです。そして迷ってもやりたいことをやって、できれば一人でどうにかしようとせずに、よい出会いを求めてください、と」

NEXT:アートディレクター とんだ林 蘭

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