『装苑』2022年1月号の石橋静河さんや、2022年5月号のバックカバーと巻頭の菅田将暉さんのストーリーをはじめ、ファッション写真やポートレート、広告写真で活躍する写真家の小見山峻さん。11月1日に刊行される『call, overhaul, and roll』は、小見山さんの約4年ぶりとなる作品集だ。
本書に写されているのは、横浜から札幌までの1500キロを、バイクで走り抜けたロードトリップの一部始終。効率の良さが正義になりつつある今、「迷う」ことのポジティブな意味を追いかけて、小見山さん自らが彷徨い、寄り道を繰り返した旅の足跡が残されているという。撮影そのものを目的とせず、様々な感情に後押しされてシャッターを切った旅の記録。ページをめくれば、きっと、心地よい風と純粋な好奇心にあてられることだろう。
写真集には、音楽家TAIHEIが本書のために制作した、描き下ろしの楽曲が加えられている。ファッションデザイナー吉田圭佑(KEISUKE YOSHIDA)などによる寄稿文も収録。
<小見山峻コメント>
いつの間にか、道を間違えることや遠回りすることを悪手かのように避けてばかりの毎日になっていました。迷うことなんて、下手をすれば食事の回数よりも多い代謝のひとつだと言うのに。ならば今こそ迷えるだけ迷ってみせようと。馬鹿げた時間の使い方に踏み切ったのです。思いつきのような衝動に駆られ、バイクのハンドルに安物の方位磁針を取り付け、それを頼りに北を目指しました。
写真を生業にして、あれやこれやと格好をつけ、撮る理由をでっち上げている毎日ですが、その実、つまるところは「僕はここにいた」と伝えたいだけ。何事もなければ、まだ何十年と生活は続いてゆくと信じています。その折々で、「僕はここにいた」をただ愚直に積み重ねていくのでしょう。この本のように。
踏み出せない誰かに、何故か帰りたくない夕方に、太陽がもどかしい朝に、毛布にしがみつく真夜中に、道に迷うあなたに。そして天国にも届くよう願いを込めて。
写真集『call, overhaul, and roll』 写真・小見山峻 PINHOLE BOOKS刊
2022年11月1日発売 216ページ 限定1,000部
通常版 ¥3,900、プリント付き特装版A4サイズ ¥30,000/A3サイズ ¥50,000(すべて税抜き)
WEB(予約、購入先):https://pinholebooks.stores.jp/
発売記念展示
東京「代官山蔦屋書店」(POP UP)
会期:2022年11月1日
札幌「at ie sapporo」
会期:2022年11月19日~12月3日
東京「BOOK AND SONS」
会期:2023年1月12日~1月31日
名古屋「C7C gallery」
会期:2023年2月4日~2月19日
京都「haku kyoto」(POP UP)
会期: 2023年2月23日~2月26日
Shun Komiyama ● 写真家。神奈川県横浜市出身。「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、コンピュータによる合成加工などに頼ることなく、グラフィカルな世界を建築する。2018年JWアンダーソン主催“YOURPICTURE/OURFUTURE”にて日本人で唯一ファイナリストに選出されるなど、海外からも注目を浴びる。同年、初 の写真集『hemoglobin』を出版。主な個展に『hemoglobin』、『冴えない夜の処方箋』、KYOTO GRAPHIE KG+『なにものでもないものたちの名づけかた』など。2021年に渋谷PARCO10F屋上スペースを全面的に使用した大規模インスタレーション展示『風が応える』を開催するなど、常に「写真」でありながら、そのアウトプットは多岐にわたる。
WEB : shunkomiyama.com
Instagram : @shun_komiyama