いままで自分がやってきたお芝居では、人からもらったものに対して反応することが多かったんです。
――本作では、CGのドラゴン等そこにいない相手との芝居にも挑まれました。
奥平:そこも今回難しかったところです。いままで自分がやってきたお芝居では、人からもらったものに対して反応することが多かったんです。ゼロから1を作る人がいるとしたら、1をそれ以上にするのが僕の仕事だというところがあったのですが、今回はゼロから1を作る必要があり、かつ反応が返ってこない状況でした。もちろん完成した作品の中では反応はあるのですが、そこまでを自分の中で考えて作らないといけなかったため、普段お芝居しているときとは違った脳を使っている感覚がありました。
また、大規模なCGが使われるシーンの撮影も、大きさが全くわからないなか説明を聞きながら他の演者さんと意思疎通を図らないといけませんでしたし、CGならではの難しさを今回初めて感じました。
――アクションにも挑戦されて、しかも相手は新田真剣佑さんです。
奥平:初めてアクションをする相手が真剣佑さんで、勉強になることもたくさんありました。初めてお会いする日が戦うシーンの撮影だったのですが、その前日にホテルのテレビで『るろうに剣心 最終章 The Final』を観て「この人と戦うのか……」と震えながら現場に行きました。でも真剣佑さんはとても優しくて、初めてで全然わからない僕に合わせる形でアクションをやって下さり、魅せ方も本当にお上手でとにかく助けていただきました。
――本当に初めてづくしの作品でしたね。
奥平:今でも「よくやったな」と思うくらいです。僕に限らず、ソン役のエマニエル由人くんはお芝居自体が初めてだし、ナギ役の中島セナさんもお芝居経験は浅く、僕も撮影時はデビューして3年も経っていない状況でした。そんな3人が物語を進めていくのはやっぱり緊張しましたし、責任も感じました。W主演というプレッシャーもありましたし、自分のことで精一杯でなかなか現場づくりまで気を配れませんでした。
「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」より
――となると、本作で得た経験を今は落とし込んでいる最中でしょうか。
奥平:そうですね。なかなかこういったテイストの作品はないので具体的にどう生かすかは自分の中ではまだ見えていませんが、僕が気づいていないだけでその後の現場で生きていることはたくさんあるんだろうな、とは思います。
――お話を伺っていて、想像力で補う瞬間も多かっただろうなと感じました。現場に行ったら予想と違った、ということも起こったでしょうし。
奥平:萩原健太郎監督が頭の中に明確な絵がある方で、分からないことを聞けば全部答えてくれる状態ではありました。かといって全部聞くのも良くないですし自分で出来るだけ頑張って考えていましたが、監督に助けていただく瞬間も多々ありました。
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