新垣結衣インタビュー
「絶対的な正解というものはない」。
映画『正欲』とこの世界を見つめる視点

2023.10.30

「ちゃんと何事も楽しむ」ことを目標にしています

――装苑読者には、クリエイターを目指している10代・20代が多くいらっしゃいます。そうした次世代に、メッセージをいただけますでしょうか。

私の10代・20代はいま思えば自分の意志よりも、流れに身を任さざるを得ない状況でした。そういったなかで多少抵抗してみたり、「自分」というものを護ろうと考えていたりはしましたが、基本的には流れに身を任せていました。

そうした自分から見て、いまの10代・20代の方々は凄いと思います。若いときから自分で作って自分で発信できる環境があるからこそ、やりたいことに目覚めたり、触れたりする機会が早いですよね。どこまで将来的に伸びていってしまうんだろうとも思います。

クリエイティブな仕事をしている方々って自分の頭の中を形にする方々だと思うんです。だから私から言えることは正直何もなくて、むしろ「教えて頂けますか?」という感じではあります(笑)。ただ、ひとつあるとするなら、今の10代・20代の方々は早くからものづくりに触れているぶん、私がその年代だったときよりも「自分の意志」ややりたいことを明確にすることが大事になってくるのかもしれません。だからこそ勢いよく、好きにやってもらいたいなと思います。

いまはクリエイター志望の方々に向けてお話ししましたが、世の中にはやりたいことが見つからない10代・20代の方も多くいらっしゃると思います。そういった方々に対しては「いま決めなくてもいいんじゃないか」と感じます。もし「やりたいことを見つけないといけない」と焦っているのであれば、もしくはそういった気持ちになったら、そこで初めて自分から何かに触れに行くので良いのではないかと。それぞれの場所で「やれることをやる」形が一番かなと思います。

――新垣さんが、演じるうえでずっと大切にされてきたものはありますか?

こういう仕事を始めて間もないときから主演やヒロインといった作品の顔になるような役割を任せていただいてきたので、自ずと責任感を強く抱いてきました。「そのときの自分なりの精一杯を出すしか私に出来ることはない」と思っていましたし、それはいまも変わらないことです。

最近は主役とはまた違ったポジションで参加させていただく機会も増えてきましたが、そういったときでも自分に任された役割を精一杯考えて取り組んでいます。お芝居だけではなく仕事に対する向き合い方でいうと、「ちゃんと何事も楽しむ」ことを目標にしています。私自身、プレッシャーを感じてしまったり初めてのことに憶病になってしまうタイプなので、もっとポジティブに、純粋でいられる気持ちのパーセンテージをどんどん高くしていけるように、とは常に考えています。

Yui Aragaki 1988年生まれ、沖縄県出身。2007年公開の主演映画『恋空』(監督:今井夏木)で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。’17年の映画『ミックス。』(監督:石川淳一)で、第41回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、第60回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。テレビドラマでも活躍し、「コード・ブルー −ドクターヘリ緊急救命−」シリーズや、「リーガル・ハイ」シリーズ、「逃げるは恥だが役に立つ」、「獣になれない私たち」、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などに出演。待機作に映画『違国日記』(監督:瀬田なつき、’24年公開予定)がある。

新垣さん着用:ジャケット¥86,900、ニット¥46,200ウジョー(エム TEL 03-6721-0406)/シャツ¥29,920、スカート¥42,900(ザ リラクス TEL 03-6432-9710)/イヤリング¥47,300(ノーム TEL 06-6377-6711)/左手のリング¥17,600 リューク(info@rieuk.com)/右手のリング¥88,000シャルロット シェネ(エドストローム オフィス TEL 03-6427-5901)

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