「全部がこうである」という提示をしないように、
と心がけていました。
――改めて、本作に出演された経緯を教えて下さい。
企画書とプロットを読ませていただき、惹きつけられるものを感じました。そのあと原作を読み、映像化するにあたって難しい部分もたくさんあると感じて、岸監督と実際にお会いしました。その中で意思疎通を図ることができ、同じ方向を見て挑むことができると感じられたことで出演に至りました。
映画『正欲』に参加するにあたってものすごく考えたのは、「これが全てではない」ということです。人それぞれの人生があって、本当に様々な人がいるから、あくまでこの中で描かれていることもその一部。「全部がこうである」という提示をしないように、と心がけていました。
――撮影前の衣装合わせ等では、どのような話し合いをされましたか?
元々私は、夏月のパーソナリティにあわせて、女性性を周囲にあまり意識させないような服装がいいのかなと想像していました。ただ、岸監督とお話しした際に、「夏月はこの世界に擬態したいと思っている人物だからこそ、一般的な“女性らしさ”や世の中の大多数が思う“普通”を身にまとっているのではないか」という意見をいただき、その方向でみんなで考えていきました。
特別目を引くわけでもなければ、全く気にかけていないわけでもなく、働いたり社会と日々かかわりを持っている人――というバランスを目指しました。
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