中島セナ インタビュー。
ものづくりを愛する17歳が体験した『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』のファンタジーの世界、果てなき夢

自分と他者の差を認識することが大事なのかなと感じます。 

――中島さんが演じたナギをどう感じていたのかもお尋ねしたいのですが、初めナギは夢というものを信じられず、「(夢を持っても)現実を見て失望するだけ」と言っています。クラスメイトにもあまり馴染めていなくて、彼女が心を開ける唯一の相手が、ソン(エマニエル由人)。そういうナギの姿は、中島さんにはどう映っていましたか?

中島:撮影していた時、ちょうど私はナギと同い年だったんです。だから、高校生で「現実を見て失望するだけ」と言ってしまうのは悲しいことだなと思っていました。あの年齢でそれほどの絶望感や失望感を味わっているというのは……やっぱりあまり良くはないですよね。ただ、ナギにはそうなってしまった原因があって。あとは、そのときのナギはまだいろいろなことに気づいたり成長したりする手前の段階なのかなと感じていました。

――ドラマ内には「夢を見させてくれない世界で育った」という言葉もあり、それは上の世代の人間としては「すみません」 という感情と「そうだよね、とてもわかる」という二つの思いが交錯しました。

中島:どこかで諦めてしまったり、夢を見られない感情になったりするのは、多分誰しも経験することかもしれません。ちょうど中学生や高校生の頃がそういう時期というか、あまり他人に対して寛容になれない年頃であるような気がします。「そういうこともあるよね」とか「そういう人もいるよね」という軽い感じで人を受け入れる事が難しい年代だと思うので、そうなった時にどうしてきたかが大事なのかなと思います。

――寛容でないことが諦めにつながる……それはとても納得します。寛容であるためには何が必要だと思いますか?

中島:冷たく聞こえてしまうかもしれませんが、あまり人に期待しないことでしょうか。「線引き」じゃないですけど、人は人っていう考え方が一つあることはやっぱり大事ですし、いろいろな人がいて様々な意見があることを知るということが、寛容につながると思います。

――自分を探しているような不安定な年代を、まさにリアルタイムで、でも少し離れた距離感で演じられたということだと思いますが、中島さんは自分らしさを失わないために何を大事にされていますか?

中島:自問自答です。自分に対して自分の中で問いを持つことや、自分自身を疑うことで、自分の位置を確認することができます。いま、自分がどういう考え方をしていて他の人とはどこが違って、どこが同じなのか。そうして自分の偏りを認識することをいつも大切にしてます。私は普段、人とめちゃめちゃしゃべるようなタイプではないんですけど、それでも仕事では人と関わることが多いので、その中で自分と他者の差を認識することが大事なのかなと感じます。 

――本作の撮影は長期にわたったと伺っています。タイムを演じられた奥平大兼さん、ソンを演じられたエマニエル由人さんと過ごした時間は中島さんにとってどんなものだったでしょう。

中島:多分、3人とも最初は緊張していたと思うのですが、3人の中でもいちばん年上のエマくんが現場を明るくしてくれて、積極的に話題を振ってくれたりお話してくれて。それで奥平さんとも話が弾み、現場をとても楽しく過ごすことができました。私は同世代の人たちと仕事をすることがこれまであまりなかったので、新鮮な経験になりました。

「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」より

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