KIDILLデザイナー末安弘明が語る
「情熱を形にし続けた10年間」。
15名のKIDILLラバーのスナップも!

2024.02.21

情熱と気持ちが折れなければ進化する

――日本と海外で活躍している末安さんから見て、10年間のファッションシーンはどのように変化していると感じていますか。

末安一番変わったのは、やっぱりSNSが登場したことですね。今は、インスタライブでショーが見られるし、フィジカルショーでも発表の30分後にはネットに掲載されますよね。バイヤーさんからもインスタグラムのDMに直接連絡が来る時代。あとは、コロナ禍を経てファッションブランドが動画を作るようになったのはよかったことの1つです。KIDILLでも毎シーズン、クオリティを追求した動画を作っていますが、ルックやバックステージの写真とは別の世界観を伝えられる手段として、動画は武器になっていると思います。

KIDILL  2024-’25年秋冬コレクションの動画

――デジタルのコンテンツの強みには拡散・影響力がありますが、その反面、消費される速度も速いですよね。発信に対して何か心がけていることはありますか?

末安意識的にやっているのは話題作りです。コレクションが出るまでの半年のスパンで、ネタが尽きないように仕込んでいかないとお客さんも飽きてしまう。先日行った蜷川実花さんとのコラボレーションをはじめ、ポップアップショップの企画や、別注アイテムの制作、雑誌の方と組んで何か一緒にやるなど。なので、立ち上がりの時はちゃんとイベントを仕込むようにしています。

現在は、東京、ロサンゼルス、パリとの三本柱のPRチームで動いているので半年の間にも満遍なく話題作りができているかもしれません。心強いですね。

――これまでの末安さんは美容師から転身し、渡英後にはリメイクの商品を制作したり、HIROとしてロンドンコレクションのオフスケジュールに飛びこみ参加をされたりと、数多くの“挑戦”と“行動”で様々な経験をされてきたかと思います。末安さんの行動力の源はどのようなところにあるのでしょうか。

末安今まで、行動力と熱意でどうにかなってきたのでそれが身を結んでる気はします。もともと、暇な時間が苦手で何かしてないとダメな性格というのもありますが、やらないよりやった方が絶対にいいじゃないですか。考え込むより、ダメもとでも挑戦するのが大切。ロンドンでリメイクをしていた時も、お店に置いてもらうために自分で担いで持ち込み、見てもらってNOと言われながらも前向きに「あ、ダメだったか!」と思い、また作るという繰り返しでした。

服づくりに関しては、ロンドンで始めた時から仕事だと思ったことはないですね。何時間作っていても飽きないし、何も嫌なことはないです。趣味の延長で始めた時の感覚が今もありますし「情熱と気持ちが折れなければ進化する」と思っていて、それを形にしているだけなんです。

あとは、負けず嫌いなところがあって。僕は文化服装学院やセントラル・セント・マーチンズなどの洋服を学べる学校に行っていないので、倍の時間をかけて寝ずに服を作って、色々なところを飛び回って独学で勉強していました。

――今のKIDILLが、クリエイションにおいて一番大切にしていることを教えてください。

末安一番は、自分の好きなパンクやロック、ハードコアのようなユースカルチャー、サブカルチャーを服に落とし込んで自分の色がある服を作るということ。それが他のデザイナーに負けない要素でもあるので、この先もずっとやっていくと決めてます。

やっぱりブランドには役目があるのではないかと思っています。こういうブランドはこういうものを作らないといけないとか。それを忘れて服を作ると味気のない服になってしまいます。

ようやく公式のスケジュールで、パリで発表できるようになってきたので、これからはインディペンデントでどこまでやれるのか試したいと思っています。

NEXT10周年を記念したイベントに来場したゲストスナップ!