photograph : Kenya Sugai
2023年10月、渋谷パルコ内にオープンしたJW Anderson(JW アンダーソン)の新店舗で、創始者兼クリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソンにインタビュー。新店舗は、ロンドンの初旗艦店のスピリットや、ナイトライフカルチャーからもインスピレーションを得た88平方メートルの店舗で、ジョナサン自身と設計を手がけた6a Architectsの思いが込められたもの。2023年のインターナショナル・デザイナー・オブ・ザ・イヤー(CFDAファッションアワード)を受賞したばかり、ますます勢いに乗るジョナサンが、ブランドの現在地や店舗のこと、東京への思いを、ブランドの新たな拠点で語りました。
ジョナサン・アンダーソン Jonathan Anderson
北アイルランド生まれ。演劇を学ぶために渡米し、ステージコスチュームに関心を持つ。ロンドンに渡り、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションでメンズウェアを学ぶ。2008年9月にLFW(ロンドン・ファッションウィーク)のオフスケジュールで初のメンズショーを行い、その後2シーズンにわたり新人デザイナーの合同ショーでコレクションを発表。2010-’11年秋冬にメンズの単独ショーを行い、レディスコレクションも立ち上げる。’13年、LOEWE(ロエベ)のクリエイティブ・ディレクターに就任。マスキュリニティとフェミニニティを現代的に解釈し、意識的に相互の美学を交換させたメンズウェアとウィメンズウェアの要素を通して、示唆に富んだシルエットや衣服を表現するのがブランドの持ち味。’19年にVictoria & Albert Museum (ヴィクトリア&アルバート博物館)の評議員会の一員に就任。’23年、CFDAアワードのインターナショナル・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
フォーカスしたいのはシルエットです。
JW アンダーソン 渋谷店
JW Anderson(JW アンダーソン)の現在地
変わるもの、変わらないもの
ジョナサン・アンダーソン:年を重ねるにつれて少し自信がついてきたのかもしれませんが、自分の集中したいことが明確になってきました。そしてブランドが大きくなる中で、リソースも豊かになってきました。 そのことによって「いつかこんなことをしたいな」と思っていたようなことも、叶えられるようになってきたのです。
中でも、今、私自身がフォーカスしたいのはシルエットです。ファッションの変化はシルエットの変化と同義だと思いますから。 今の自分の仕事として、新たなシルエットの創造にフォーカスしています。
そして、私はクラップマンシップに夢中になり続けています。クラフツマンシップは素晴らしい人材がいるからこそ成り立ち、基礎の部分を作ることができるもの。それがブランドのDNAの一部だとも思っていますね。例えば、ハリー・スタイルズが着用したパッチワークカーディガンで世界の多くの方々がJW Anderson(JW アンダーソン)を認知したと思いますが、それもクラフツマンシップによって支えられ、できあがったものです。
JW アンダーソン 渋谷店
ジョナサン・アンダーソンにとってのリアル店舗
ジョナサン・アンダーソン:パンデミック以降、人々の間では実際に手に取れるものや触れることができるものの重要性が高まっていると思います。そもそも店舗というのは、自分が頭の中で考えていることや、思いを表現する場だと捉えています。 とても重要な場所です。それに私はウィンドウディスプレーの仕事からスタートしているので、 お店の中でどのような世界を作っていくかを考えることが、自分の仕事のベースにもなっているんです。
東京が「一番好きな町」である理由
ジョナサン・アンダーソン:東京は、一番好きな町。 東京のファッションはベストだと思いますし、日本の方はファッションに対する深い理解を持っているように感じます。 クリエイションの奥にある歴史をはじめとする様々な要素を、日本のお客様は理解しようとしてくださると思います。理解してくれる、と感じることが、私が日本を愛する理由の一つです。
日本ではいつもおなじみのギャラリーやバーに行っていますが……日本に来るたびに、本当にいろいろな発見があります。 いろんなものを見つけるから、帰る時にはスーツケースが6つくらいになっています(笑)。 特に先ほども言った通り、日本人のファッションに対するアプローチや組み合わせは、すごく面白いと思っているんです。 ただ、残念ながらいつも滞在時間が短すぎるので、今回も京都に行きたかったけれど行けなくて。 いつかプライベートで日本に来て、もう少し長い間滞在できるようになったらいいですね。
JW アンダーソン 渋谷店の
イマジナリーツアーへ!
1.アンカーロゴが輝くエントランス
店舗の入り口では、ブランドのシグネチャーであるアンカーロゴのネオンサインが皆さんをお出迎え。
2.ロンドンやミラノの店舗ともつながるシェルフのデザイン
インダストリアルなムードを漂わせるアルミニウム製の棚は、ロンドンやミラノの旗艦店と共通のデザインで、そこにはハンドバッグのコレクションが並ぶ。ガラスと金色の真鍮製キャビネットの中に陳列された、アクセサリーやティーセットも心躍るもの。
3.木材のストラクチャーの中に、ヴィヴィッドな試着室!
ショップの中央に配された印象的な木材は、ウォールナット材を凹凸状に曲木加工したストラクチャー。工芸品への理解も深いジョナサンらしいストラクチャーの中をのぞくと一転、そこに広がるのはピンク色の空間。その部屋はフィッティングルームで、1960年代のスペースエイジのようなキャッチーな空間に、ショッピングの気分がますます盛り上がる!
フィッティングルーム
4.おなじみのコラボレーションもここに。
JW Anderson × Wellipetsのカエルのローファーシューズも、もちろんお目見え。階段のような赤い棚に、大きな目のカラフルなカエルたちが鎮座している様子がキュート。奥の台座にあるのは、話題のカエル型クラッチバッグ。ジョナサンにとって、コレクションに用いるカエルやハトのモチーフは「とてもかわいいし、ユーモアを表現できる存在」とのこと。
JW ANDERSON 渋谷店
住所:〒150-8377
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 3 階
時間: 11:00〜21:00 休みなし
TEL:03-6277-5277(直通)
WEB:https://www.jwanderson.com/jp