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日本初上陸!キュート×クラフトな中国ブランドUOOYAA(ウーヤー)に迫る。量産時代に作るべき服とは

2025.05.21

中国・上海で2014年に創業し現地のZ世代を中心に高い支持を集め、現在は100店舗以上を展開するブランド、UOOYAA(ウーヤー)。2025年、満を持して日本市場で本格展開をスタートし、5月15日、16日には、初めてのローンチイベントを東京・原宿で開催した。近年存在感を増している中国ブランドの中でも、キュートなデザインとユニークな素材使い、ポジティブでクリエイティブなマインドで異彩を放つUOOYAAは、特に、装苑読者の皆さんに注目してほしいブランド。

この注目の日本初上陸ブランドのスピリットに迫るべく、会長兼最高経営責任者のイン・ケンキョウさんにインタビューをしました。装苑読者の皆さまへのおすすめアイテムもピックアップ!

photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.) / interview & text : SO-EN

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ハッピーではないモーメントを、デザインやクリエイティブの力でより良く転換させることができる。

イン・ケンキョウ(以下、イン):イベントの前は、実はとても不安でした。これまでイギリス・ロンドンでポップアップを開催したことはありましたが、日本・東京でのイベントは初めて。どんなふうに見ていただけるのか、どのくらいの方に来ていただけるのかと心配でしたが、この2日間でたくさんの方々にお会いでき、さらにご意見や具体的なアドバイスもいただきました。日本の方々はすごく親切で率直で、感動しています。「日本で展開する場合は、テイストや商品を絞って細分化したほうがいい」というフィードバックが印象に残っています。

イン:このテーマは、あるフランス人アーティストの作品からインスパイアされた言葉です。 その作品は、恋人と別れたばかりの女性の寝室をそのまま再現したもので、少し散乱した部屋には、薬などもありました。それを見て「こんなにリアルに自分の生活をみんなに見てもらって、作品にすることができるのだな」と感じたんです。そこから、とても現実的でリアルな生活感を表現したい、という思いが出てきました。

自分のデザイナーとしての原点にも、リアルを隠したり必要以上に良く見せたりするのではなく、そのままを見せても素敵だという思いがあります。

すでにものが溢れている「量産時代」の今、やみくもに洋服を作っても意味がありません。よく「新しく作る」とか「生み出す」といった表現をしますが、本来、これ以上洋服はいらないのだと思います。必要なのはイノベーション。そして、本当のイノベーションは、人の心を動かしたり満たしたりすることだと思います。「青春とエネルギー」というブランドのキーワードを通じて、服を着た人が自らの内にエネルギーや自信を感じられる服を作りたいというのが、ブランドスタート時から10年間、一貫している思いです。

イン:お客さまに悲しい想いをさせることは絶対にしたくないですが、生きていてどうしても起きてしまうダークサイド──嫉妬や落胆など──は、避けるのではなく、良い形に転換できるように考えます。

例えば、裏地が裾から出ているトレンチコート(写真下)。洋服が縮んで裏地が出てしまったらそれはがっかりするような出来事ですが、面白いデザインを施すことで楽しめるようになった、ということを表現しています。あまりハッピーではないモーメントを、デザインやクリエイティブの力でハッピーに転換させられるというメッセージで、それが重要だと思っています。

よく、会社のクリエイティブチームから「何がいいアイディアだと思いますか?」と聞かれます。センスでもビジネスの才能でもなく、私が大切だと思うのは「同理心」。日本語で、「逆の立場でものを考える」という意味です。ダークなことを無理にハッピーにさせようというのではなくて、「あなたの立場、わかります。それならこうしましょうか」という考え方でものを作っています。

イン:朝起きてから夜寝るまで、ずっと刺激を受けています!あなた(インタビュアーのこと)のジャケットについたたくさんのボタンを見ながら、「僕だったらこれほどボタンがついた服をどう作ろうかな?」と、先ほどからずっと刺激を受けていますよ。

手仕事と、自社制作の「雑誌」を重視する理由。

イン:まず、私自身が手仕事を好きなことが大きいのですが、手仕事は作っている人が感情を込めることができ、量産では伝わらない温度感がものに宿ることが魅力です。これはブランドの価値と一致するところだと思っています。また、伝統的だとか古いものだと捉えられてしまうような手仕事も、デザインの面白さで新しく見せることができます。

中国のサプライチェーンはご存じの通り強靭ですが、手仕事ができる工場は減っている現状があります。UOOYAAの手仕事を請け負っているパートナー工場の仕事を多くの人に知ってもらうため、昨年、生産工程を撮影させてもらい、動画にまとめました。
今、お付き合いがあるのは全て長年のパートナーです。細かくチェックや打ち合わせもあるので、関係性を築いていくことが大切です。

それから手仕事のアイテムはまず自社でサンプルを作って、その後、工場にサンプルとともに発注しています。会社の中にも手仕事に強い人たちがチームとしていることで、UOOYAAの手仕事が実現ができているのです。

イン:毎シーズンルックブックを作るのに、ただルックをモデルに着せて撮影しているだけではつまらなくて、どんどんプロップや演出を足していくようになり、それなら雑誌を作らない?という話に発展したことが始まりでした。
けれど、雑誌を作るのは簡単ではありません。テーマを決め、ストーリーを考えて、ビジュアル制作だけでなく文章も書かないといけません。それをまたさらに、自分の商品のアイデアと結びつけないといけない。今は、あえて雑誌を自分の創作の「監督」のように位置付けて、商品との間に相互作用を生み出すようにしています。

アパレルブランドはどうしてもビジュアル重視になってしまいますが、私は文章も重視しています。そのことによって自分のアイディアやクリエイティブ性も深くなっていったように思います。哲学者のルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは、言葉が世界を構築し、また世界は言葉によって理解されると定義しましたが、まさに私もそのように感じているのです。

これは創作においても同じで、クリエイティブチームがデザインチームにイメージを共有するときも、口頭ではなく映像、写真、テキストから成る資料を作ります。特にテキストは、誰が読んでも理解できるように、そして社内の言語を統一することを意識しています。
一方で、お客さまはこの雑誌があることで商品を立体的に捉えていただけるようです。

イン:ジョン・ガリアーノやアレキサンダー・マックィーン、川久保玲さん、山本耀司さんです。学生の頃はおしゃれが好きで、着飾るのも好きでした。あと学生時代は細身のスーツが好きで、よく日本に買いに来ていました。スーツ、特に細身のものはパターンが重要なので、日本製が良かったのです。今はもうそのスーツは入りませんが……(笑)。

学生の頃に見たそうしたデザイナーたちの創造性に刺激を受けて、UOOYAAにつながっていると思います。

UOOYAAから、装苑読者へのレコメンドアイテム


イン・ケンキョウ(Yin Jianxia)
UOOYAA会長兼最高経営責任者。クリエイティブ部門の統括も務める。北京服飾学院卒業。大手カジュアル系SPAブランドMetersbonweのデザインディレクター兼取締役副社長を努めたのち、2014年にUOOYAAを設立。

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