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着物の可能性を求めた“NEOKIMONO”
デザインアワード、受賞者決定!
東京プロカラーラボ×文化服装学院

2021.12.24

グランプリ作品

東京プロカラーラボ×文化服装学院のコンテスト“NEOKIMONO” デザインアワードが開催され、その結果発表が行われました。
東京プロカラーラボとは、振袖のレンタル及び販売、さらにはその記念撮影なども手掛ける会社。その中のブランド“NEOKIMONO”は、着物の持つ可能性を探求し、「五感で感じる現代アート」をコンセプトに新しい振袖の着こなしと、その可能性を広げています。
今回は、その東京プロカラーラボから提供された華やかな振袖や帯を用いて、あらゆる観点から新しいファッションを提案するということが目的となったコンテストです。

募集要項としては、着物をフレッシュでモードな新しいコーディネート提案をする「スタイリング部門」と、着物の素材を生かして今の時代の服に落とし込んだ「リメイク部門」の2部門。デザイン画による1次審査と、実物制作による2次審査を通過した中から、審査委員の廣川玉枝さん(『 S OMARTA 』 デザイナー)、人見千紘さん(スタイリスト)、東京プロカラーラボCEO齊藤 茂さん、装苑編集部によって、最優秀賞が1名、各部門から優秀賞2名が発表され、最優秀賞には賞金10万円と副賞「obi de boots iki」が、優秀賞には賞金3万円と副賞「obi de boots iki」が授与されました。

審査の様子

最優秀賞

「リメイク部門」
又吉 祐さん(文化服装学院 服飾専攻科デザイン専攻)の作品。
テーマは「浮世」

審査会

デザイン画

イメージビジュアル

又吉 祐さん
二十歳の成人式に着る女性ならではの正装を日常に着られるようにしたいと考えました。ジェンダーレスを意識して作りましたが、女性のための着物なので、イメージカットではあえてメンズに着せています。より日常感を出すために、ブルゾンにはキルティングを施したり、パンツのバックサイドにはスウェット生地を使ったりしました。大変だったのは、ブルゾンの身幅が着物の幅ではたりなく、柄合わせをしながら布を接いだところです。それと柄の配置。一つのアイテムの中での柄の出かたや、3つのアイテムを着た時に出る柄の見え方などはずいぶんと考えて作りました。

優秀賞

「リメイク部門」
佐藤鈴音さん(文化服装学院 ニットデザイン科)の作品。
テーマは「Reknit feeling」

審査会

デザイン画

イメージビジュアル

佐藤鈴音さん
一枚の着物を1,5㎝のひも状に裂いて、いろんな毛糸やリボンと編んでできたものです。いろんな面で様々な表情を見せるように作ったために、ゲージが変わってしまい前後の身頃で丈の違いが出てしまったのが反省点です。ひも状にして編んでしまうことで、着物の素材感が失われてしまうと思い、大きなリボンを胸もとにアクセントとしてつけました。ひも状のものであればなんでも編むことが出来るので、ニットのテクニックがもっと広まるといいと思っています。

優秀賞

「スタイリング部門」
窪田里咲さん(文化服装学院 ファッション高度専門士科)。
テーマは「Contrary」

デザイン画

イメージビジュアル

窪田里咲さん
子どものころから母が着物を着つけるところを見ていたので、着物にはとても愛着があります。だからこそ、着物にはさみを入れることが出来ず、スタイリングで勝負しました。テーマを“Contrary”とし、女性の持つ二面性を2枚の色の異なる着物で表現しています。濃い紫色では憂い、大人っぽさ、影。白は純粋、天真爛漫というように。2枚の着物は半身ずつ袖を通し、帯から下にボリュームをもたせています。インナーにパニエを合わせることで、ドレスのようなフォルムを出しました。

審査委員講評

デザイナー 広川玉枝さん
着物の生地の良さを生かして現代でも着られる服。そしてもともとの着物の良さを生かした服作りを目指すのがいいモノづくりに繋がるのではないでしょうか。自分の作りたいものをそのまま表現するだけではなくて、せっかく日本の文化を知る機会でもあるのだから、そこの部分をもっと学んで可能性を広げたらさらに素晴らしいものができるのだと思います。

スタイリスト 人見千紘さん
着物を服にリメイクをするときに、気をつけなくてはならないのはコスプレ風になることです。そうではなくて、いかにリアルクローズに近づけているかということが、私の審査のポイントになりました。安っぽく見えないように、自分の世界観を広げながら、少し視点を変えたり発想を変えたりすることが大事なのではないでしょうか。

東京プロカラーラボCEO 齋藤 茂さん
服についての専門的知識がない分、見た時の直感で素晴らしさを感じ取ることができました。学生の皆さんには、振袖を通して着物文化を知ってほしかったことと、何よりも楽しんで、スタイリングやリメイクに取り組んでほしかったのです。今回のこのコンテストによって若い人たちに、日本の伝統文化の架け橋が出来たことを嬉しく思っています。

photographs : Josui Yasuda、Jun Tsuchiya (B.P.B.)
hair : KEIKO TADA(mod’s heir)
makeup : KOTO(UM)
model : SERENA MOTOLA(SO-EN model)